ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑰ 上

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「サトシ、どう?これ。」

大量に買い込んだ荷物の中から、マサキがピンクの首輪を取り出す。

高そうな皮の首輪で、小さな赤いハートがゆらゆら揺れるやつ。

「今日はさ、2月22日でニャンコの日だから、風間の所で、すげぇ安かったの。」

マサキはそのピンクのやつを、嬉しそうにサトシの首に当てる。

「ほら、似合う!サトシのつやつやの黒に良く似合うよ~。」

サトシはめんどくさそうに、首をクルッと回して俺の所に降りてくる。

俺は、マサキが座ってるソファーの下で、寝そべって見てるんだけど……。

「あんまり気に入らない?」

マサキはせっかく俺のとこにきたサトシを抱きかかえ、膝の上に乗せる。

似合うけどさ……。

すっごく似合うけど……。

俺は首を伸ばして、マサキの手の中の首輪の匂いを嗅ぐ。

新しい皮の匂い。

「これもだいぶくたびれてるから、ちょうどいいじゃん?」

マサキはサトシの首輪を引っ張って、今付けてる水色のを外す。

首輪を外されたサトシは、全身真っ黒。

でもベルベットみたいな光沢のある毛並みは、それだけでドレスを纏うよりゴージャス。

何も身に着けてないサトシはブルッと首を振って、また俺のとこに戻って来る。

「……嫌なの?新しい首輪。」

俺が鼻先をサトシの首の辺りに押し当てると、

サトシは大きな黒い目でチラッと俺を見て、尻尾をピンと立てる。

長い尻尾の先だけクイッと曲げて、俺に背を向け、窓際に行ってしまう。

「サトシ……。」

もしかして……サトシも同じ気持ち?

今の首輪は俺とおそろいの色違い……。

別に二匹で選んだわけじゃないし、愛の誓いを立てたわけじゃないけど……。

マリッジリング、みたいな気がしてた俺。

一生一緒にいられる約束……みたいな。

窓際のサトシが体を縮こまらせて、出窓を見上げる。

一気に体を伸ばし、出窓の上に飛び乗ると、

しなやかな体の側面を俺に見せながら、首だけ俺の方を向く。

「嫌じゃないけど……。」

「嫌じゃないの?」

「……何も付けてないおいらじゃ、ダメ?」

サトシが小首を傾げる。

その姿は、窓から差し込む光を浴びて、神々しいまでに美しい。

きっと、何を付けても、サトシの美しさには敵わないから、おんなじなんだね。

「何も付けてないサトシが好きだよ。」

俺がそう言うと、サトシは少し目を細めて窓から飛び降り、俺の所に駆けてくる。

「おいらも、何も付けてないショウちゃんが一番好き。」

サトシは俺の目の前で、俺を見上げて、俺の鼻先をぺろっと舐めた。

「付けるなら、ショウちゃんと同じのがいい……。」

今日のサトシはいつもより優しくて、俺もちょっと調子に乗る。

「俺と同じの?……俺のこと、好きってこと……?」

サトシはふにゃっと笑って、また俺の鼻先を舐める。

「そうだよ。おいら、ショウちゃんが大好き。」

……どうしたことだ?サトシが俺のこと大好きなんて……。

雪が降る?

いや、この時期、降ってもおかしくない……。

じゃ、槍が降る?

天変地異の前触れ?

それとも何か……裏がある?

そんな俺らを見ていたマサキが短い溜め息をつく。

振り返って見上げると、ちょっと寂しそうににっこり笑う。

「サトシは……ショウとおそろいがいいんだね……。」

珍しく、マサキまで俺らの気持ちを理解した……。

やっぱり槍が降るんだ。

天変地異の前触れだ!

「全く、どこのショウもサトシも……。」

そう言いながら、サトシを抱きかかえ、サトシの首に、元の首輪を付ける。

「きっとこっちの方がしっくりくるね。」

サトシは付け心地を確かめるみたいに首を動かし、マサキを見上げる。

「うん。こっちのがしっくりくる。

 でも、おいら、マサキも大好きだよ。」

小さな声でつぶやくサトシを、マサキがぎゅっと抱きしめる。

「サトシ……好き。」

「く、苦しいから……。」

サトシは身を捩って、マサキの腕から逃れようとする。

それでも離さないマサキ。

俺だって、サトシもマサキも大好きだよ。

いつも言ってるのに……。

なんとかマサキから逃れたサトシが、俺の前で尻尾を垂れる。

「ショウちゃんもおいらのこと好き?」

もちろんだよ。

もちろん……どんな魅力的なメス犬よりも。

どんなにたくさんの餌をぶら下げられても、

サトシが一番だよ。

「……好きだよ。サトシ。」

サトシは満足そうに……笑ってはくれなくて……。

「どうしてかな?そんなに好きなのに、どうして覚えてくれない?」

俺の前で尻尾をゆっくり振る。

「おいらのがお兄ちゃん!」

サトシの目がキラッと光る。

し、しまった!せっかく可愛いサトシだったのに……。

「ご、ごめん……サトシ…君……。」

「本当にわかってる?」

「……わかってます。」

サトシはニコッと笑って、尻尾を静かに上下に動かす。

「おいらのこと好き?」

「大好き。」

「どれくらい?」

「一番!この世で一番!」

俺は勢いよく答える。

「じゃ、見せてよ?」

「見せて?」

首を傾げて聞き返すと、サトシが一瞬、ニヤリと笑う。










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