「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【61~80】

ふたりのカタチ (70)

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「あ、サトシ、新聞取って!」

「はい、ショウ君、急いで!」

おいらは手にした新聞をショウ君に渡す。

「急いでるよ!ヤベッ。もう出なきゃ。」

腕時計を見て、玄関に急ぐショウ君。

「おかしいな。なんで起きれなかったんだろ。

 昨日だって、遅かったわけじゃないのに。」

「疲れが出たんだよ。それに……。」

「それに?」

靴を履きながら、ショウ君が見上げる。

「……やりすぎ。」

おいらがボソッと言うと、ショウ君が大げさに目を剥いておいらを見る。

「やりすぎって!」

心外だと言わんばかりに大きな溜め息をつく。

「止められる状態じゃなかったでしょ?」

「……なかったけど……。」

「途中で止めてもよかった?」

「……よくないけど……。」

「キッチンを最後に……できなかったでしょ?

 それとも、ソファー?バスルーム?ベッド?

 階段のサトシは……。」

「……も、もういいから。」

ショウ君、よく恥ずかし気もなく、昨日のことを……。

おいら、思い出しただけで顔が赤くなるよ。

「またしよう。……階段のサトシ、すっげぇエロかった。

 あんな体位、他じゃできないし。」

「ショウ君!!」

おいらは泣きそうな顔で怒る。

だって……。

「昨日のおいらは、おいらじゃないから!」

「何言ってるの。あれが本当のサトシだから。」

ショウ君がおいらを抱き寄せ、キスする。

「淫らでエロくて魅力的……。」

キスを深くしようとするショウ君の胸を押して、体を離す。

「急がないと!」

「そうだった!」

ショウ君はチュッと軽くおいらにキスして、玄関を出て行く。

「いってきます!」

「いってらっしゃい!」

走るショウ君の背中に手を振って、玄関の鍵を閉める。

おいらもやることがいっぱいで……。

家中の掃除しないと……。

恥ずかしい……。

冷静になると、ほんと恥ずかしくなる。

どうしてあんなことができたのか……。

洗濯機を回しながら、雑巾を洗って絞る。

この土日は、今までの分を取り戻すように……しまくった……。

ちょっとお尻がヒリヒリするくらい……。

十分、ローションも塗ったのに。

変な所が筋肉痛だし……。

腕が痛いのはバスルームかな。

太腿が痛いのは階段……?

思い出して、顔がカァッと熱くなる。

誰もいないのに、キョロキョロして顔を隠さずにいられない。

「は、早く掃除しちゃお。」

声に出してはっぱをかけて、リビングの床から拭いて行く。

窓を開け離したから、心地よい風が流れていく。

午前中に終わらせて、描かないと……。

頭の中で〆切の確認をし、ふとショウ君の出張を思い出す。

「来週の水曜日って言ってたっけ?」

カレンダーを見上げて、赤丸を確認する。

「出張……。」

丸一日ショウ君のいないこの家を想像する。

想像しただけで、ちょっと寂しいなんて、おいら相当重症だ。

すると、携帯が震える。

雑巾をそこに置き、携帯を取りにダイニングに向かう。

テーブルの上の携帯は光ったままで、そこには類さんの文字。

そうだった。

心配かけたまま……。

携帯を開くと、何もなかったような類さんからのメール。

『おはようございます。

 今日はいい天気ですね。

 来週〆切のイラストは順調ですか?

 難しいようなら調整しますので、遠慮なく言ってください。

 今週はゲームの方との打ち合わせがあります。

 よろしくお願いします。』

おいらはすぐにメールを打つ。

『先日はご迷惑をおかけしました。

 無事に家に帰ることができました。

 心配させたのに、メールもせず、ごめんなさい。

 イラストは大丈夫です。〆切までには仕上がりそうです。

 打ち合わせ、カズからも聞きました。

 こちらこそ、よろしくお願いします。』

返信して、携帯をポケットに入れる。

掃除の続きをしようとリビングでしゃがみ込むと、携帯が鳴る。

今度は着信。

おいらはちょっと考えて……。

やっぱり電話に出ることにする。

「……もしもし。」

「……サトシさん?」

「はい……。」

「今、家?」

「……そうです。ご心配おかけしました……。」

おいらの声は申し訳なくて、小さくなる。

メールの返事くらいするべきだったよな……。

あんだけ迷惑かけたんだから。

「俺のことはいいんです。でも、サトシさんは……。」

「おいらも大丈夫です。ショウ君とも……ちゃんと話すことができました。」

「そうですか。……よかった。ちゃんと仲直りできて。」

「本当にごめんなさい……。」

「俺の方こそ……。」

「類さんは悪くないんです。全部おいらのせいだから……。

 でも、もう大丈夫です。」

「ならよかった。声が聞けて、安心しました。」

類さん……。

ずっと心配してくれてたんだ……。

「類さんこそ、帰り、大丈夫でした?

 お酒飲んだのに、車……でしたよね?」

「あぁ、もう酔いは冷めてましたから。

 少しドライブしたかったので、ちょうどよかったです。」

どこまでも優しい類さん……。

本当にいい人。

「本当にごめんなさい。おいらのせいで……。

 迷惑かけっぱなしで……。」

「そんなことないですよ。元はと言えば、俺のせいなんだから……。

 謝るのは俺の方……。」

「そんなことないです。」

類さんの言葉に被せるように言う。

「悪いのはおいらです。類さんが気にすることは何もありません。」

「サトシさん……。」

類さんの声が詰まる。

「本当に、ちゃんと話ができたようですね。

 俺の……いや、いいです。

 では、イラスト、よろしくお願いします。

 打ち合わせの時に進捗状況を教えてください。

 他のも合わせて……。」

「はい。わかりました。無理そうだったら……よろしくお願いします。」

最後に挨拶をして電話を切る。

家に帰ったって、早く連絡すればよかった……。

おいら、本当にダメだな……。

みんなに心配ばかりかけて……。

取りあえず、仕事だけはちゃんとしないと……。

ショウ君は大丈夫かな?

雑巾で床を拭きながら、仕事のことと、ショウ君のことを考えてたら、

あっという間にお昼になってた。










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