「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【61~80】

ふたりのカタチ (73)

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打ち合わせが終わって、カズに夕飯一緒に食べようって誘ったら、

すぐ帰らなきゃって断られた。

仕事が押してるんだって。

みんな忙しいよね。

田村さんも次の会議があるってすぐ出て行っちゃうし。

「ちょっとお話したいところですけど、今日は急ぎの発注があって……。」

類さんはそっとおいらの耳元で囁く。

「後で……メールします。ちゃんと話したいから。」

そう言って、チラッとカズを見て会議室を出て行った。

隣にいたカズが、フフンと鼻で笑って、おいらの肩を掴む。

「ショウちゃんの会社、近くでしょ?差し入れでも持っていってあげれば?」

カズが意味深に笑う。

「なんだかんだ言っても心配性のショウちゃんだから。

 今日、会うの知ってるんでしょ?」

その『会う』は類さんのことだよね?

おいらは小さくうなずく。

「みんなに差し入れ持って行ったら、きっと喜ばれるよ。」

「そうかな……。忙しそうだよ?迷惑になったら……。」

「忙しい時ほど、甘いものが欲しくなるもんです。

 それにずっと忙しいんなら、そうそう迷惑にもならないよ。

 食べてくださいね~って、置いてくるだけなら。」

カズがおいらの肩を叩く。

そうだね……。

ちょっとだけ……。

お菓子置いて、ショウ君の顔見て帰るだけなら……。

「何より、サトシの顏見たら、俄然、ショウちゃんの仕事スピードアップするし。」

カズは何を想像したのか、クスクス笑う。

「……じゃ、行ってみようかな?」

「で、ショウちゃんの顔、後で写メで送って。」

「ショウ君の顔?」

おいらが首を傾げると、カズがクックックと笑う。

「ショウちゃん、絶対二人っきりになろうとするから~。」

おいらはオフィスで二人っきりになったおいらとショウ君を想像する。

…………。

…………。

……おいら…………スケベだ。

みんないるから絶対ないんだけど。

「サトシ~。」

カズがおいらの顔を見て、頭をナデナデする。

「大人になったんだね~。」

おいらの想像、カズにわかっちゃった?

カァーッと顔が熱くなっていく。

「いいのいいの。それが成長ってもんです。

 なんなら、私がいろいろ教えてあげてもいいですよ?」

「いろいろ?」

「ほら、こうすると気持ちいいとか、こういう顔がそそられるとか。」

カズが面白そうに笑う。

「もちろん、実践で!」

「カズっ!」

さらにおいらの顔が赤くなる。

おいら達がそういうことしてるって……カズ達もわかってるんだ。

そう思ったら、恥ずかしさ倍増で……。

「で、ショウちゃんより私の方がよかったら、私に乗り換えればいい。」

「そんなっ……。」

カズが笑いながら、おいらを抱きしめる。

「大丈夫。わかってます。ずっとサトシを見て来たんだから。

 だから、二人のこともちゃんとわかってますから。」

「カズ……。」

おいらもカズをギュッと抱きしめる。

「サトシを過保護に育てちゃったからね。

 どうも私達はサトシには甘くって……。」

「んふふ。……ありがとう。いつも頼りにばっかりして……。」

「頼られたいんだから、いいんですよ。

 ま、ショウちゃんに頼られるのは、時と場合によりますけど?」

「カズ……。」

おいら達は体を離してクスクス笑う。

カズがショウ君に冷たいこと言うのは昔から。

でも、本当に冷たいわけじゃない。

カズの優しさ……。

ショウ君が素直になれるように。

「じゃ、そろそろ私も行きますね。」

「うん。」

おいら達は田村さんの会社の前で別れた。

「何買ってったらいいんだろう……。

 おいら、そういうのよくわからないし……。

 カズに聞いておけばよかった。」

おいらは近くのお店に入って、みんなで食べられそうな物を探す。

すっごい可愛いのを見つけて、すぐにそれに決めちゃったけど……。

喜んでくれるかな?

紙袋をぶら下げて、ショウ君の会社の受付に行く。

なんか……ドキドキする。

初めてじゃないけど、なんの用事もないのに行っていいのかなぁ?

まずはショウ君にメールする?

でも、突然行って驚かせてみたい気もするし……。

どうしようかとロビーでウロウロしていたら、後ろから声を掛けられて

おいらがびっくりする。

「サトシ!」

振り返ると、ウッチーがにっこり笑って立っている。

「ウッチー!」

昔から変わらない、楽しそうな笑い顔。

ホッとして、昔とは違う、スーツ姿のウッチーに駆け寄る。

「どうしたの?また櫻井のお使い?」

「ううん。用があるわけじゃないんだけど……。」

ウッチーが紙袋に気づいてくれる。

おいらはそれを持ち上げて、ウッチーに見せる。

「ショウ君、忙しそうだから、差し入れと思って……。」

声がどんどん小さくなる。

なんか……おいらがショウ君に会いたくなっちゃったの、バレちゃいそうで……。

ウッチーはにっこり笑って、おいらの背中に手を添える。

「うん。みんな喜ぶよ。なんせ、大野サトシからの差し入れなんだから。

 おいで。俺が連れてってあげる。」

ウッチーが受付を済ませてくれて、並んでエレベーターを待つ。

「よかった!ウッチーに会えて。」

「俺も。サトシと会うと、荒んだ心に清水が染みわたるよ。」

「そんなことないよ……。」

「いやいや、ほんと、サトシは清水みたいなもんだから!

 きっとみんなもそう思ってる!」

ウッチーはおいらが安心できるように、肩をポンポンと叩いてくれる。

「ありがと。」

おいらが笑うと、ウッチーの肩にかかった手に力が入る。

「ねぇ、ウッチー?」

「ん?」

「清水って……何?」

「知らないで話してたの?」

「うん……。」

おいらがはにかんで笑うと、

ウッチーはガハガハと大きく口を開けて笑い出した。










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