「WONDER-LOVE」
WONDER-LOVE【21~40】
WONDER-LOVE -38-
2016.12.05 *Edit
「ね?さりげなく肩、抱けたでしょ?」
「う、うむ……。」
「この距離で見つめあったら、自然とキスできるから。」
「本当か?」
「疑うなら、やってみれば?」
帝王様は智の横顔を見つめる。
スッと通った鼻筋。
真っ直ぐ空を見つめる瞳。
綺麗な曲線を描く唇。
薄紅色の唇……。
滑らかな唇……。
帝王様は智の唇から目が離せない。
見られていることに気づいた智が帝王様の方を向くと、
帝王様との距離はわずか数センチ。
驚いて体を引こうとしても、肩を抱かれているので、動ける範囲はたかが知れてる。
「ショ、ショウ君……。」
じっと智の唇を見つめる帝王様。
帝王様の囚われたような、焦点の合わない瞳に、智も動くことができない。
「ショウ君……。」
帝王様の顔が近づく。
「え……あ……、ちょっ……。」
帝王様の腕の中で、身じろぎする智。
「ダメ……?」
帝王様の自信無さげな声に、智も慌てる。
「あ、だから……嫌とかじゃなくて……恥ずかしい……。
こんなみんなの見えるとこじゃ……。」
「じゃ、見えなきゃいいんだな?」
帝王様が人差し指を立てると、指の先から煙が立ち上る。
その煙が大きく広がって、二人を包み込む。
「これで……外界からは何も見えない……。」
「ほんと……?」
「ほんとだ。俺様が智に嘘をつくわけがない。」
帝王様は智のポケットからどんぐりを一つ取り出し、隣のベンチに向かって投げる。
どんぐりは隣に座っていた親子連れのお母さんの肩に当たる。
「……?」
不審そうに帝王様達を見るお母さん。
「これ、どこから飛んできた?」
「ん~、あっち?」
子供も首を傾げて帝王様達の方を見る。
「さっきまで、誰かいたような気がするんだけど……。」
お母さんが首を捻る。
「枝に当たって、飛んできたのかな?」
お母さんがどんぐりを子供に渡すと、子供は喜んで、木を見上げる。
「どの木だろう……。」
グルグルと周りながらどんぐりの木を探す子供。
それを微笑ましそうに見つめるお母さん。
「な?俺様達は見えてない。」
帝王様はグイッと智の肩を抱き寄せる。
不意をつかれて、素直に抱き寄せられる智を、見下ろすように帝王様が笑う。
「ショ、ショウ君……。」
帝王様が唇を近づけると、智は少し考えるように視線を泳がせ、
最後に覚悟を決めたように、そっと目を閉じる。
これは……キスしてもいいってことだよな?
バクバクと高鳴る鼓動に、帝王様のテンションもMAX。
帝王様の唇が、智の唇に近づいて行く。
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