「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【121~140】

ふたりのカタチ (122)

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ショウ君達と落ち合うと、岡林さんと佐々木さんは気を利かせて先に帰ってくれる。

大阪でご飯を食べても、最終の新幹線は9時半くらいかな?

それでも家に着くのは12時過ぎちゃうから……。

「ショウ君、明日は朝から?」

「いや、俺達三人とも午後出社。少しはゆっくりできるかな?」

ショウ君が意味深に笑う。

「疲れちゃうもんね。早めに帰ろうね。」

「そうだな。早めに帰って……。」

ショウ君がいやらしくニヤッと笑う。

「ショウ君!」

「サトシもだろ?サトシもしたいよね?」

そんなこと、こんな街中で確認しないで!

おいらは周りが気になって仕方ない。

大阪は人通り、多いんだから!

「サトシ、したいって言ってごらん。」

全然周りが気にならないショウ君。

ほんとに信じられない!

「サトシ……言わないと……してあげないよ?」

今度は耳元で囁く。

い、意地悪!

「し……たいよ。おいらだって。」

そうだよ。したいよ。したくてしたくてたまんないよ!

耳まで熱くなって、小さな声でそう言うと、ショウ君がおいらの肩をぎゅっと抱く。

「ああ、どうしてサトシはそんなに可愛いんだろう。」

「ショウ君!ほら、ご飯食べよ、ご飯!」

おいらは、人前でも憚らないショウ君の体を押し戻す。

「おいら、話したいこといっぱいあるんだから!」

「話したいこと?……ああ、映画村?」

「うん。まずは……お好み焼き食べよ?」

目の前に、有名なお好み焼き屋さんの看板を見つけて、ショウ君の腕を引っ張る。

「お好み焼きか……。高校時代はよく、帰りにたこ焼き食べたね。」

「うん。美味しかったよね。ショウ君、いつもソースと鰹節いっぱいかけて。」

おいらが高校生のショウ君を思い出して笑うと、ショウ君も懐かしそうに笑う。

「サトシは熱くてなかなか食べられなくて。

 食べ終わるのがいっつも遅くて。」

「仕方ないよ。おいら猫舌だし……。」

「じゃ、早めに食べ始めて、ゆっくりしますか?」

そう言って、ショウ君がおいらの背中を押し、目の前のお好み焼き屋さんに入って行く。

「うん。」

まだ早い時間だからか、お店は空いていて、すぐに座れて。

いろいろ注文して、ビールがやってくると、乾杯して一息つく。

「で?話したいこといっぱいあるんでしょ?」

「うん!……でも、信じてもらえるかどうか……。」

「……?俺がサトシを信じられないの?」

「それくらい、不思議なことがあったんだよ。」

おいらは女の子からキャンディを貰ったとこから話し始める。

長くて短い大冒険!

いや、あんまり冒険はしてないか?



ショウ君は黙って、時々相槌を打ちながら聞いてくれる。

顔が険しくなったり、眉間に皺を寄せたり、表情は忙しかったけど。

この前約束したから、ちゃんと正直に話したんだ……。

ちょっと脚色した方がよかったかな?

一番反応したのは潤さんの所で、何もされなかったかと、何度も聞かれた。

本物のジュン君じゃないのに、同じ扱いなのが笑える!

お侍さんのとこも、飲み過ぎなかったかって、散々聞かれた。

の、飲み過ぎじゃなかったよね?

自分に確認して、飲み過ぎてないって答えたけど……。

寝ちゃったとこを思い出すと……、飲み過ぎだった?

一通り話し終わると、ショウ君は大きな溜め息をつく。

「信じてくれた?本当なんだよ?」

おいらは携帯を開いて写真を見せる。

「信じてるよ。サトシのことは。でも、どう考えても現実的じゃない……。」

ショウ君はしゃべりながら携帯を受け取る。

「うっ!」

見た瞬間、小さく呻く。

じっと見つめて、写真を大きくしたり、小さくしたり。

「ね?本当でしょ?」

「これ、映画村で撮ったんじゃないの?」

「違うよ。」

「でも、バックが映ってないからな……。

 しかし、この人、サトシにそっくり。」

ショウ君は智さんを指さしておいらに見せる。

「うん。あっちでも言われた。そんなに似てる?」

「そっくり。サトシがメイクしてるからわかりづらいけど。」

そう言って、ショウ君の携帯から、おいらを映した写真を見せてくれる。

並べてみると……本当にそっくり。

「本当だ……あっちでは全然そう思わなかったけど……。」

「不思議なこともあるんだね。」

「なんかね、とってもあったかくなるような……、安心するような人だったんだ。」

おいらは自分の携帯を見つめる。

「ご先祖様かな?」

「かもね。」

三枚目のお好み焼きが焼き上がって、ショウ君がソースをたっぷりかける。

「あ、そのお侍さんもね、そっくりな人がいたの。」

「お侍さん?」

ショウ君はおいらから携帯を取って、映画村のお侍さんの写真を出す。

「この人?」

「違う。芸者の時に堺屋さんと一緒にいた……ろうぢゅうだったかな?」

「老中……ずいぶんお偉いさんの接待だったんだね。」

「そうなのかな?4人しかいなかったから、そんな感じじゃなかったけど……。」

「で、その人が誰に似てたの?」

「さっきコーヒー飲んでた時、隣に座ってた人。」

おいらはお好み焼きにマヨネーズをシャァーっとかける。

「他人の空似?」

ショウ君が笑う。

「同じ人のわけないけど、そっくりだったんだ。腕の感じも。」

「腕?」

おいらは鰹節を摘まんでお好み焼きの上に振る。

「うん。筋肉質な感じとか、太さとか。」

「太さ?触ったの?」

青のりも振りかける。

「うん。芸者の時、ずっと隣にいたから。」

「コーヒーの時も?」

「うん。確かめたくて、触らせてもらっちゃった。」

ソースの焦げる匂いと、青のりの匂いが香ばしい。

「ふぅん。触らせて……。」

とりわけ用とショウ君のヘラを取ったら、ショウ君のこめかみがピクピク動いてた。










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