「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【81~100】

ふたりのカタチ (92)

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携帯の画面にはジュン君の名前。

おいらはまた携帯を耳に当てる。

「ジュン君?」

「お、出るの早いね。」

「んふふ。今までマー君と電話してた。」

「あ~、マサキに先を越されたか?」

「何の先?」

おいらが笑うとジュン君も笑う。

「ショウ君からメールがあったんでしょ?」

「そうそう、あれって、サトシを誘えってことじゃん?」

「あはは。ウチから出ちゃダメなのに?」

「外がダメなら、サトシんちで飲めばいい。」

「うふふ。マー君とおんなじこと言ってる。」

おいらは立ち上がって、キッチンに向かう。

ちょっとしゃべり過ぎたのかな?

喉が渇いて、コーヒーが飲みたくなっちゃった。

「せっかくショウちゃんがいないのに、サトシと会わない手はない。」

「それもマー君と一緒!」

「ほら、先、越されてる。」

ジュン君がクスクスと笑う。

「結婚式の準備はどう?進んでる?」

「スミレがしっかりしてるから。もう任せっぱなし。」

おいらはキッチンで、インスタントのコーヒーを出して、マグカップに入れる。

プンと香るコーヒーの香り。

「今から楽しみにしてるんだよ。ジュン君の晴れ姿。」

「普段のスーツと変わらないよ。」

「そうだねぇ、スーツ姿も板について、ジュン君、男前だから。」

おいらはポットからマグカップにお湯を注ぐ。

「じゃ、その男前とデートなんてどう?」

「スミレさんに怒られちゃうよ。そんな時間があったら結婚式の準備手伝ってって。」

「ははは。言われそう。それより、バレた時のショウちゃんの方が怖いけど。」

「そんなことで怒んないよ~、ショウ君は。」

言いながら、マグカップを持って、アトリエに戻る。

「わかってないなぁ、サトシは。

 ショウちゃんは、誰であろうとサトシに近づく奴を許さないから!」

「そんなことないよ。幼馴染は特別だもん。」

「ほら、やっぱりわかってない!」

ジュン君は終始そんな感じで、ジョーダンを言いながら、おいらを笑わせてくれる。

心配してくれてるんだ。

アトリエの椅子に座って、背もたれに寄りかかる。

「ショウ君が一日いないだけで、みんなおいらが心配?」

おいらが聞くと、ジュン君がクスクス笑う。

「メールにね、“良からぬ輩が近づかないよう、サトシの様子は見るように”ってあったの。」

「良からぬ輩って!」

ショウ君てば、心配しすぎ。

「俺らは良からぬ輩に入らないよなぁ?って三人でメールして。」

クスクス笑うジュン君のイケボイス。

「ほんと、ごめんね。大丈夫だよ。今日は一日仕事してるし。」

「良からぬ輩じゃないから、サトシに近づいてもいいよね?」

「もちろんだよ。でもみんなも心配してる?」

「ほら、俺ら、みんな類見てるから。」

やっぱり、それだよね。

おいらが撒いた種だけど、みんなも心配してくれてたんだね。

マグカップを口に運ぶ。

まだ熱いコーヒーに、唇がビクッとする。

「全然問題ないのはわかってたけど、サトシが泣くのは見たくないから。」

「ごめんね。」

「サトシが謝ることなんてないよ。なんともなかったでしょ?」

「ん……、ちょっと……。」

「あ……波風たっちゃった?」

「おいらがたてちゃった。」

ジュン君は、フフッと笑って、優しい声で言う。

「いいよ、いいよ。少しくらいショウちゃんを振り回したって。

 それでダメになったら、俺がいるから。」

「何言ってるの。スミレさんがいるくせに。」

「ははは。そうだね。でも、結婚しても、何しても、

 俺がサトシを大事に想ってることは、一生変わらないから。」

「ジュン君……。」

おいらは携帯を握り締める。

「ありがと……。」

ジュン君の言葉が嬉しくて、胸がジンとする。

「だから、寂しくなったら電話しなよ?飛んで行くから。」

「んふふ。うん。そうする。」

ジュン君の言葉が、一つ一つあったかくて……。

幼馴染っていいよね。

マー君もジュン君も、小さい頃から知ってて、何でも知ってて……。

ショウ君とのことも、ちゃんと受け入れてくれて……。

おいら、本当にいい友達を持ったよね。

その後、ちょっと仕事の話をして、電話を切った。

進まなかった時間は、気付けばお昼近くになってて……。

あ、そろそろ本気で仕事しないと。

そう思ってペンを持った時、また携帯が震えた。

見てみると類さんからで、おいらはペンを置いて携帯を開いた。

「もしもし。サトシさん?」

携帯からは類さんの柔らかい声。

「はい。どうしたんですか?納期が変わりました?」

「いえいえ、進捗確認と……サトシさんの声が聞きたくて。」

「類さん……。」

おいらはドキッとして携帯を握り直す。

「あ、誤解しないでください。サトシさんの気持ちは十分わかりましたから。

 でも、俺は大野サトシのファンなんです。そして、一緒に仕事をしている……。

 その特権を少しは使わせてください。」

「類さん……。」

「もちろん、隙あらばと言う気持ちが欠片もないかと言えば、嘘になるけど……。

 あなたが仕事で困ったことがあったり、櫻井さんに言えないことがあったりしたら、

 俺に話してみるのもいいでしょう?」

隠し立てのない言葉に、思わず笑いが漏れる。

「類さんてば……ふふふ。」

「サトシさんは私に勇気をくれました。あなたの笑顔と優しさはとても大切なんですよ?」

「……ありがとうございます。」

おいらはコーヒーを一口飲む。

「それに、昼間なら櫻井さんも近くにいないでしょうから。」

「んふふ。そうですね。今日はいつもより遠いし……。」

「遠い?出張ですか?」

「え……まぁ。」

おいらはコーヒーを飲んで言葉を濁した。










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