「season」
CARNIVAL NIGHT Part2

CARNIVAL NIGHT Part2 #14 - season 文化祭編 -

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文化祭前日は、それぞれクラスの準備に回る。

クラス以外にも部活の準備も手伝わなければならない。

舞台に出ると言うことで、多少免除されていた5人も、

この日ばかりは大忙しで部活、クラスを回る。

ショウが大きな模造紙を持って、小走りで中庭を突っ切ると、

サトシが、いたるところに絵の具のついた大きなエプロンを着けて、ペンキを抱えている。

「あ、ショウ君。」

ショウを見つけたサトシがニコッと笑う。

「美術部?クラスの手伝い?」

ショウもにっこり笑う。

「クラス。」

サトシはペンキを持ち上げて見せる。

「サトシのクラスは何?」

「んふふ。お化け屋敷。」

手を前に垂らして、おばけの恰好をして見せる。

「え?サトシがおばけやるの?」

「やるよ。土曜日の午後の当番。カズの舞台が日曜日だから。

 ショウ君も来てね。おいら、頑張って脅かすから!」

「え……いや、サトシがやるなら行きたいけど……。

 俺もクラスと部活とあるから……。」

「そっかぁ。忙しいよね?」

サトシが上目遣いでショウを見る。

「で、できるだけ行くけど……。」

「うん。来れたら来てね。」

ニコッと笑って、通り過ぎようとしたサトシが、振り返って、

ショウの耳に手を当て、小声で言う。

「大丈夫。あんまり怖くないから。」

「え?」

サトシの手から耳を外し、驚いた目でサトシを見つめる。

「ショウ君、昔から苦手だったもんね。おばけ。」

サトシがクスクス笑う。

「ばっ、ばか、それは昔の話。今は……。」

「そうだよね。もう子供じゃないもんね。

 じゃ、待ってるね~。」

サトシがペンキを揺らしながら笑って行ってしまう。

ショウは困ったように眉間に皺を寄せる。

「サトシ、おばけが怖いかどうかに、大人も子供も関係ないんだよ……。」

はぁと大きく溜め息をついて、模造紙を持ち直し、クラスへ急ぐ。



「松本君、黒のベスト……持ってるんだっけ?」

「持ってる。けど、全然着てないから、着れるかなぁ。」

ジュンはクラスの飾りつけを手伝いながら振り返る。

貴田が、両手に何かを持って、ジュンに近づいてくる。

「松本君には、どっちが似合うかなぁ。」

貴田が持っていたのは赤と黒の蝶ネクタイ。

両手の上のネクタイを見比べ、ジュンに視線を移し、

赤い蝶ネクタイをジュンに当てようとする。

すると、いつの間にかやってきたクラスの女子が、

黒い蝶ネクタイを貴田の手から取り上げる。

「ジュン君は黒で渋い感じがいいんじゃない?」

そう言いながら、ジュンの首に合わせてみる。

「え~、全部黒なんて面白くねぇよ。貴田ぁ!」

ジュンは顎を上げて、貴田にネクタイを当てろと促す。

ジュンの突然の行動に、オロオロする貴田を見て、ジュンは貴田の手を掴む。

「俺、赤、似合わない?」

その手を自分の首に持っていく。

貴田の顔が見る間に赤くなっていく。

貴田はおずおずと、手の中の蝶ネクタイをジュンの首に当てる。

「……似合う……と思う……。」

「ん~、ジュン君、顔がいいから何してもカッコいいもんなぁ。」

隣の女子も満足気に顎を撫で、飾りつけを手伝いに行く。

「それ、貴田の?」

ジュンは赤い蝶ネクタイを指さし、じっと貴田を見る。

「う、うん。黒いのは違うけど……。」

「じゃ、それ借りるから。」

ニコッと笑ったジュンに、貴田の心臓がドキッと音を立てる。

「ジュンっ!こっち手伝えよ!」

「おぅ。」

ジュンは貴田を置いて、男子の輪の中に入って行く。

貴田はそんなジュンを見つめ、ギュッとネクタイを握り締める。

「松本君……。」

ジュンが、自分のネクタイを使ってくれると言うだけで嬉しくて、

今すぐサトシに報告に行きたい気持ちでいっぱいになる。

「あ、皺になっちゃう。」

握り締めた手を開いて、丁寧にネクタイの皺を伸ばす。



電気科の校舎はちょっと離れている。

頭にタオルを巻き、口に釘を咥えたマサキが、金づちでトントンと釘を打っていく。

手慣れた様子で打っていくものの、打った釘はなかなか真っ直ぐ入ってはいかない。

「あはは。なんだよ。お前、見掛け倒しだな。」

「俺はなんでも恰好から入ってくんだよ。見てろよ?」

クラスメートに笑われても、マサキは楽しそうに笑いながら、金づちを打っていく。

そこへ、数人の女子と一緒に、カズが通りかかる。

「おっ、カズ、どこ行くの?」

マサキは口から釘を取って、カズに声を掛ける。

気付いたカズが、小走りでマサキのところにやってくる。

「私達は買い出し部隊。ウチは駄菓子屋だから。」

「駄菓子屋かぁ。いいね。準備が楽そう。」

マサキがニコニコ笑う。

「ウチは舞台もあるから。」

カズがニヤッと笑う。

「そうだよね、大変だ!」

「マサキんとこは何やんの?」

「俺のクラスは、キッキングスナイパーと、ローリングコインタワー。」

ニカッと自慢げに笑うマサキに、カズが目を瞠って驚く。

「あの、テレビの?」

「そうそう。図面起こして、作ってんの。」

マサキは金づちと釘を見せる。

「図面起こしたのはマサキじゃないでしょ?」

「バレた?」

「すぐバレるわ!」

カズは笑って手を振ると、女子の方へ戻って行く。

その後ろ姿を見送って、作業に戻ろうとすると、クラスメートに声を掛けられる。

「マサキさ、これなんだけど……。」

「ん?」

図面を指さして、眉を下げるクラスメート。

「なんか、マサキの、長くない?」

「え?長い?」

二人して、図面と角材を見比べ、メジャーを取り出す。

「絶対長いよ!」

クラスメートに言われるまでもなく、明らかに長い角材に、

メジャーを当てながらマサキが言う。

「大丈夫、大丈夫。長ければ切ればいいから。」

ニコッと笑うマサキに、クラスメートは苦笑するしかなかった。










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