「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【81~100】

ふたりのカタチ (94)

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類さんとの電話を切って、手にしたマグカップを両手で握る。

もう、ぬるくなったコーヒーは、おいらにはちょうどいい。

一口飲んで考える。

……京都……行ってもいいのかな?

類さんはああ言ってたけど……。

おいらに、着いて行くって発想は全然なかった。

だって、仕事だもん。

普通、彼氏彼女が出張に同行したら……引くよね?

奥さんや旦那さんでも……。

でも、こうやって悶々としてるなら、行っちゃった方がいい?

ショウ君、うざいって思わないかな?

おいらはショウ君の昔の彼女達を思い出す。

おいら達がいるところに来ると、明らかに嫌がってた……。

迷惑がってたって言うか、うざそうって言うか……。

ショウ君にあんな態度取られたら、おいら、悶々とするどころじゃないよ!

仕事も手に着かず、ペンを指でクルクル回しながら、時計を見つめる。

ショウ君、お昼食べたかなぁ。

すると、また携帯が震える。

ショウ君かと思って携帯を見ると、カズからで、おいらはすぐに電話に出る。

「もしもし。」

「あ、サトシ?」

「うん。ショウ君からのメールでしょ。」

「ふふふ。もうみんなから連絡あったの?」

「あった。みんな心配性だから。」

おいらは笑って、ペンを机の上に置く。

「花沢類がいるからね。心配にもなる。」

「心配しなくても大丈夫なのに……。」

「心配になるような態度だったでしょ?あなた。」

「……そうかもしれないけど……。」

おいらは右手でマグカップの取っ手を撫でる。

「こういう時に、花沢類は鼻が利きそうだから……。」

さすが、カズは鋭い。

おいらが息を飲んだのがわかったのか、カズが鋭く突っ込んでくる。

「連絡あった?仕事?」

「……仕事の連絡があったよ……。」

「なんて?出て来いって?」

「ううん。進捗状況の確認。」

「……まめな男だねぇ。ま、モテる男はそうなんでしょうけど。」

カズが大きな溜め息をつく。

「で、何言われたの?」

「大したことは言ってなかったけど……。」

「けど?」

おいらはマグカップをグッと掴む。

「……行っちゃえばいいのにって。」

「……行っちゃえば?」

「うん。会いたいならショウ君とこ、行っちゃえばって。」

「あの花沢類が?」

「うん。」

「あの男も……よくわかんないね。」

「そうかな……。類さんならそうするって言ってた。」

「ああ、あいつらしいのか。」

カズがクスクス笑う。

おいらはマグカップを口に当てる。

ゆっくり口を開いてコーヒーを飲むと、カズが可笑しそうに言う。

「で、行こうかどうしようか迷ってる?」

「……うん。」

「行っちゃえば?」

カズの声が明るくて、おいらは逆に恥ずかしくなる。

一日も離れてられないって、どうなの?

「でも……。」

「でも?仕事がある?」

「仕事は……なんとかなるけど……。」

「切符の買い方がわかんない?」

「それくらいは……窓口に行けば……。」

「何悩んでんの?」

「……そういうのって……うざくない?」

マグカップに口を付けたまま、小さな声で聞いてみる。

カズの返事はなかなかなくて、無言の時間が続く。

「カズ……?」

「本気で思ってんの?」

「だって、ショウ君の昔の彼女達、みんな……。」

「それとあなたを一緒にしちゃダメでしょ?」

「……どうして?」

おいらが聞き返すと、カズの長い溜め息が聞こえた。

「ショウちゃんが彼女達にうざそうにしてたのは、サトシがそこにいたからでしょ?

 昔も今も、ショウちゃんにとってサトシが一番で、それはずっと変わらない。

 だからね、サトシといる時間を邪魔されたから冷たかったんだよ。ショウちゃん。

 そのサトシが会いに行って、ショウちゃんがそんな態度取ると思う?」

「え……あ……。」

「行ってくれば?泊まるとこ、知ってるんでしょ?」

「うん……。」

「平日なら、同じホテル取れると思うし……、

 なんだったら、ショウちゃんの狭いベッドに泊めてもらえば?」

「カズ!」

フフフと笑うカズの声。

「たまにはいいんじゃない?サトシからショウちゃんを求めても。」

「……仕事にまでついて行くって……どう?」

「いいんじゃないの?少なくとも、ショウちゃんは飛び跳ねて喜ぶと思うけど?」

「いいのかな……。なんか、大胆って言うか、しつこくない?」

「しつこくたっていいじゃない。どうしても会いたくなって会いに来たって言えば。」

「……本当に?」

「普段があっさりしすぎなんだから、これで丁度よくなりますよ。」

カズが優しく笑ってる気がして、おいらの気持ちもフッと軽くなる。

「カズ……おいら、行ってみる。」

「ふふふ。行ってらっしゃい。」

「うん。ありがと、カズ!」

「んぷぷ。ショウちゃんの顔が目に浮かぶ。写メ、忘れず撮って来てくださいよ。」

「んふふ。うん。あ……。」

「あ?」

「家から出ちゃダメって言われてるけど……怒られないかな?」

「サトシ……それは天然なの?」

「え?」

おいらは本気でそう思ったんだけど、カズには笑って流された。

おいら、行ってもいいのかな?










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