「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【41~60】

ふたりのカタチ (48)

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類さんは楽しそうに笑いながら、店員を呼び止める。

「ああ、すまない。この人に似合う物を……。」

「はい。かしこまりました。」

店員さんもにこやかに笑う。

「え?類さん?何を……。」

おいらの声は無視されて、類さんの言葉は続く。

「できれば、華やかな感じで。でも清楚さも残して。」

「る、類さん?」

「かしこまりました。」

店員さんは軽く会釈する。

「ああ、レディースで。たぶん、大丈夫だと思うから。」

類さんの言葉に、訝しむ様子もなく、ニコッと笑って、

店の中を回りながら、洋服を見繕っていく店員さん。

「類さん……どういうこと?」

「だから、サトシさんをキレイにしてあげたいなと思って。」

「キレイにって、レディース……。」

おいらの言葉が終わらない内に店員さんが戻って来る。

「こんなところでは、いかがでしょうか?」

類さんは、店員さんが持ってきた服を近くの台の上に並べる。

「う~ん、これとこれ……こっちはダメだな。派手すぎる。

 どっちかなぁ。」

おいらに洋服を当て、首を傾げて悩む。

「サトシさんはどっちが好き?」

どっちって言われても……。

類さんが手にしているのは両方ともワンピースで……。

「あぁ、サトシさんの好みじゃない、櫻井さんはどんなのが好き?」

ショウ君は……。

おいらは過去のショウ君の彼女達を思い出す。

可愛いと言うよりは綺麗な……。

頭が良さそうで……。

「クールなお姉さん系……。」

おいらがつぶやくと、類さんがニヤッと笑う。

「あはは。見た目通りだね、好みも。」

類さんは青い方のワンピースだけを残して、店員さんに指示を出す。

「これに似合うアクセサリーを少し。華美になり過ぎないように。」

店員さんは小さくうなずいて、シンプルなネックレスとイヤリングを数点、用意してくれる。

「うん、これがいい。」

その内の一つを手にして類さんが笑う。

「まずは着替えてみようか?」

類さんにワンピ―スを渡されると、店員さんがおいらを奥へと促す。

「え……類さん?」

振り返ると、類さんが小さく手を振る。

おいらは諦めて……店員さんに導かれるままフィッティングルームに入っていく。

「これ……着るの?」

店員さんは返事することなく、フィッティングルームのドアを閉める。

目の前の大きな鏡に向かって、ワンピースを広げてみる。

「こんなの……似合うとは思えない……。」

腰のΛの切り替えしの下と袖は濃い目の青で、袖は高級そうな薔薇のレース。

上は白地に青の薔薇のレースで胸元が若干カシュクールみたいになってて、

シンプルなワンピースの上に、襟元が落ちたようなデザイン。

丈が長めなのがせめてもの救い?

おいらは溜め息をつく。

これで、ショウ君が癒されてくれるの?

それなら……。

おいらはシャツのボタンを外していった……。



着替えが終わって、そっとドアを開けて見る。

着方もよくわかんないし……、これでいいのかな?

「お疲れさまでございます。」

店員さんがすぐに駆け寄ってくる。

「これでいいのか……。」

店員さんはおいらを見て、少し、襟元と袖を直す。

「ええ、綺麗です。どうぞ、こちらへ。」

靴を履こうとして、いつものスニーカーに足を入れようとすると、店員さんが首を横に振る。

ん?と思って、もう一度足元を見ると、スニーカーの隣にパンプスが置いてある。

「これ?」

おいらが嫌そうな顔で店員さんを見たせいか、店員さんがクスッと笑ってうなずく。

おいらはしぶしぶパンプスに足を入れる。

どう見ても変な感じ。

すね毛も見えてるし……。

「ストッキングも履きましょうね。」

店員さんは笑うことなく、ストッキングを持って来る。

仕方なくストッキングを履いて、パンプスに足を通すと、

すね毛はあんまり目立たなくはなったけど……。

「こちらへ……。」

店員さんに手を引かれて、類さんのところへ歩いて行く。

パンプスって……歩きにくい……。

そんなに踵は高くないのに……。

おいらがよろよろ歩くと、自ずと握った店員さんの手にも力が籠る。

申し訳なくて、店員さんを見ると、おいらを安心させるように、

店員さんもニコッと笑ってくれる。

「あぁ、やっぱり似合う。」

ワンピースを着て戻って来たおいらを、類さんが嬉しそうに迎えてくれる。

類さんに促されて、類さんの前の大きな鏡の前に立たされると、

おいらの全身が鏡に映って……。

恥ずかしくて見れない……。

「あ、あの、類さん?」

おいらが振り返って見上げると、類さんがおいらの肩を掴んで、鏡の方へ戻す。

「見て、キレイでしょう?」

おいらは仕方なく、鏡に視線を移す。

ワンピースはキレイ……キレイだけど、おいらに似合ってる?

「仕上げに、これも。」

類さんが後ろからシンプルなシルバー?プラチナ?のネックレスを着けてくれる。

トップにはキラキラ光る透明な石。

「うん。素敵だ。」

「……類さん…………。」

おいらも鏡に映った自分を見つめる。

なんか、変な感じ……。

でも、これでショウ君が喜んでくれるなら……。

「じゃ、次は上ね。」

類さんが鏡に向かってウィンクする。










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