「season」
CARNIVAL NIGHT Part2

CARNIVAL NIGHT Part2 #17 - season 文化祭編 -

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いつもの中庭も、今日は人でごった返している。

隅に作られた特設会場でライブが行われている他、一休みする人の姿も多い。

5人がいつもランチで使う木の下のテーブルも、今日は家族連れが楽しそうに笑っている。

中庭を突っ切って、ジュン達の普通科校舎に入って行く。

「ジュン君、やってるかな?」

「……俺なら営業に回すけど。」

カズがニッと笑う。

「え~、ジュン君のディーラー姿、見たかったのに!」

「いつもの制服と大して変わらないでしょ?」

「そんなことないよ。……蝶ネクタイだし……。」

サトシは貴田が嬉しそうに蝶ネクタイの話をしていたのを思い出す。

今朝早く、準備をしているサトシの所にこっそりやってきて、

嬉しそうに話していったのだ。

自分の蝶ネクタイを潤君が使ってくれる。

それだけで、今回の文化祭は一生思い出に残ると、貴田が嬉しそうに笑う。

その顔を思い出すだけで、楽しい気分になる。

サトシは一人で、フフッと笑った。

階段を上り、奥のジュンのクラスに向かう。

ジュンのクラスの前には椅子が設けられ、

看板には今日のカジノのスケジュールが書かれている。

どうやら、15分毎の入れ替え制で行われるらしい。

椅子の最後尾に並ぶと、黒いタイトスカートの女子が、人数を数え始める。

「今、並んでいるお客様まで次回入場になりま~す。」

いつも、制服姿の女子しか見ていないサトシは、

タイトスカートから伸びた細い黒ストッキングにドキッとする。

黒ストッキングは、一気に女子度を上げる。

「ジュン君、好きそうですよね?あの足。」

カズがサトシの耳元で囁く。

「そ、そうかな?」

ショウ君も……好きなのかなぁ、あの足……。

そう思うと足から目が離せなくなる。

「サトシも好き?」

カズがクスッと笑う。

「そ、そんなことないよ……。」

足から目を逸らして、口を真横に結ぶ。

「大丈夫。美脚なら、サトシも負けてないから。」

「そんなことも……ない……。」

サトシは椅子から下した足をブラブラと揺らす。

「あははは。わかりやすいねぇ。あなたは。」

「何が?」

不満そうに見上げるサトシの頬をカズの手が撫でる。

「顔だって、負けてない。姫役の方がよかったかな?」

カズのサラッとした髪が揺れ、首がクッと曲がる。

「よ、よくない!おいら、王子でよかったよ!」

サトシがそう言うと、ジュンのクラスからぞろぞろと人が出てくる。

「お並びのお客様、こちらへどうぞ~。」

座っていた客が一斉に立ち上がり、入口に誘導される。

入口でコインを買い、入ってみると、中はカジノを模して豪華絢爛。

天井から下げられたシャンデリアは生徒のお手製のようで、

針金とプラスチックのキラキラした石で造られている。

天井は布で隠され、壁も全部黒で統一。

有名絵画を模した絵や花瓶等で、ところどころ装飾されている。

テーブルは全部で4つ。

それぞれにディーラーが付き、客が席に着くのを待っている。

入ってすぐ、ジュンと目が合ったサトシは、

ジュンのテーブルに行こうとするが、すでにジュンのテーブルは満席。

「ごめん、後で飯行こ。」

ジュンが片目をつぶって、顔の前で手を合わせる。

赤い蝶ネクタイがジュンをさらに華やかにしている。

「うん。何時に終わる?」

「この回で終わりだから。」

ジュンが、サトシの隣のカズに気づいて、ニヤッと笑う。

「せっかくサトシとデートだったのに。」

「そうはさせませんから。」

ジュンが前髪をかき上げると、ジュンのテーブルの女子から悲鳴が上がる。

「ほら、サトシ達も席について。」

ジュンに言われ、空いてる席を探して、テーブルにつく。

「では、ルールの説明をさせて頂きます。」

ディーラーがすました顔で説明を始める。

説明が終わると、手前に作られたカウンター状のブースの中の小さなルーレットが、

大きなスクリーンに映し出される。

「では、ベットしてください。」

サトシとカズは顔を見合わせ、コインをテーブルに置いていった。



「大漁、大漁!」

カズは袋の中いっぱいのお菓子を見て、満足そうに笑う。

二人は、ジュンのクラスの前で、邪魔にならないようにジュンを待つ。

「どうして~?どうしてカズだけ当たるの~!」

サトシは自分の袋の中に入った二つのお菓子を見て不満そうにカズを見る。

「それは……ここ、使わないと。」

カズが自分の頭を人差し指でトントンと叩く。

「あのルーレット、おもちゃだから偏りが半端なかったでしょ?

 何回かやれば確率高いところがわかってくるから~。」

最初15枚だったコインが、帰りにはカズ328枚、サトシ6枚になっていた。

お菓子はコイン3枚で交換してくれる。

カズは、全部交換すると今日の営業に支障をきたすでしょうと言って、

袋1つ以外を断った。

1つと言っても、袋いっぱいのお菓子。

十分過ぎる量だ。

まだ口を尖らせるサトシを見て、クスッと笑ったカズが、

サトシの袋に一掴み、お菓子を入れる。

「ほら、これでも食べて。」

「カズ~。」

「そんな顔しない。」

カズがサトシの頬をぶにっと摘まむと、ジュンがやってきた。

「お待たせ~。」

ジュンは二人の袋を見て、ニコッと笑う。

「二人とも結構楽しめたみたいだね。」

サトシとカズは顔を見合わせ、ジュンを見る。

「あ……そんな感じ?」

満足そうに微笑むカズと、口をアヒルのように尖らせるサトシを見て、

ジュンが楽しそうに笑った。










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