「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【61~80】

ふたりのカタチ (67)

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ショウ君の指がおいらの唇に触れる。

遊ぶように指先で唇を撫でて、少し弾いて。

プルンと揺れたのがわかる。

まだひきつる顔で笑うと、ショウ君の指がちょっとだけ口の中に入って、

唇の裏の粘膜にくっつく。

それを、舌先でそっと舐めると、しょっぱくて、

指が舌先をなぞる。

クスッと笑うショウ君の声。

「まだしたいけど……、そろそろ本当のご飯食べないと、お腹ペコペコ。」

おいらもクスッと笑う。

「ショ…君……。」

「ん?」

「…………す…き。」

溢れる気持ちを言葉にしたかったんだけど、

掠れた声で、カタコトになるおいらの声。

それに……これ以上、何を言ったらいいのかわからない。

ただ、ショウ君への想いが体中に満ちていて、

考えただけでギュッとなってキュゥってする。

ショウ君……。

「大……すき……。」

もう一度、小さな声でつぶやくように言う。

まだ声も掠れてるから……聞き取れなくてもいいんだ……。

ショウ君の息が首筋にかかって、ギュッと抱きしめられる。

おいらの背中とショウ君の胸が重なって、汗ばんだ肌が吸い付いて……。

「俺も……愛してる。」

ショウ君がまたクスッと笑う。

「こんな陳腐な言葉じゃ、表現できないくらい

 サトシを愛してる……。

 ああ、俺にもっと語彙力があったら……。」

「……んふふ。ショウ…君……。」

「そうしたら、俺、大作家になれる自信、あるよ。

 サトシへの壮大な愛の叙事詩を奏でるのに。」

ショウ君がふざけてるのか真剣なのか、声だけじゃわからなくて、

顔だけで後ろを見ようとすると、またギュッと抱きしめられる。

「俺しか……考えられなくなった……?」

ショウ君の髪しか見えない。

おいらは、顎でショウ君の額の髪を払って言う。

「ずっと……ショウ君のことしか考えてないよ。」

「……惹かれたって言ったじゃない。」

「あれは……芸能人に対するみたいなもので……。」

「アイドルも……キャスターやるやつ、好きだって言ってた……。」

「それは……。」

ショウ君に似てるからじゃん。

でも……ショウ君、よく覚えてたね。

「今度一緒に見て……そしたらわかるから。」

「サトシがカッコいいって言うやつなんか、見れるか。」

おいらは溜め息をついて、ニコッと笑う。

「……ショウ君に似てるんだよ……。

 スーツ着てバリバリ仕事してるショウ君って、きっとこんな感じなのかなって。

 それに一生会う機会なんてないんだから……。」

ショウ君が、ちょっとだけ顔を上げる。

「類さんに惹かれたのも、たぶん同じ……。

 おいらの好みは……昔からショウ君みたい。」

おいらが笑うと、ショウ君がおいらの唇に唇を当てる。

優しく甘い……フワフワするようなキスをしてくれるショウ君。

さっきまでしてたことが、嘘みたいに思えてくる。

「キス……現実味のないキス……。」

ショウ君……?

「虚(むな)しさ……感じた?」

虚しい……。

あれが虚しさなのかはわかんないけど……。

「いろんな人としてきたけど……。

 自分がしてるんじゃないみたいな感じは初めてだった……。」

「いろんな人と?」

ショウ君の眉がピクッと上がる。

「う、うん……ショウ君だって知ってるじゃん。」

「知ってる?」

「うん。幼稚園の時の……ジュン君とか。」

「……それ、知らない。」

「そうだっけ?」

「……後は?」

見上げるショウ君の目力が……。

「小学生の時のカズ。」

「それは知ってる。」

「中学生の時のマー君のは……されちゃったやつだから、入れなくていい?」

「……入れる。」

単語だけのショウ君……。

「高校の時のジュン君……。」

「そうだった……。」

「されちゃったのを入れると、高校時代は何人か……。

 寝てる……時にされることが多くて……。」

おいらは翔君との初めてのキスを思い出す。

今思うと、淡い淡い恋心。

「何人か……。」

「その後も……。

 でも、みんな虚しくはなかった……。

 ショウ君は……虚しいキス、したことあるの?」

「……あるよ。」

ショウ君はうつ伏せのおいらの両脇に手を付いて、体を持ち上げる。

ぴったりくっついていた肌が離れて、寒さを感じて、体の向きを変える。

横向きになって、ショウ君を見上げて言う。

「虚しかったの……?」

「うん……。俺も高校時代……。」

ショウ君が誰とのことを言ってるのかわからなくて、首を傾げると、

ショウ君の指がおいらの頬を撫でる。

「部活の先輩。マネージャー。」

……なんとなく覚えてる。

ショウ君と仲良かった……一緒に買い出しとか行ってた……。

「マネージャーも好きな人いたから。」

ショウ君が横からおいらを抱きしめる。

「俺も、ずっとサトシが好きだったから……。」

ショウ君の唇がおいらのと重なって、熱いキスに変わる。

その手がおいらのお腹を撫で、おいらの体を仰向けにする。

「ショ……。」

ショウ君を見つめると、おいらの両脇に肘を付き、

何とも言えない、優しい瞳で笑う。

「……先にデザート食べちゃおうかな……。」

ショウ君の唇が、おいらの首筋を這うと、

狙いすましたようにグゥとお腹が鳴る。

「ご、ごめん……。」

クスッと笑うショウ君。

「いいよ、やっぱり先にご飯だね。

 運動してお腹空いちゃったし。」

ショウ君が、チュッとおいらの唇に唇を当てた。










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