ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑮ 上

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「サトシ!動くなって!」

マサキがサトシを押さえつけて、首に黒い……布?を着けてる。

「あ~!せっかく可愛くしてるのに!」

「やめろって!マサキのばかっ!」

サトシが前足で首に巻かれた布を引っ張る。

もちろん、マサキにはニャァニャァ言ってるようにしか聞こえない。

「だから!せめて写真撮るまで我慢!」

俺はじっとマサキとサトシを見つめる。

これをかれこれ30分は続けてる。

マサキもしつこいけど、サトシもなぁ……。

……ちょっと我慢すれば終わるんだから、我慢してあげればいいのに。

飼い主を癒してあげるのが、俺らペットの役目。

本当にサトシはそういうの気にしない。

でも、マサキのセンスもどうかと思う。

黒猫サトシに黒い布つけても、あんまり変わらないんじゃない?

ふぁあ~あ。

いつまでも続くから、俺眠たくなってきたよ……。

「サトシ!我慢!」

上からカズナリが叫ぶ。

生欠伸を噛み殺し、カズナリを見上げると、

カズナリの頭の三角帽子がズルッとずれて……。

「わっ、わっ、わぁ~っ!

 真っ暗!真っ暗だよ~!」

カズナリは鳥目だから、真っ暗が大嫌い。

バタバタと羽を散らしながら、籠の中で暴れてる。

それを見上げたマサキの隙を縫って、サトシが逃げ出した。

斜めにずれた黒い……マント?

頭に乗せた三角帽子は俺とおそろいなのに、首の紐を前足に引っ掛けて

引っ張るから、どうしたって後ろにずれて……。

「サトシ~っ!」

マサキの腕をヒラリとかわし、俺の背を台にして棚の上に乗る。

さらに上に飛び乗って、俺らを見下ろすサトシ。

背の高いマサキでも、指先が届く程度の高さ。

「サトシ?サトシちゃ~ん。」

猫なで声を出すマサキ。

でもサトシは素知らぬ風で前足を舐める。

「サトシ!曲がった帽子、直してあげるから!」

サトシはもう、どうでもいいという感じで、帽子にも巻かれた布にも見向きもしない。

はぁと溜め息をついたマサキが、俺を見て困った顔で笑う。

「しかたない。お前とカズナリとジュンで撮るか。」

そうだよ。最初っからサトシは無理だったんだよ。

マサキは水槽からジュンを取り出し、少しテーブルの上に置いてから

小さな小さなマントを着ける。

ジュンは寒いところでは動きが緩慢。

だから、マントもじっと着けられて……。

ジュンの帽子はなぜかシルクハットみたいな帽子で、

目力とマントで中世の紳士みたいになってる。

エメラルドグリーンとブルーの体に黒いマントが映えて、

元から着てたみたいなジュン。

「う~ん、やっぱりお前にはこれが似合うね。」

ちょっと機嫌の直ったマサキが、カズナリを籠から連れ出す。

さっきまでバタバタしてたのに、暗さに慣れたのか、大人しいカズナリ。

マサキが顔から帽子を取ってやると、目をパチパチさせて周りを見回す。

カズナリを膝の上に乗せ、もう一度帽子をかぶせ直す。

「う~ん、お前も男前だね~。もう少し静かなら、モテモテ間違いないのに。」

マサキが変なことを言いながら帽子の紐を整える。

確かにカズナリも鳥の中ではカッコいいのかも?

三角帽子もとっても似合う。

最後に俺の帽子を直し、俺にもマントを羽織らせる。

首輪が隠れるように紐を結んで、ニコッと笑うマサキ。

もちろん、マサキも三角帽子とマントを着けて、ソファーにみんなを並べる。

マサキの隣に俺、膝の上にはカズナリ。

ジュンはマサキの手の上で。

長い棒の先に小さな箱を付けて、構える。

すごいんだよ、これ。

どうなってるのかわからないけど、あの小さな箱の中に、俺らが入り込む。

何度見ても不思議で、つい近づいちゃうんだけど。

「ほら、ショウ、近づいちゃダメ。お前だけ顔が大きくなるよ?」

……どんな位置にいても、俺が一番でかいけど?

何かモンクある?

俺がチロッと横目で見ると、気付いたマサキが、ひゃひゃひゃと笑う。

「ごめんごめん。まさかショウが気にしてると思ってなかったから……。」

そう言って、俺の背中を撫でる。

……いいけどさ、別に。

カズナリだって、鳥にしちゃ顔はでかいし、

ジュンはどう頑張ったって、俺の鼻くらいの大きさにしかならないし……。

比べるのがおかしいんだよ!

「ほらほら、ショウちゃ~ん。にっこり笑おっか?」

マサキが笑いながら俺の背を撫でる。

き、気にしてなんかない!

「んふふふふ。ショウちゃん、気にしてんだ?」

サトシが上から俺を見下ろす。

「気になんかしてないよ。」

「そうだよねぇ。ショウちゃん、気になんかしてないよねぇ。

 だって、すぐ食べ過ぎちゃうし、食べたらすぐ横になるし。

 太ると顔に出る体質なのに。」

「よ、余計なお世話だよ!サトシだって、すぐ顔が丸くなるくせに。」

「え?ショウちゃん、何か言った?おいらの顔がなんだって?」

サトシが上からジロリと睨む。

「な……なんでもないよ……。」

「それから“君”ね。忘れないでよ。」

「わかってるよ……サトシ……君。」

サトシが満足そうに笑う。

ふ、ふんだっ!

俺はマサキの背中に鼻を押し付け、サトシから隠れる。

「ほら、ショウ、動かないで。まだベストショットが撮れてない!」

マサキに前を向かされる。

「翔ちゃん、隠れたって無駄だよ。顔がはみ出してるもん!」

「なんだと!」

俺はサトシに向かって吼える。

サトシが舌を出して片目をつぶる。

なんか……なんかムカツク!










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