「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【121~140】

ふたりのカタチ (130)

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ショウ君を起こさなきゃいけないから、深くは寝ないように、でも眠くて……。

おいらもショウ君に寄りかかりながら、うつらうつらしていると、

声を掛けられて、ビクッとする。

「また、会えるのを、楽しみにしています。」

男の人はニコッと笑う。

起き抜けの顔で、おいらも首だけで挨拶する。

寝ぼけ眼でもスタイリッシュに見える男の人は、新横浜で降りて行った。

おいら達も起きなきゃ。

降りる用意しないと。

肩に寄りかかるショウ君の方に、小さく声を掛ける。

「ショウ君、起きないと……。」

「ん、ん……。」

ショウ君がちょっと顔を上げる。

「どこ?」

「新横浜出たとこ。」

「ふわぁ~!」

大きな欠伸をして、目を擦るショウ君。

かっわいい~。

目尻に涙まで溜まってる~。

いつもグイグイ引っ張ってくれて、頼もしくて、大人なショウ君なのに、

こういう可愛いとこ見ると、きゅんとする。

ちょっと乱れた髪を指で梳いてあげると、ショウ君が大きな目を見開く。

「寝なかったの?」

「寝たよ。ちょっと。」

「朝だって、俺より早く起きたのに……。

 睡眠不足になっちゃうよ?」

「大丈夫。ショウ君が仕事行ったら寝るから。」

「ちゃんと寝るんだよ?じゃないと今夜……できないよ?」

最後のとこだけ囁くように言う。

起きたばっかりなのに、ちゃんとエロい顔はできるんだ。

ショウ君のスケベ!

おいらは口を尖らせて、棚から荷物を下す。

「ほら、用意しないとすぐ着いちゃうよ。」

ショウ君が笑って荷物を受け取ってくれる。

「あ、ショウ君、東京駅でお土産買ってもいい?」

「東京駅じゃ、お土産にならないんじゃない?」

「だって、お土産買う時間なかったから……。」

「誰に買うの?」

「カズ達と……類さんに八つ橋。」

ショウ君がクスッと笑う。

「それなら東京駅で十分!」

「な、内緒だよ?京都土産なんだから。」

「はいはい。」

「ショウ君のせいで買えなかったんだからね!」

「あいつらには、お土産があるだけで十分すぎるだろ?」

ショウ君がそう言って、にっこり笑う。

でもね、京都に行って来いって言ってくれたの、カズと類さんなんだからね!

ああ、おいらの長い京都旅行?も、もうすぐ終わり。

思い切って、行ってよかったよ!

カズ、類さん、ありがとう!



家に着いて、荷物を置くと、ショウ君は速攻で会社に向かう。

「忘れ物ない?」

「あるある。」

玄関でショウ君が靴を履く。

「何?キャリーバックの中?」

おいらが戻ろうとすると、ショウ君の手がおいらの腕を掴む。

「忘れ物はサトシ。」

ショウ君がおいらの唇に唇を合わせる。

そりゃ……忘れ物はおいらって言ったの、自分なんだけど……。

なんてこと言っちゃったんだろう……。

聞いてるとこっちが恥ずかしくなってくる……。

まともにショウ君の顔も見れないよ~。

ショウ君はおもしろがって、つぶやきながらキスを続ける。

「サトシ……持っていかないとね……どこへでも……。」

間にチュッと唇を鳴らして、掴んでいた腕をおいらの腰に回す。

「サトシが……追いかけて来ちゃうから……。」

楽しそうに笑うショウ君。

「い、意地悪……。」

「意地悪じゃないよ。嬉しかったんだよ?喜びの表現……。」

ショウ君の口が開いて、舌が入って来る。

「あ……ぅん……。」

おいらもキスにのめり込んでいく。

絡まる舌が、ショウ君の吐く息が、唾液の音が……ズンとおいらを疼かせる。

「ああ、いいね……感じやすいサトシ……昨日の余韻かな……。」

「ショ……。」

おいらはチュプッと唇を離して、ショウ君の胸を押す。

「行かないと……行かせてあげられなくなっちゃうよ……?」

ショウ君の顔が輝いて、おいらを抱きしめる。

「やっ……ショウ君?」

「いいよ、今日は休もう……。このままサトシと溺れたい……。」

「そんなわけにいかないでしょ……。出張の報告とか……。

 佐々木さん達が待ってる……。」

ショウ君の腕に力が入って、苦しいくらいギュッと抱きしめられる。

「行きたくない出張に行かせたのは会社だし、これくらい好きにさせてもらっても……。」

「ショウ君……。」

おいらは小さく息をつく。

「ショウ君だって……プレゼン、楽しかったんでしょ?」

「……まぁ。」

「やりがいのある仕事じゃなかったの?」

「それは……。」

「だったら最後までちゃんとしないと。」

「わかってるよ……。本気で行かないって言ってるわけじゃ……。」

ショウ君がごにょごにょと言葉を濁す。

「うん。知ってる。ショウ君は責任感が強いもん。昔から。」

おいらが微笑むと、ショウ君も仕方なさそうに笑う。

「だから……おいら、いい子で待ってるから……早く帰ってきて。」

ポンポンとショウ君のネクタイを叩いて見上げる。

「わかった……速攻で帰ってくるから……。」

ショウ君がおいらをギュッと抱きしめて、腕を離す。

「うん。いってらっしゃい。」

「だから、今日は一歩も家から出ちゃダメだよ?」

「……なんで?」

おいらが首を傾げると、ショウ君がニヤッと笑う。

「今のサトシ見たら、1億総エロ狼になるから!」

「ショウ君っ!」

ショウ君はおいらの後頭部を撫で、チュッと唇を当て、玄関から出て行く。

「いってきます。」

「いってらっしゃい!」

玄関を出て見送ろうと思ったら、ショウ君の手が、おいらの動きを制しする。

「一歩も出ちゃダメ!」

笑って手を振って、小走りに駅に向かうショウ君。

スーツで走る後ろ姿までカッコよくて……。

見惚れてたら、隣のおばあちゃんが前を通りかかってニコッと笑う。

「こんにちは。あらあら顔が赤いよ。熱でもあるんじゃないのかい?」

おいらは恥ずかしくなって……会釈して下を向いた。










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