Attack it ~ババ嵐~

Attack it  第三ラウンド

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「あぁ~、大野、ここで引くとはさすがとしか言いようがない!」

モニターの中の大野の鼻が、ピクピクと小刻みに動く。

引かれたはずの藤原の顔は、若干青ざめ、小栗と小瀧の顔に希望の色が差す。

「これは、もう、このまま終わるのかぁ~?」

ナレーションの声が場内を沸かす。

「これで、ライバルが減った。」

二宮が小さくつぶやくと、櫻井もニヤッと笑う。

「二宮さん、大野さんに勝ち目はありますかね?」

ナレーターの振りに、二宮がにこやかに返す。

「いやぁ、もう無理でしょう?ここは大野さんが決勝進出、決定でしょう。」

「ニノ~、ダメだよ、リーダー、応援してあげないと!」

相葉が隣で二宮をつっつく。

「いいんですよ。今回はこれが勝ちなんです。」

二宮は、ワイプに他のゲストが映っているのを確認して小声でつぶやく。

「え?何?どういう意味?さっきのごにょごにょと関係ある?」

二宮はチラッと相葉を見ると、視線を逸らして、モニターを見つめる。

この人、変なとこ、勘が良いからな……。

「ねぇ、ニノ~?」

「いいから、ほら、大野さんを応援して!」

二宮は相葉の背中を叩いて、モニターを指さす。

「お、大ちゃ~ん、頑張れ!」

相葉が画面の中の大野に声援を送る。

大野の苦悶に歪んだ顔……。

カードから視線が外せなくなっている。

「いいんだよ、智君。それで智君の勝ちだ!」

櫻井の囁くような声に、松本が聞き耳を立てる。

「いや、負けでしょ?」

櫻井から、一番遠くにいる松本が、片眉を上げて、櫻井をじっと見つめる。

ダメだ……松本に気づかれたら、第二の二宮だ。

敵は少しでも減らさなくては……。

「ああ、ごめんごめん、間違えた。

 大野さ~ん、頑張って~。」

不審そうな顔で、松本が腕を組む。

やばい……。

感づかれたか……?

また歓声が上がる。

2枚しかない大野のカード。

その内の1枚、ジョーカーに小栗の指がかかる。

「どっちかな……。」

大野は必至にポーカーフェイスを作る。

「こっち?……それともこっち?」

小栗の指が動く度、大野の目も鼻も挙動不審になる。

そんな大野を見ていると、少々加虐心も芽生えてくる。

「ジョーカー、大野さんが持ってますよね?」

ニヤッと笑って、大野のカードの上で指を動かす。

「も、持ってるわけないじゃん!」

どもりながら、一生懸命嘘をつく大野が可愛くて、

小栗も藤原も小瀧も、思わず微笑んでしまう。

「本当に、どうしてこんなに可愛いんですかねぇ。」

小瀧が思わず本音を漏らす。

「あんなに何でもできるのに。」

小栗の顔もニヤニヤを抑えられない。

「そのギャップが……たまらないんですよね?」

みんなが自分のことを言ってることに、やっと気づいた大野が顔を上げる。

「へ?」

キョロキョロ3人を見回すと、3人は愛おしそうに微笑んで、大野の行動を見守る。

「ど、どうする?どっちのカードでも……。」

大野はまた、2枚のカードとにらめっこする。

小栗はそんな大野が可愛くて、つい、スッとカードを抜いてしまう。

もちろん、抜いたカードはジョーカーではなく、さらに、自分のカードと同じ数字……。

「小栗さんが、一抜けだ~っ!」

ナレーションが会場中に響き渡る。

小栗は、手を上げ喜んで見せるものの、目は一切笑っておらず、

それを見て、ほくそ笑む藤原と小瀧。

小栗はやけっぱちのように、お茶をゴクゴクと飲む。

その様子をモニターで見ていた櫻井は、シメシメと小さくうなずく。

この第一試合で、智君が負ければ……。

強敵3人が消える……。

沸々と沸き上がって来る笑いを、櫻井は堪えるのに必死で、

それを遠巻きに見ている松本に全く気付かなかった。



試合は順調に進み、藤原が二抜け。

小瀧と大野の一騎打ちになった。

「望にぃ……勝負だかんな。」

「わかってますって。でも……負けてあげたいなぁ。」

小瀧がポロリとこぼすと、藤原と小栗がジロッと睨む。

「だ、だってね、俺、まだお祝いの飲み、行けてないんす!」

「だから?」

藤原が冷たい視線で小瀧を見る。

「それで?」

小栗も長い足を伸ばして、小瀧の足を押しやりながら冷ややかに見つめる。

「だ、だから……俺に一番権利が……。」

二人のイケメンに挟み撃ちに合い、語尾がどんどん消えていく。

「望にぃ?」

大野が首を傾げて小瀧の顔を覗く。

不満そうに顔をしかめ、意を決して、大野のカードに手を伸ばす。

「絶対一緒にお祝い行ってやる!」

小瀧は一気にカードを引き抜く。

「やぁーっ!」

小瀧の持っているカードは7。

即座に引いたカードを手札と並べる。

引いたカードは……。

ダイヤの7。

「小瀧望、ギリギリで逃げ切った~!」

ナレーションと大きな声援。

それとは裏腹に、小瀧の二十歳お祝い記念の野望は、どんどん小さくなっていく。

「う……。」

「どうですか?逃げ延びた感想は?」

「そ、そうですね。嬉しいです。」

小瀧は目の前の大野を見つめ、アイドルスマイルでさわやかに笑う。

茫然とジョーカーを見つめる大野。

できればそのカードが欲しかった……。

小瀧は顔では笑って、心で泣いて、膝の上の拳を握りしめる。

……二人でお酒……大野さんと……。

「望にぃにも負けちゃったか……。絶対引いてくれると思ったんだけどなぁ。」

大野はふぅと長い息をついて、肩を落とした。










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