「テ・アゲロ」
オーライ!! - レンタル彼氏 -

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「honeyは絵も描くんでしょ?」

「まぁな。お遊び程度だけどな……。」

大野はそのビルに何度か来たことがある。

嬉しそうにビルを見上げる大野を、櫻井は楽しそうに見つめる。

「古い知り合いが……来月誕生日でね。

 その人も絵を描くから……、プレゼントを選んでもらおうと思って。」

「プレゼント?俺は遊び程度だから、知識とかねぇぞ?」

「それでも、俺よりはあるでしょ?」

「そりゃまぁ……。」

櫻井はにっこり笑って、ビルの中に入って行く。

「でも、絵、描いてる人なら、画材なんか持ってんぞ?」

「そぉかなぁ。じゃ、違うものがいいか……。」

エスカレーターに乗って上に上がって行くと、大野が小さく声を漏らす。

「おっ……。」

「行ってみる?」

「お、おぅ。」

大野は色とりどりの絵の具に、目を輝かせ、足を止める。

「あ、これもいいな……、いや、これも……。」

一つ一つ手に取り、色を確かめる。

「すげぇな。こんな色もあるんだ……。」

子供のように目を輝かせる大野に、櫻井はクスッと笑って、

大野の手の上の絵の具を一つ取る。

「好きなのを……買ってあげようか?」

「い、いいよ……。」

櫻井は手にした絵の具の色を、顔の高さで読み取る。

「バーミリオン……キレイな色だね。」

「そうだな……。」

大野は櫻井の手から絵の具を取ると元に戻す。

「いいの?」

「いいよ、今日は……。お前の知り合いのプレゼント選びだろ?」

「そうだけど……。じゃ、ちょっとお願いしようかな?」

「何を?」

「サラサラッと……バースディカードなんて描ける?」

「今?」

「そう、できる?」

「どんなんでもいいの?」

「いいけど……?」

大野はツカツカと歩いて、絵の具コーナーから離れていく。

「どこに……?」

「今すぐ描くなら……色鉛筆がいい。色鉛筆ならどこでも描ける……。」

櫻井は大野の後を追うようについていく。

「幾つ位の人?」

「え?」

「相手。」

「ああ、結構な歳……。もう……60近いかな?」

「ふぅん。」

大野は何本かの色鉛筆を選ぶ。

「日本を離れてだいぶ経つから、懐かしい感じのがいいかな?」

「バースディカードで?」

「それも変?」

二人は顔を見合わせてクスッと笑う。

「わかった……。」

そう言って、大野は数本の色鉛筆とポストカード大の紙を買わせる。

「いいの?これで。」

「ん~?何が?」

「絵の具、プレゼントしようと思ったのに。」

「おいらに?」

櫻井がじっと大野を見つめる。

「いいよ、そんなの。欲しいものは自分で買うわ。」

「わかんないかなぁ。プレゼントしたい男の気持ち。」

「わかんねぇな。単なる無駄使いだぞ。」

二人はビルを出ると、新宿御苑に入って行く。

「ん~、気持ちいいねぇ。」

櫻井が大きく伸びをする。」

大野は近くのベンチに腰掛けると、空に顔を向ける。

「ん、もう、少しヒンヤリする……。夕方の空気。」

櫻井も隣に腰かける。

「そうだね……。」

二人は黙って暮れていく陽の光を浴び、公園を行きかう人々を眺める。

ボーっと空を見ていると、大野は時が過ぎるのに鈍感になっていく。

櫻井はそんな大野を見て、クスクス笑う。

空を見上げる大野。

それを見ている櫻井。

周りを行き交う人々は移り変わり、空の色も変わっていく。

その中で体勢すら変えずに空を見続ける大野に、櫻井が少々呆れた頃、

大野がパッと体を起こす。

「そうだ、カード。」

そう言って、買った色鉛筆を取り出し、サラサラと描いていく。

今、目の前の暮れる夕陽。

それが、大野の手によって、紙に移し込まれていく。

それを隣で見つめる櫻井は、いつになく優しげな顔で大野の手元を見つめる。

最後に「Happy Birthday!」と描くと、

大野は櫻井の顔を見上げる。

「名前……。」

「……俺?」

「知ってるわ。違う、相手の名前。」

「ああ……、じゃ……父へ、息子よりって……。」

「なんだ、お前、父ちゃんに送るの?」

「ま……そんなとこかな。」

「そんなとこって……。結構、親孝行なんだな。」

「ふふふ……。」

櫻井はあいまいに笑って立ち上がる。

大野の描いた夕陽より、やや濃くなった空をバックに振り返ると、

大野の手を取る。

「さ、ここからは手つなぎデート。honey、好きでしょ?」

「好きなワケねぇだろ!」

「さっさとプレゼント選んで、アレとかコレとか試さなくっちゃ。」

「ふ、ふざけるな。そういうのはオプ……。」

「オプションにないんでしょ?ないなら……レンタルはここで終了。」

櫻井は大野の手を引っ張る。

力任せに引っ張られ、大野の体がよろける。

「ここからは本物の恋人同士の時間……。」

体勢を立て直そうとする大野の唇に、軽くチュッと唇を重ねる。

「ニノに……怒られんぞ。」

「どうして?」

「……オプションがついてないって……。」

櫻井は大野の手を引いて、足早に歩く。

引きずられるように大野もついて行く。

「仕方ないじゃない?」

櫻井がニヤッと笑う。

「もっとハードに攻めたいんだから。」

「お、お前……。」

「さ、さっさとプレゼント買って……。」

櫻井が大野を見下ろす。

「楽しもうか?honey。」

「俺は帰って報告……。」

「二宮さんには連絡済み。」

「お前……会計といい……いつしてるんだ?」

櫻井がフフッと笑って大野を引き寄せる。

「さぁ、愛の力かな?」

大野の唇に唇を当てると、笑いながら歩き続ける。

大野の顔が赤くなったのは、櫻井のせいなのか、夕陽のせいなのか……。

それは大野以外にはわからない。

「愛の力で、今日も最高の時間を過ごさせてあげるから。」

「う、うるせぇ。何が最高の時間だ!」

「最高でしょ?」

「だったら、ちょっとは加減、考えろ!」

「いつも強請るのはhoneyの方なのに?」

櫻井がクスッと笑う。

大きな夕陽を背に、二人の影が長くなる。

離れて歩こうとする大野を、櫻井が引き寄せ、

二人の影が……一つに溶け合う。

ポツポツと、街灯のともり始める街中へ、今日も二人は消えて行く。










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