「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【81~100】

ふたりのカタチ (90)

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「あ、サトシ、泊まるとこ。」

テーブルの上に紙を置いて、ショウ君は荷物の最終確認。

おいらも紙を手に取り、京都のホテルと住所を確認。

ショウ君は、昨日のうちからちゃんと準備してたのに、最後の最後まで確認してる。

一泊なんだから、そんなにいろいろ必要?ってくらいの荷物。

忘れ物したり、必要だったら向こうで買えばいいのに。

「大丈夫だよ。忘れ物したら買えば。仕事のさえ忘れなければ。」

おいらは、マグカップを口に運んでショウ君を見る。

「そうなんだけど、いつも使ってる物が一番いいから。」

ショウ君は最終確認を終え、キャリーバッグを閉めてにっこり笑う。

「だから、一番にサトシを持って行きたい。」

朝からそんな顔で、そんなこと言うなんて……。

行かせたくなくなるじゃん!

「おいらは荷物じゃありません。」

ちょっと意地悪してそう言うと、ショウ君がおいらに近づいてくる。

マグカップを持つおいらを、後ろから抱きしめて、耳元で囁く低い声。

「この温もりが……今晩はないのか……。」

ショウ君の息が左の頬にかかって、前に回した手がギュッとおいらを締め付ける。

そんなこと言わないでよ。

おいらだって、ないんだから。

でも、泣きごと言うと、ショウ君が行くの止めるなんて言い出すから、

ここはグッと大人の対応。

「一晩くらい、大したことないよ。明日の夜には帰って来るんでしょ?」

コーヒーを口にしながら言う。

「一晩くらい?この一晩で何が起こるかわからないんだよ?

 天変地異が起こるかもしれないし、サトシが事故に合うかも……。」

ショウ君がじっと考える。

あ……ショウ君の頭中、色々駆け巡ってるね……。

「サトシ。今日の予定は?」

「家で仕事だから、特にないけど……。」

「今日は一歩も家を出てはいけないよ。何があるかわからないからね。」

「ショウ君……。」

おいらはマグカップを置き、胸の前のショウ君の手に右手を重ねる。

「大丈夫だから。安心して行って。」

ギュッと握って、斜め上を見上げると、

心配そうなショウ君が、眉を八の字にしておいらを見つめてる。

「サトシ……。」

左の腕をショウ君の首に掛け、ショウ君の顔を引き寄せる。

唇を合わせ、すぐに舌を差し込んでショウ君の舌を追いかける。

クチュッと唾液の音がして、体の向きをちょっとだけショウ君に向けると、

ショウ君の腕がおいらの背中を撫でる。

片手はおいらの後頭部に周り、キスが深くなって……。

「ん……は…ぁ……。」

息苦しさに唇を離し、ショウ君の鼻を見つめる。

「おいらだって……我慢してるんだよ?」

目を合わせて言ったら、行かせたくなくなりそうで、

おいらは視線をテーブルに向ける。

「俺はもうすでに行きたくない。」

「ショウ君……。」

振り返って、ちょっとだけ頬を膨らませる。

「……これが終わったら、ちょっとゆっくりできるんでしょ?」

「ん……。」

「一緒に証明書、取りに行こう?ね?」

ショウ君はまだ納得できない様子で、眉が下がったまま。

「早く帰ってこれるようになるんでしょ?」

「まぁ……当分は……。」

「そしたら、ご飯の準備も手伝ってもらおうかな?」

ショウ君は黙っておいらを見つめてる。

おいらはショウ君の手の甲を撫でながら続ける。

「ショウ君の好きな蛸わさぐらいなら、できるでしょ?」

「…………。」

「山葵すって、蛸切るくらいなら。」

おいらが笑うと、ショウ君もやっと眉を上げてくれる。

「山葵はするけど……、俺に包丁持たせて大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。教えてあげるから。」

「すっげぇ大きなブツになるよ?」

「それもきっと美味しいよ。」

クスクス笑うと、ショウ君にも笑顔が戻って来る。

「……わかった。」

ショウ君はおいらの手をギュッと握って、荷物の方へ行く。

一日くらい離れたって大丈夫だけど、離れたくない気持ち。

おいらもショウ君も同じ。

心配よりも寂しさ?

「そろそろ行かないと……。新幹線は待ってくれないよ。」

おいらも自分を奮い立たせて、笑顔で声を掛ける。

「ああ、そうだね。もうそんな時間か……。」

ショウ君は腕時計を確認し、荷物を持って玄関に向かう。

おいらも忘れ物がないか、キョロキョロとダイニングを確認する。

ショウ君は玄関で新幹線のチケットを確認して、内ポケットにしまう。

玄関で靴を履くショウ君の背中。

広くて大きな、ちょっとなで肩の背中を見てたら、抱きしめたくなった。

後ろからギュッと抱き着くと、ショウ君がちょっとだけ振り返る。

「行かせたくない?」

「……行かせたいよ。」

「じゃ、なんで抱き着いたの?」

「……カッコいいから……。」

「サトシ……。」

ショウ君はおいらの手を解いて振り返る。

おいらを見つめるショウ君の視線……。

おいらは目を逸らして下を向く。

「俺を見て?」

おいらは小さく首を振る。

「見て?」

仕方なく顔を上げると、ショウ君が優しい顔で笑ってる。

「大丈夫。ちゃんと行くから。そこまで無責任じゃない。」

その顔があんまりにもイケメン過ぎて、思わずショウ君の首に抱き着く。

「……行ってらっしゃい。」

「……行ってきます。」

ショウ君もおいらの背中に腕を回して、おいらをギュッと抱きしめた。










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