「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【61~80】

ふたりのカタチ (77)

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5階に着くと、廊下の奥に電話が置いてある。

ウッチーはそれでどこかに電話を掛けて……。

「あ、ソリューション部の内山です。

 社長室の予約をしたんですけど…………。

 わかりました。よろしくお願いします。」

ウッチーが電話を静かに置く。

「大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。」

ウッチーがニコッと笑う。

すると、ガチャッとドアが開いて、綺麗な女の人が出て来た。

「久しぶり、美礼ちゃん♪」

「うふふ。ほんと、久しぶりですね。こちらにどうぞ。」

女の人が中に入れてくれる。

「知り合いなの?」

こっそり小声で聞いてみる。

「俺は会社中が知り合い。」

ウッチーが満面の笑みで笑う。

「内山さんと知り合いじゃない人なんていないんじゃないかしら?」

女の人もクスクス笑う。

「そんなことないよ~。美礼ちゃんは特別。

 なのに、全然相手してくれなくて。」

ウッチーが肩を竦めて見せる。

「誰にでも言ってるの、よく知ってます。」

美礼ちゃんと言われた女の人が、笑って、さらに奥のドアを開ける。

「会議……打ち合わせ?」

首を傾げてウッチーを見上げる。

「ま、そんなようなもん。」

ニコッと笑ったウッチーが、おいらの肩を抱いて、おいらに向かって、

チュッと口を尖らす。

「……そういうことにはお貸しできません。」

「ははは。いやいや、打ち合わせです。

 そんなことしたら、櫻井に何されるか……。」

「櫻井さん?」

「そうそう。あいつの初恋の相手。」

「え……櫻井さんて、人を好きになったりするんですか?」

美礼さんがびっくりした顔をする。

「ははは、そう思うよね~。」

「だって、この間も、観月さんがこっぴどくフラれたって……。」

美礼さんがおいらをじっと見つめる。

……そんなに見られたら恥ずかしいから……。

おいらが俯くと、ウッチーがおいらの背中を押しながら、美礼さんに言う。

「おいおい、そんなに見るなよ。俺のサトシに穴が開く。」

「俺のって、ウッチー!」

おいらが顔を上げると、また、はははと豪快に笑う。

「そんなこと言ったら、櫻井に刺されるな?」

「そんなことないけど……。」

美礼さんが、あっと、思い出したように口を開く。

「櫻井さんの恋人?前に噂になった!」

「そうそう。」

社長室に入ると、ウッチーは応接セットに腰かける。

座り心地の良さそうなソファーは、ウッチーの重みでズンと沈む。

「そうか~、この人が……。」

美礼さんにまじまじと見られて、おいらはどうしていいかわからず、

その場に立ち止まる。

「だから、あんまり見ないで?ウチのサトシは恥ずかしがり屋だから。」

ウッチーがおいらの手を引いて、隣に座らせる。

「そんなこと言ってると、櫻井さんに言いつけますよ?」

美礼さんがにこりと笑う。

綺麗な人の笑顔って、引き付けられる……。

「……あの噂、本当だったんですね……。」

美礼さんがおいらに向かって笑いかける。

「でも、こんな素敵な人なら仕方ないかも。」

「だろ?あいつ、趣味はいいんだ。人の心はわからないやつだけど。」

「そんなことない!ショウ君は誰よりも優しいよ!」

おいらが突然、声を上げたから、ウッチーと美礼さんがびっくりした顔で、

おいらを見つめる。

「あ……その……、ショウ君、本当に優しいんだよ?」

ウッチーは、一瞬、美礼さんと顔を合わせて、がははと大きな口で笑う。

美礼さんも口元を隠して、本当におかしそうに笑う。

「わ、笑わないでよ~。」

「いや……んっははは……あ、大丈夫。ちゃんとみんなわかってるから。」

ウッチーがおいらの頭を撫でる。

美礼さんも、うんうんとうなずいてくれる。

「ただ、言い寄ってくるやつは、バッサバッサと切り捨てるから。

 ほら、昔からそうだろ?」

「で、でも、付き合ってた人もいたし……。」

「それもなぁ……。」

ウッチーは優しい顔で遠い目をする。

「……一生懸命、嘘ついてるって感じだったもんなぁ。」

「ウッチー……。」

ちょっとおいらとウッチーがしんみりすると、

美礼さんが、明るい声で雰囲気を変えてくれる。

「櫻井さんに浮気の心配は絶対ないってことですね。安心です。」

おいらが美礼さんを見上げると、美礼さんがいかにも秘書ですっていう、

安心感のある顔で笑う。

「それに、櫻井さんもちゃんと真面目な子には真面目に対応してるんですよ。」

「本当か?聞いたことないぞ。」

「真面目に好きになった子は言い触れ回ったりしませんから。

 噂になるのは、計算高い子ばっかりです。」

ウッチーは、ん~っと目を上に向けて考える。

「そう言えば……そうかもな?」

「でしょ?だから、櫻井さん、非人道極まりないって風に言われちゃうけど……。」

美礼さんが困った人達だと言いたげに眉間に皺を寄せる。

「でも、ちゃんと考えてますから、大丈夫ですよ。」

おいらを見て、ニコッと笑う。

「……ありがとうございます。なんか、嬉しい……。」

ウッチーと美礼さんが、小さくうなずく。

「では、ゆっくり打ち合わせしてください。私はそこの秘書室にいますから。」

「はい。ありがとうございます。」

おいらは深くお辞儀をして、美礼さんの後ろ姿を見送る。

美礼さん……スタイルもいい……。

「いい女だろ?なかなか落ちない。」

ウッチーがニヤニヤと笑う。

「うん。ウッチーにはもったいない。」

「そんなことないよ~。」

笑っていたウッチーが、真面目な顔になる。

「一つだけ、さっきのサトシの言葉、訂正してもいいか?」

「ん?おいら、何か言ったっけ?」

「櫻井が……優しいのはサトシだけだからな。サトシ以外には優しくないから!

 俺の扱いなんか、見てみろよ!」

「ウッチ~!」

おいら達は笑って顔を見合わせた。

ウッチーはほんと、おもしろい!










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