ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑰ 下

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サトシは尻尾の動きを早くして、少し顎を上げる。

「捕まえて!おいらのこと、大好きなら!」

尻尾が揺れて動きだす。

俺は思わず、それに飛びつく。

もちろん、いつもの如く、そんなに簡単には捕まらないサトシの尻尾。

俺はマサキがいることも忘れて、部屋中を追いかける。

「こら!ショウ!」

マサキの声が響く。

棚の上に飛び乗るサトシ。

追う俺。

ガタガタっとフィギュアの落ちる音がして、

それでも今の俺はそんなことにかまってられない。

逃げるサトシ。

追う俺!

「ショウ!」

マサキが叫ぶ。

サトシはそのマサキの肩を台にして、カズナリの籠まで飛び乗る。

「ぎゃ~~っ!サトシのばか!サトシのばか!」

カズナリが悲鳴をあげ、バッサバッサと飛び上がる。

「ほら、ショウちゃん。ここまではこれないでしょ?」

「なにを!」

俺はここ一番のジャンプ!

俺の鼻先はカズナリの籠を揺らす。

「ぎゃ~っ!ショウ!バカ犬!」

揺れる籠の中でカズナリが喚きたてる。

サトシは、今度はジュンのいる水槽の上に飛び乗る。

あんなに足場が悪くても、サトシのジャンプはいつでも華麗……。

しかも体を捻ってのジャンプ。

もちろん、サトシのいなくなった籠はこれでもかと大きく揺れる。

俺が一瞬、動けないでいると、さすがにマサキも立ち上がる。

「こら!ショウ!サトシ!」

揺れる籠からカズナリも飛び出し、サトシが水槽から飛び降りると、

蓋がずれて、ジュンが顔を出す。

「ハロ~、子猫ちゃん♪俺も大好き♪」

ジュンはブルーがかったその体を左右に振り、壁を上ってサトシを追いかける。

「ほらほら!誰がおいらを捕まえられるかな?」

いつの間に登ったのか、本棚の一番上からサトシが笑う。

「捕まえられたら、何してくれるんです?」

マサキの頭の上に留まりながら、カズナリが聞く。

「そうだな……一生一緒にいてあげるよ!」

一生?

俺は俄然、やる気になって、助走をつけて本棚に前足を掛け、飛び上がる。

体を思いっきり伸ばして……。

鼻先が、サトシの尻を掠める。

一瞬するサトシの匂い……。

続いて、カズナリが羽を広げ、サトシの隣まで飛んでいく。

「私の勝ち~!」

すぐさま、本棚から飛び降りるサトシ。

サトシが華麗に着地すると、その目の前にはジュンが待ち構えてて。

長い舌を出しながら、サトシにウィンクする。

「俺の可愛い子ちゃん♪一生幸せにしてやるからな♪」

ジュンがサトシに近寄ると、サトシがパッと体を翻し、キッチンの方へ走っていく。

逃がさない!

俺は智の前に立ちふさがり、勢いのついたサトシは俺の足にぶつかりそうになる。

そこにマサキの手が伸びる。

サトシの首輪を掴み、ついでに俺の首輪も掴む。

「ウチはドッグランじゃないの!」

ソファーの所に連れて行かれ、俺を座らせ、サトシを膝に乗せて、睨みつける。

「走り回っちゃダメ!」

サトシはちょっと首をすぼめ、小さな声で言う。

「ごめんなさい……。」

その可愛らしい仕草に、マサキの顔が和らぐ。

俺も、マサキの首筋を舐めて謝る。

「ごめんなさい……。」

マサキはサトシと俺を交互に見て、また小さく溜め息をつく。

飛び回ってたカズナリもソファーの背もたれにとまり、

ジュンもソファーを伝って、マサキの腕にへばりつく。

「カズナリもジュンも、煽られちゃダメ!」

マサキがカズナリとジュンを順に見る。

「ごめん、ごめん。」

カズナリが、人語でそう言うと、マサキが顔をしかめる。

「お前は軽すぎ。」

「ごめんなさ~い!」

今度はオウム語?でそう言って、羽を2度バタつかせる。

「ソーリー、マサキ。」

ジュンが首を振りながら顔を上げる。

マサキの指がジュンの顎を撫で、ジュンの口から舌が出る。

「お前もわかってる?」

「わかってるよ!」

ジュンは極め付けの決め顔でウィンク。

マサキは部屋を見渡して、深い溜め息をつく。

「これ、俺が片づけるんだぞ?」

部屋の中はひっちゃかめっちゃか……。

ごめんね、マサキ。

俺も手伝うからさ……。

「ところで……サトシを捕まえたのはマサキだから、サトシはマサキとずっと一緒?」

カズナリがサトシに聞く。

「……そう言うことになるかな?」

サトシはマサキの手を舐め、見上げる。

マサキは仕方ないと言う顔付きで、サトシの頭を撫でる。

「マサキじゃしょうがないか~、飼い主だし~。」

カズナリがチラッと俺を見て、ほくそ笑む。

「マ、マサキ抜かしたら、俺が一番サトシに近かった!」

「近いって問題?」

ジュンもクスクス笑う。

「そ、そうだよ。」

「そうなの?」

ジュンが今度はサトシに聞く。

サトシはマサキの膝の上に寝そべって欠伸を噛み殺す。

「ふわぁ……違うんじゃない?」

え~?違うの?サトシ!

「じゃ、今回は引き分けだね。」

ジュンが嬉しそうに笑って、サトシの腹の下に入り込む。

カズナリも背もたれから飛び降りて、サトシの尻側に寄りそう。

俺もサトシの顔に鼻先をくっつけて、寝そべると、

マサキが困った顔をしながら、俺の背を撫でる。

「なんだ、お前ら、走り回ったら今度は昼寝?」

うん……そうかも。

サトシの眠気が伝染したのかな?

俺もちょっと眠い……。

「これじゃ動けないし……、片付けは起きてからすればいっか……。」

マサキも背もたれに体を預け、静かに目をつぶる。

俺も目をつぶって、サトシの匂いを感じる。

サトシ……。

半分眠りかけた、俺の耳にヒソヒソ声が響く。

「ね、今日のサトシはいつもとちょっと違ってない?」

「そ?」

「うん……ショウに大好きとか、いつもなら言わないし……。」

「ジュン……どんなに近くにいても、アメとムチって大事なんだよ……。」

「アメと……ムチ?」

「たまにはアメもあげないとね……。」

サトシの欠伸が聞こえ、ヒソヒソ話が止む。

アメとムチ……。

……聞かなかったことにしよう……。

薄目を開けてみると、目に映るのは窓。

窓の外には……雪?

微かに白い物がチラついてる。

部屋の中はこんなに暖かくて、穏やかで……。

俺は本格的に眠くなってくる。

「そうだよ。おいら、ショウちゃんが大好き。」

サトシの声を思い出し、俺は眠りにつく。

いい夢見れそう!










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