「season」
CARNIVAL NIGHT Part2

CARNIVAL NIGHT Part2 #21 - season 文化祭編 -

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舞台の幕が開く。

二日目最初の舞台は吹奏楽部だ。

華やかなファンファーレと共に澄んだ音色が響き渡る。

それを楽屋で聞いていた5人も顔を上げ、時計に視線を向ける。

「始まったね……。」

マサキが立ち上がってウロウロし出す。

「後、1時間ちょっとですね。私、最終確認してきます。」

カズが黒い衣装のまま楽屋を出て行く。

残された4人は落ち着かない。

「はぁ~あっ!台詞……。」

ジュンが台詞の確認に脚本を開く。

ショウはチラチラサトシを見る。

サトシの唇……。

ショウはそのことで頭がいっぱいだ。

サトシが誰を選ぶのか……。

マサキかな……。

マサキは優しくて、どこかサトシと似てるところがある。

サトシが選びやすい?

ショウはウロウロするマサキを見て、首を振る。

ジュンは……。

モンクなしのイケメンだもんな……。

ジュンを選んだら、みんな納得?

脚本を確認するジュンを見つめて、首を振る。

ちょこんとソファーに座ったままボーっと壁を見つめるサトシが目に入る。

その赤い唇は、濡れそぼってキラキラと光る。

ダメだ!俺以外がサトシの……サトシの……、

サトシの唇を奪うなんて~!!

「うぉ~っ!」

突然、雄叫びを上げるショウに、みんなが一斉に振り返る。

ハッと自分の声に気づいてキョロキョロするショウ。

「ご、ごめん……自分に喝を入れようと思って……。」

「うふふ。ショウ君も緊張してるんだね。」

サトシの赤い唇が動く。

それだけでドキッとする。

ドキッとして、そこから目が離せない。

「ショウ君……どうしたの?」

サトシの唇が近づいてくる。

あの柔らかいサトシの唇が……。

「ショ、ショウ君?」

唇を尖らせ、目をつぶるショウに、サトシは戸惑いを隠せない。

パンッ。

部屋中に音が響き渡る。

「いってぇなっ!何するんだよ!」

ショウが振り返ると、脚本を丸めて目を細めたジュンが立っている。

「そんなにサトシとキスしたいの?」

「そ、そんなことねぇよ!」

「あるだろ!」

「ねぇよ!」

「ないんだな?」

「ねぇって言ってんだろ!」

「じゃ、サトシとキスしたくないんだね?」

「うっ……。」

「ないんだね?」

「ね……ねぇよ……。」

ショウの言葉を聞き、ニッと笑うジュン。

売り言葉に買い言葉。

心にもないことを口にし、チラッとサトシを見ると、

悲しそうに視線を落とすサトシの肩を、ジュンがパンパンと叩いて抱き寄せる。

「ショウちゃんはしたくないって。これで、俺とマサキの一騎打ち。

 選びやすくなったね?」

「う、うん……。」

ジュンを見上げて、サトシが切なそうな顔をする。

だが、そんなサトシを見ることもなく、ショウは頭を抱えて下を向く。

あ~、俺はなんて馬鹿なんだ!

自分から抜けてどうする?

ジュンとマサキの確率上げてどうする!

「ショウちゃん、そんなに落ち込まない。

 サトシだって、わかってるよ。

 ショウちゃんがサトシを嫌いでそんなこと言ったんじゃないって。」

そんなの当たり前だろ?

ショウが顔を上げてマサキを見る。

マサキはニコッと笑って、サトシにも聞こえるように言う。

「ただ、人前でキスなんかしたくないんだよね?

 ショウちゃん、硬派だから。」

うぉ~っ!マサキ、お前もかっ!

ショウが睨みを利かせてマサキを見る。

ごめんね、ショウちゃん。

でも、今回は俺にもチャンス、ちょうだい。

二人は好き同士なんだから、いつか本当のキスができるよ。

でも、俺だって……サトシの唇、忘れられないんだよ!

「ショウ君……。」

サトシの小さな声がショウの耳に入る。

「マサキ……お前……。」

ショウが立ち上がろうとした時、楽屋のドアが開く。

「さぁ、そろそろスタンバってください!」

四人に緊張感が走る。

「だ、大丈夫かな?」

マサキが不安そうにカズを見る。

「お客さん?すごい入ってるよ。入れ替え制じゃないから、朝から盛況!

 後5分で前のが終わるから、そしたら袖に入って。」

みんな頷いて、立ち上がり、ドレスの裾を持ち上げる。

「カズ……。」

サトシも不安そうな面持ちで、カズの隣にやってくる。

「大丈夫。何かあったら、同じ舞台に私もいるから。」

「……ありがと。」

サトシがニコッと笑う。

「もう、誰にするか決めました?」

サトシはゆっくり首を振る。

「ま、その場のノリで、ね?」

カズが首をクッと傾げてウィンクする。

「……うん。」

サトシの隣にジュンが並び、サトシの肩を叩く。

その後ろにショウが続く。

さっきのショックが大きくて、とてもサトシの隣になんか行けやしない。

自分の馬鹿さ加減に涙が出そうになる。

……いいや。

ショウはキッと前を向く。

泣いてる場合じゃない。

前のサトシの後頭部を見つめる。

俺ができないなら、誰にもさせるかっ!

ジュンに話しかけるサトシの横顔。

そこに見える赤い唇……。

ぜってぇ、阻止してやる!

ショウの隣にマサキが並び、五人は楽屋を後にする。

「ショウちゃん……。」

「ん?」

「さっきは……。」

ごめんと言い掛けて、言葉を失う。

今回だけだから……なんて言うわけにいかない。

「さ、行きますわよ、しらゆき姫。」

ショウがニッと笑う。

「ショウちゃん……。」

「何かしら?」

「……顔が怖い。」

サトシの唇阻止に燃えるショウの顔は、おとぎの国の姫と言うよりは、

戦いに出る戦士のように力みなぎっていた。










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