「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【61~80】

ふたりのカタチ (75)

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お腹を抱えながら、ウッチーがやってくる。

「なんだ、内山もいたのか。」

「いたのかって、最初からずっといたのに、気付かなかっただけだろ。」

笑顔のウッチーが、おいらの肩を叩く。

「俺が連れてきてやったんだよな?」

「うん。ウッチーありがと。」

おいらがウッチーを見てニコッとすると、ウッチーの手が肩から外れる。

代わりにショウ君の手が肩にかかって、おいらに話しかけてくる。

「差し入れ、わざわざ?」

おいらを見つめて優しく笑うショウ君。

「うん。打ち合わせ、田村さんの会社だったから。」

おいらもショウ君の顔を見つめてニコッと笑う。

「それだけ……?」

おいらはちょっと視線を逸らす。

一番大事な理由は……。

背伸びして、ショウ君の耳に手を当てる。

「……ショウ君の顔が見たかったから……。」

小さな声でそう言って、ショウ君に背を向ける。

だって……やっぱり恥ずかしいよね?

ショウ君が忙しいのわかってるのに来ちゃうほど、ショウ君に会いたかったなんて!

後ろにいたウッチーがニヤニヤ笑ってる。

恥ずかしかったけど、でも、会えた嬉しさもあって、

ウッチーを見上げて、えへへと笑う。

ウッチーがヨシヨシとおいらの頭を撫でてくれる。

その手がペシッと払い退けられ、後ろからショウ君に抱き着かれる。

「サトシ……、お前はどうしてそんなに可愛いんだ!

 ぐしゃぐしゃに丸めて、飲み込んで、一生一緒にいたい気分だ。」

それ……あんまり意味、わかんないけど、ずっと一緒にいたいってことでいいの?

おいらは肩を抱いているショウ君の両腕に手を添えて、ショウ君を見上げる。

ショウ君の顔……。

「櫻井さん、それじゃ、イケメンも台無しですね。」

岡林さんが、おいらが思ったのとまったく同じことを言う。

「うるせぇ。こんな顔でもサトシはイケメンだって言ってくれるんだぞ!

 ね?」

ショウ君がおいらを見つめて、クシャッと笑う。

本当にクシャッと顔を崩して笑うから、おいらも嬉しくなってクシャッと笑ってうなずく。

「くぅ~~~~っ!

 見たか?今の顔!こんな可愛いやつ、この世に存在すると思うか?

 いや、いるわけないんだ。サトシは地上に舞い降りた最後の天使、

 荒れ野に咲く一輪の薔薇……いや、サトシは薔薇というより……。」

「もういいですから。サトシさんの魅力はもうみんな、十分すぎるほど知ってますから。」

岡林さんが、呆れたように溜め息をつく。

「そうか?まぁ、サトシの魅力は会えばすぐにわかるか。」

ショウ君は嬉しそうにおいらの髪の中に顔を埋める。

あ……おいら、臭くない?大丈夫?

「いい匂い。サトシは匂いまでいい!」

「それも知ってます。」

佐々木さんがおもしろくなさそうに机に戻る。

「お前ら、よく知ってるな……。さては、俺に隠れて……。」

ショウ君の腕がギュッとおいらを抱きしめる。

「ショウ……君っ。」

苦しくて、緩めようと両手に力を入れたら、さらに力強く抱きしめられる。

「はぁ~。」

岡林さんがまた溜め息をつく。

「毎日、聞かされてたら、誰でも覚えます!」

「次は、あれですか?サトシの優しさ?」

「え?次はサトシの唇の柔らかさでしょ?」

「違う違う、サトシの才能だよ!」

「順番的にはサトシの肌の滑らかさじゃない?」

チームのみんなが口々に言いあうのを聞いて……おいらの顏はどんどん熱さを増していく。

そりゃそうだよね?

ショウ君!

……おいらのこと思ってくれるのは嬉しいけど、

はずいから~!!

ウッチーはもう、涙を流して、声も出せずにお腹を抱える。

「くっ、苦しい……。」

息をするのもやっとのようで、ゼイゼイしてる。

「ショウ君……。」

おいらは何て言っていいのかわからず、ショウ君を見上げる。

ショウ君はみんなに何を言われても、全く気にならない素振りで、

おいらの匂いを嗅いでいる。

「っはぁ~~。ほんと、落ち着く。サトシの匂い。

 みんなにも嗅がせてやりたいが……絶対ダメ~っ!」

ショウ君!それじゃ子供だから!

「もう、いいから、さっさと仕事しますよ。」

佐々木さんに言われ、おいらもハッとする。

これじゃみんなの仕事の邪魔……。

「おいら、そろそろ帰るね。みんなの迷惑になっちゃうから。」

「え……。」

ショウ君は言葉を飲み込んで、おいらを抱きしめ、体を揺らす。

「ちょ、ちょっとだけ……。もうちょっとだけいて?」

「でも……。」

「超、速攻で仕事するから!」

困ったおいらがウッチーを見ると、ウッチーも、うんうんとうなずいてる。

もうちょっといた方がいいってこと?

そこへ、他のチームの人が、慌てた様子でやってくる。

「大変です。九州がパンクです!」

「パンク?」

ショウ君の目付きが変わる。

「どれくらい足りないの?」

ショウ君はおいらを抱きしめたまま、一枚の紙を手渡される。

それにダァーッと目を通して、椅子に座ると、おいらを膝の上に乗せる。

え?これ、おいらどうしたらいいの?

「岡林!」

「わかってます。他、探しますね。」

ショウ君が手にしていた紙を岡林さんの方に差し出すと、

岡林さんはそれ受け取り、即座に電話を手にする。

「佐々木!」

「納期調整、やってみます!」

佐々木さんも、ファイルを開きながら電話に手を掛ける。

「今聞いてたように、九州分、うちで巻き取る。

 どこまでのキャパが可能か、現在の様子と、人員の確保。

 うちで余る分は岡林が当たってくれる。

 納期は明日の昼!」

「はい!」

みんなが一斉に返事する。

ショウ君もすぐさま、電話で九州?と話し始めた。

おいらを膝の上に乗せるのはどうかと思うけど、

仕事してるショウ君……。

電話するショウ君の横顔を、おいらはすっごい間近で見つめる。

カッコよくて……おいらきっと、目がハートだ!










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