「season」
CARNIVAL NIGHT Part2

CARNIVAL NIGHT Part2 #28 - season 文化祭編 -

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教室のドアも、木の引き戸のようになっている。

「じゃ、4名様ですね。恐怖の世界をご堪能ください。」

片目をお岩さんのようにメイクした受付の女の子が中へと促す。

4人は顔を見合わせ、ジュンが引き戸を開ける。

中には黒いカーテンがかかっていて、

引き戸を閉めてからカーテンの中に入るよう指示される。

言われるままに引き戸を閉めると、よっぽど丁寧に作ったのか、

ほぼ真っ暗で、何も見えない。

「サ、サトシっ!」

ショウの声がサトシを呼ぶ。

「ショウちゃん、もう怖がってんの?」

ジュンの声がせせら笑う。

「マー君?」

サトシはマサキの声がしないことが気になってキョロキョロする。

「だ、だいじょうぶ。」

マサキの声は少し震えている。

「ほんと?」

「……うん。」

少し目が慣れてくると、人の姿がぼんやりわかるようになってくる。

「じゃ、行くよ?」

先頭の方からジュンの声がみんなに呼びかける。

ジュンは返事を待つことなく、カーテンを開ける。

黒いカーテンの向こうも真っ暗で、4人は体を寄せ合って先に進む。

誰かがサトシの手を握る。

「あ……。」

背中から両肩を掴まれ、振り返ると、マサキの顔が、ほんの数センチの所に見える。

「マー君?」

「サトシ~。」

マサキが情けない声を出す。

「何、みんなビビってんの?」

ジュンが強気な声でサトシを引っ張る。

サトシはショウがいないことに気づき、キョロキョロする。

「ショウ君?」

「サ、サトシ~っ!」

絞り出すようなショウの声は少し後ろから聞こえる。

「置いてくぞ!」

ジュンが面白そうに声を上げる。

「う、うっせぇ!」

強がって見せても、ショウの声に覇気がない。

そこへ、何か白い物がフワッと横切る。

「う、うわぁっ!」

先頭のジュンが仰け反り、その声にショウがびっくりする。

「ひぇ~っ!」

サトシの後ろのマサキは微動だにしない。

「大丈夫。布だから。」

あんまり怖がるショウを落ち着かせようと、サトシが種明かしする。

「なんだ、布か~。」

ジュンがホッとして、溜め息をつく。

サトシはチラッと後ろを向いて、ショウの影に向かって手を差し出す。

「ショウ君、置いてかれちゃうよ?」

ショウはその手を見つけると、慌てて飛びつく。

「ダメだなぁ、ショウちゃん。」

ジュンが勝ち誇ったようにクスクス笑う。

サトシを中心に4人は少しずつ進んでいく。

途中、白い着物のクラスメート何人かに脅かされ、

上から釣らされたこんにゃくにビビり、足元のスポンジに膝をガクガクさせながら、

団子状になった4人は辛うじて前に進む。

お化け屋敷も終わりに近づくと、例の女を埋め込んだと言われる壁が4人の前に現れる。

その壁にはボーっと人の影のようなものが浮かび上がり、赤い照明が怖さを煽る。

「こ、これで最後?」

ジュンがサトシの手を握り直す。

「うん。」

サトシは嬉しそうに最後の壁を見上げる。

「これ、おいらが作ったの。」

そう言われたら、見ないわけにいかない。

怖くて、半分以上目をつぶったままのショウが壁を見上げると、

どこからか、女性の悲鳴が轟く。

「キャーーーーー。」

「ひぃーーーーーーっ!」

女性の悲鳴に驚いたショウが、それ以上の恐怖の声を上げる。

すると、壁が崩れ、中から白い着物に長い黒髪の女が、

ジュンに縋りつくように現れる。

さすがのジュンも驚いて悲鳴を上げる。

「く、くんな~っ!!」

その声を皮切りに、4人が一斉に出口に向かう。

ジュンもショウも、これ以上早くは走れないんじゃないかという速さで駆け抜け、

黒いカーテンを跳ね上げ、一気に外に飛び出す。

少し遅れたサトシとマサキが壁の方を振り返ると、二人に向かって女が手を振る。

「楽し…かった…ね……。」

そう言うと、女がスッと消える。

「サ、サトシ?」

マサキとサトシは顔を見合わせ、一目散に出口に向かう。

二人が出口のカーテンから飛び出すと、

ジュンが荒い息を吐きながら、後から出て来た二人を確認する。

「あ~、怖かった~っ!」

ジュンの声に、マサキが答える。

「最後の……しんどい!」

マサキも膝に手を付き、はぁはぁ言う。

ショウはしゃべることもできないようで、後から出て来たサトシを情けない顔で見つめる。

「ショウ君、大丈夫?」

ショウはただ、大きくうなずく。

「どうだった?怖かった?」

出口担当のサトシのクラスメートが声を掛ける。

もちろん白い着物に血のりメイクだ。

「うん。最後の演出すごかったね。いつ変えたの?」

サトシがニコニコしながら聞く。

「まさか、壁が壊れるとは思わなかった!」

「え……壊れたら、次に使えないじゃん。」

「あ……そうだね……。」

サトシは不思議そうに首を傾げる。

クラスメートはそっと出口から中を確認し、入って行く。

4人は一抹の不安を感じながらクラスメートが戻って来るのを待つ。

「まさかね……。」

ジュンが引きつる頬を少し上げてマサキを見る。

マサキの顔は青く、クラスメートが帰って来るのを待つまでもない様子で……。

戻ってきたクラスメートがにっこり笑ってサトシに駆け寄る。

「やっぱり壊れてないよ。」

4人の背筋を悪寒が走り、やっと整った息を止め、

階段に向かって走り出した。










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