「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【41~60】

ふたりのカタチ (52)

 ←ふたりのカタチ (51) →ふたりのカタチ (53)


どれくらいボーっとしてたんだろう……。

コンビニの近くだから、少しは人も通る。

すれ違い様、おいらの顔を覗き込んでびっくりしてた人がいた……。

よっぽどひどい顔してるんだろうな……。

おいらは手にした携帯を見る。

ショウ君からのメールはない……。

本当に怒ってるんだ……。

おいらが怒らせたんだ……。

すると、携帯が震える。

ショウ君からだったらどうしよう……。

帰って来るなって言われたら……。

恐る恐る携帯を開く。

類さんからだ……。

『全て、俺のせいだから、あなたは何も悪くない。』

類さん?

どうして……。

まさか……。

おいらはキョロキョロと辺りを見回す。

暗くてよく見えない。

でも、誰かが近づいてくる様子はない……。

ホッとして、携帯を握り締める。

こんな姿、類さんにも見られたくない……。

見たらきっと、このメールみたいに自分のせいだと思っちゃう……。

早く、メイク落とし、買いに行かなくちゃ……。

おいらは重い足を動かして、コンビニに向かう。

コンビニの駐車場に入って行くと、おいらの目の前で、一台の車が止まった。

「サトシさん……。」

車の窓が開いて、類さんが済まなそうな顔でおいらを見上げる。

「類さん……。」

おいらはハッとして顔を隠す。

「乗って。」

「でも……。」

「いいから、乗ってください。」

おいらは類さんに何も言えなくて、ただ、顔を隠して立ち尽くす。

すると、類さんは車を駐車場に止め、コンビニに入って行く。

「ちょっと待っててください。」

類さん……何を?

しばらくすると類さんは戻って来て、車の助手席を開ける。

「顔をキレイにするから……乗ってくれませんか?」

おいらがゆっくり首を振ると、類さんは仕方なさそうに、ドアを閉める。

「じゃ、こっちに来て。」

類さんはおいらの腕を掴んで、駐車場の端っこに連れて行く。

「る、類さん……。」

歩きにくいパンプスで、小走りに類さんについていく。

「ここに座って。」

低い塀の上においらを座らせて、コンビニ袋の中から小さな箱を取り出す。

バリバリと包装を解いて、ウェットティッシュみたいのを取り出す。

「目を閉じて、じっとして。」

類さんがおいらの頬にそのウェットティッシュを当てる。

冷たくて、ビクッとする。

「ごめん、ここじゃ温めてあげられないから……。」

すまなそうに、眉を下げ、ティッシュを見せて、またそっと頬に当てる。

「これ、メイク落としです。まずはメイクを落としましょう。」

類さんは何枚も何枚も使って、丁寧に拭いてくれる。

拭く度に冷たい風を感じて、でも、類さんの手が優しくて、また涙が溢れてくる。

それも丁寧に拭きながら、類さんがおいらの顔をキレイにしていく。

「ごめんなさい……。全部俺が悪い……。」

「そんなことない……。類さんのせいじゃない。おいらが……。」

おいらがちゃんと考えなかったから……。

ショウ君を怒らせた……。

疲れてるのに……。

余計疲れさせて……。

おいら何してるんだろう……。

涙が次々零れて、自分でもどうしていいかわからない。

「サトシさん……。」

「ご、ごめんなさい……もうちょっとしたら……大丈夫だから……。」

「俺のことは気にしないで……好きなだけ……。」

おいらは両手で顔を覆って泣き続けた。

類さんはおいらの頭をずっと撫でてくれて……。

涙が落ち着くまで、ずっと一緒にいてくれた。



思いっきり泣いて、気持ちが落ち着いてくると、

グチャグチャの顔を拭きたくて、自分を見てみるけど、ハンカチなんか持ってないから……。

仕方なく、袖で拭こうとしたら、類さんに止められた。

「これで拭いて。」

類さんはコンビニの袋から、小さなタオルを取り出す。

「あ、ありがと……。」

それは類さんには不似合いな、キャラクターの付いてるタオルで、

それを見て、クスッと笑うと、類さんは照れ臭そうに頭を掻く。

「それしかなかったんです。俺の趣味ではありません。」

「……わかってます。」

おいらは笑いながら顔を拭く。

「類さん……どうしてわかったんですか?」

「何が?」

「おいらが……家にいないこと……。」

類さんが、今度はしゃがんで、宙に浮いているおいらの足からパンプスを脱がせる。

「類さん?」

「……メールの返信が早かったから……。」

「メール?」

類さんはおいらの足を確認して、絆創膏を貼ってくれる。

ストッキングの上からだから、変な感じ。

「これで、少しは歩きやすいはずです。」

そう言って、またパンプスを履かせてくれる。

「ありがとうございます……。」

類さんは立ち上がって、おいらの隣の塀に背中を預ける。

「上手くいってたら、メールになんて気づかないでしょ?

 なのに、喜んでくれたって……。

 おかしいなと思って、何度かメールを入れたら、その都度返ってくるし。

 俺に気を使って、嘘をついてる、そう確信しました。」

「類さん……。」

「だから、すぐにここへ……。コンビニで見つかったのは偶然ですけど。

 タクシーに乗られてたら、会えなかった。」

類さんが、おいらを見て、ニコッと笑う。

「何か温かい物でも飲みましょうか。」

そう言って、コンビニの中へ入って行く。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ふたりのカタチ (51)】へ  【ふたりのカタチ (53)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (51)】へ
  • 【ふたりのカタチ (53)】へ