「テ・アゲロ」
オーライ!! - レンタル彼氏 -

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「ただ今~。」

大野が事務所に入って来ると、二宮は大野を見ることもなく、

トレイに乗った書類を一枚、デスクに広げて書き込んでいく。

「どうでした?見つかりました?」

「見つかるわけねぇだろ?」

大野は二宮を一瞥すると、自分のデスクに向かう。

「そんなことないでしょ?足は遅いわけだし。」

「だったら、飼い主がすぐ見つけんだろ?」

「まぁ……?そこはそれ、プロですから!」

「俺はミドリガメなんか見つけたこたぁ、一度もねぇかんな?」

ドサッと椅子に座り、すぐさま足をデスクに乗せる。

「あ、あ~、座らなくていいのに。」

「んあ?」

大野は体中から力を抜いて、ダレた姿勢で二宮を見る。

「次の仕事。すぐ向かってください。」

そう言って、一枚の紙をヒラヒラと揺する。

それを見た大野が、顔をしかめ、面白くなさそうに口を尖らす。

「ちっとは休ませろや。」

「休んでる時間があったら働いてください。ウチは貧乏事務所なんです。」

二宮は、手にした書類でデスクをパシパシ叩く。

「ったく……。」

大野はその書類を受け取り、中身を読んでいく。

「しかも、またレンタル彼氏ぃ?」

「そうですよ。何か文句でも?」

「もう、辞めようよ、これ。」

「来た仕事は必ずやる、そして必ず成功させる。これがウチのモットーです。」

「はいはい。わかりましたぁ……。」

大野は足を下ろすと、重い腰を上げる。

「よっこらしょっ。」

「ほら、さっさと行く!おじさん!」

「うっせぇ。で、今回はどんな感じ……って、何も書いてないじゃん。」

「行けばわかるから。」

大野が首を捻る。

「わかる?」

「いいから、新宿、待ち合わせ場所、わかりますよね?」

「そりゃ、わかるけど……。」

大野は再度書類に目を通し、デスクの上に投げる。

「あ~、ちゃんと書類持ってって。サインしてもらって来てくださいよ。」

「わ、わかってるわ。」

大野は慌てて、書類を三つ折りにし、封筒に入れる。

「持ったらすぐ行く!待ち合わせの時間に遅れますよ!」

大野は時計を見て、ハッとする。

「やべっ。行くわ。」

胸ポケットに封筒をしまい、小走りにドアへ急ぐ。

「いってらっしゃ~い。オプション、たんともらってきてくださいね~。」

大野は事務所から出ると、閉まりかけたドアに向かって叫ぶ。

「オニ~っ!」



待ち合わせは新宿駅の地下改札。

平日の昼間でも、人の流れは多い。

そんな中で待ち合わせができるのか?

大野は回りを見回しながら、今日の依頼人を探す。

「あ……依頼人の特徴も聞いてこなかった……。

 くそっ。どうやって会えって言うんだよ。」

携帯を取り出し、二宮に電話を掛ける。

なかなか出ない電話にイライラが募る。

「honey、お待たせ。」

聞き慣れた低い声に、大野が顔を上げると、櫻井がにこやかな笑顔で立っている。

「なんだお前、仕事?」

大野は繋がらない携帯を切って、訝しそうに櫻井を見る。

櫻井は珍しく、ジーパンにジャケット……。

スーツ姿じゃない櫻井に、大野は会ったことがない。

「仕事なわけないでしょ?」

櫻井はジャケットを開いて見せる。

「じゃ、遊び?ご苦労なこったな。休みの日まで。」

「そりゃ、たまには遊ばないとね。」

櫻井がアイドル並みのウィンクを大野に向ける。

「っくかぁ。いいよね、仕事が休める人は!」

「仕方ないでしょ?有給消化しないと怒られるんだから。」

「これだから、エリートはいやだね。俺ら貧乏事務所は、休みなく働いてるってのに。」

「ふふふ。まぁ、そう腐らないでよ。」

「ああ、もう行け行け。俺はこれから仕事だ、仕事!」

「じゃ、さっそく仕事してもらいましょうか?」

「はぁ?何言ってんの?」

「今日の依頼、聞いてないの?」

「まさか……。」

大野は牽制するように体を引く。

櫻井は、ふふふと笑って、大野の肩を掴むと、ガシッと抱き込む。

「さ、レンタルしたんだから、ちゃんと付き合ってもらいますよ?」

櫻井は大野を押すように歩き始める。

「な、ど、どこ行くんだよ!」

「今日は昼間からですけど……。」

櫻井はニヤッと笑う。

「バ、バカ言うな……。そういうのはオプションに入ってねぇから!」

「彼氏ですからね?アレとかコレとか……。」

「だ、だから、そういうのは入ってねぇの!」

櫻井は抱いた腕で、大野の肩をポンポンと叩く。

「あははは。……今日はね、買い物に付き合って欲しくて。」

「買い物?」

「昼間はなかなか会えないでしょ?」

櫻井の目が優しく大野を見つめる。

「そりゃ、普通は仕事……。」

「あなた、意外と真面目だから。」

「ま、真面目っつーか……。」

「つーか?」

大野は横目で櫻井を見る。

「一度、ニノと仕事してみ。真面目にならざるをえないから。」

櫻井が大口を開けて笑う。

「あははは。そうですね。確かに怖そうだ。

 でも、ああいう人を組み敷いてみたい気もするけど?」

「だから、ニノはダメだって……。」

「わかってるって……。」

「ほんとか?」

「honeyこそ、わかってる?」

「何を?」

櫻井は何も言わず、潤んだ瞳で大野を見ると、振り切るように前を向く。

黙り込む櫻井に、大野も黙ったまま歩を合わせる。

二人は大通りを通って、新宿御苑の方へ進む。

「どこへ行くのか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃねぇの?」

「ふふふ。内緒にしてる気はなかったんですけどね……。」

櫻井は一軒のビルの前で立ち止まる。










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