「season」
CARNIVAL NIGHT Part2

CARNIVAL NIGHT Part2 #22 - season 文化祭編 -

 ←ふたりのカタチ (78) →ふたりのカタチ (79)


5人は袖で出番を待つ。

上手側にサトシとカズが、下手側にマサキ、ジュン、ショウが待機する。

前のグループのダンスが終わり、幕が下りる。

場内アナウンスが、10分間の休憩を伝えると、

バタバタと舞台の上を走り回るカズのクラスの生徒。

バーを下し、布を広げる者、大道具を用意する者、出演者も準備に余念がない。

カズが次々に指示を出していく。

用意があらかた整うと、上手にみんなが集まる。

輪になって、カズを中心に最後の確認をすます。

「さぁ、もうすぐ舞台の幕が上がる。一度っきりの舞台。

 泣いても笑ってもこれっきり。」

カズがみんなを順々に見て行く。

「ラストはどうなるかわからないけど、

 最後はみんなで笑いましょう!」

「おぅ~!」

みんながカズとハイタッチして、持ち場についていく。

「さ、私達も位置につきますよ。」

カズがサトシを促す。

サトシもコクリとうなずいて、上手に移動する。

場付きで始まる姫達は舞台の上で幕が上がるのを待つ。

休憩終わりのブザーが鳴り、アナウンスが流れる。

「間もなく、1年3組の舞台『LOVE』が始まります。

 お席でお待ちくださるようお願いいたします。

 なお、撮影、録音等の行為は固くお断りしております。

 そのような行為が発見された時は、強制退場とさせて頂きますので、

 ご了承くださいませ。」

アナウンスは淡々と決まり文句を告げて行く。

幕越しでもわかる、ざわざわとした客席。

しばらくして、今度はチャイムが鳴る。

チャイムが鳴り終わると、ゆっくりと幕が開いて行く。

中央に座って待っているショウのオーロラ姫が一番初めに観客の前にその姿を現す。

客席からどよめきが起こる。

それが、歓声なのか、驚嘆なのか、舞台上の三人にはわからない。

徐々にマサキとジュンの姿もあらわになる。

どよめきはさらに大きくなり、拍手が沸き起こる。

三人は微動だにしない。

幕が上がりきると、ショウが、思いの外大きな声を発する。

「本当に嫌になっちゃう!」

いつもサッカー部で怒鳴っているショウの女言葉に、どっと客席を笑いが包む。

「嫌になるわよね~。」

ポーズを取ったまま、マサキのしらゆき姫が言う。

笑いは止まず、さらに大きくなる。

「イヤイヤ、絶対イヤ!」

ジュンのシンデレラも首を振りながら、口元を隠す。

女子のキャーキャー言う声も混ざる。

「私達って本当にハッピーエンドなの~?」

三人が声を揃えて言い、客席に向かって首を傾げた。

笑い声が大きくなり、会場中を包み込む。

「そりゃあね、幸せだったわよ。あの時は。」

しらゆき姫のセリフで、客席が落ち着いて行く。

三人の姫に見慣れて来た観客達が、やっと芝居を見ようという体勢になってきたのだ。

「そうよね、幸せだったわよね。あの時、靴を履いた瞬間!

 王子が私を見つけてくれた~って!」

「私だって、幸せだったわよ。キスして目覚めたら、

 目の前に素敵な王子様がいたんですもの。」

「いやぁね。それは私も一緒!キスした瞬間、喉の奥のリンゴが取れて、

 ハッと目が覚めて……、王子が私に向かって笑いかけていたんですもの!」

三人はうなずきあって、遠くを見つめる。

かつての栄光を思い出すように目を細める。

「でも……。」

シンデレラの言葉を合図に三人が一斉に声を上げる。

「まさか、王子が同じ人だったなんて!」

そこへ、王子が、白馬に乗ってやって来る。

「姫達!僕の可愛い姫達!」

サトシ王子をピンスポットが追いかける。

もちろん、馬は人間が二人でやっている。

足並みの揃わない馬の脚達と、白タイツのサトシ王子に、

客席から、また笑いが起こる。

馬の背から下りると、王子は一番上手側にいた、シンデレラの手を取る。

王子より背が高いシンデレラを見上げながら、王子が言う。

「ああ、今日も麗しいマイスィートハニー!」

「王子、お待ちしておりましたわ。全然来てくださらないんですもの。」

「公務が忙しかったんだよ。君のことを忘れたことなど一度もない!」

王子はチュッとシンデレラの手に唇を当てる。

いや~っと客席の一部から悲鳴が響く。

サトシは声ですぐに貴田だとわかる。

本当に唇は付けてないから!貴田君!

心の中で叫んで、舞台中央に向かう。

「ああ、今日もセクシーだね。マイスィートハニー。」

「王子が来てくれるのを、首を長くして待っておりました。」

オーロラ姫はゆっくりと立ち上がる。

王子より背の高いオーロラ姫を見上げて、王子が言う。

「公務が忙しかったんだよ。君のことを忘れたことなど一度もない!」

王子はオーロラ姫をギュッと抱きしめる。

キャーっと男の声で歓声が上がる。

ショウがチラッと見ると、サッカー部のキャプテンが、ショウを見ながら笑っている。

だから嫌だったんだよ。

なんで俺が……。

今更のようなことを考え、気付くと、ショウから離れたサトシがニコッと笑う。

しまった……サトシを堪能し忘れた!

時すでに遅く、サトシは下手側に歩いて行く。

「ああ、今日もキュートだね。マイスィートハニー。」

「王子が来てくれないから、しらゆき、拗ねちゃう!」

しらゆき姫は脇を締め、大きな体を小さくする。

両手を組んで頬に当て、ふくれっ面を作るしらゆき姫の、頬に手を添える王子。

可愛い~っと客席から歓声が響く。

可愛いと言われ、調子に乗って、目をぱちぱちさせるマサキ。

長いつけまつげがバサバサと動く。

今度はどっと笑いが起こる。

「公務が忙しかったんだよ。君のことを忘れたことなど一度もない!」

頬に当てた手で、頭をなでなですると、王子は白馬に乗って去って行く。

舞台上から王子がいなくなると、三人の姫が大きな溜め息を吐く。

「みんなに同じこと言ってるの、知らないと思ってるの!!」

三人の姫達が同時に叫ぶ。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png Love so sweet
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png Love so sweet
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ふたりのカタチ (78)】へ  【ふたりのカタチ (79)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (78)】へ
  • 【ふたりのカタチ (79)】へ