「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【41~60】

ふたりのカタチ (46)

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お料理はどれも美味しくて、特に、牛筋のシチューがトロけるような柔らかさで。

「これ、本当に美味しい!」

おいらが目を輝かせて言うと、類さんも嬉しそうに笑う。

「そうでしょ?絶対、サトシさんは気に入ると思ってた。」

目を細めておいらを見る類さんにドキッとして、皿に視線を落として、次々口へ運んでいく。

そんなおいらのグラスに、類さんがワインを注ぐ。

「あ、おいらはもう……。」

「どうして?まだそんなに飲んでないでしょ?」

「え……まぁ……。あ、た、田村さんが来る前に酔っちゃうと、

 田村さんが飲めなくなっちゃうから。」

「大丈夫。俺、結構、強いんですよ。サトシさんが酔ったら、俺が介抱しますから。

 今日はお礼なんですから、思いっきり飲んでください。」

「は、はぁ……。」

おいらはうなずくしかなくて……。

グラスに注がれる赤いワインをじっと見つめる。

赤ワインって、類さんに似合うよな……。

お洒落な感じがするからなのかな?

「こっちのアヒージョも美味しいですよ。」

「い、いただきます。」

おいらは蛸のアヒージョをお皿に取って、一口食べる。

「旨い!」

「でしょ?」

ニコッと笑う類さんを見ながら、ワインをグイッと喉に流し込む。

「類さんは……。」

「ん?」

類さんが首を少し傾ける。

「疲れた時とか……どうしてます?」

「疲れた時?」

「はい。お家で、ゆっくりするのが一番?」

「そうですね……。それもいいけど温泉行ったりとか?」

「温泉……。」

やっぱり少し時間ができるまでは無理だよね……。

「どうしたんですか?サトシさん、疲れてる?納期、大変なら言ってくださいね。

 この間のはちょっと難しいですけど、他のは調整しますから。」

心配そうにおいらを見る類さん。

「いえ、おいらじゃなくて……。」

「あ……、櫻井さん?」

「……ちょっと疲れてるみたいに見えて……。」

類さんはワインを口に運んで一口飲むと、おいらをじっと見る。

「それは、サトシさんがいれば、十分なんじゃないですか?」

おいらがいると、余計、ショウ君頑張っちゃったりするから……。

おいらはこの間の途中で寝ちゃったショウ君を思い出す。

あれは、おいらも辛いし……。

「奥さんに、して欲しいこととかない?」

「そうですねぇ。特には……、ああ、でもキレイにしてて欲しいですね。」

「キレイに?」

「そう、家に帰って、疲れた顔でいられると、こっちもさらに疲れちゃうから。

 キレイにして、にっこり笑ってくれればそれで……。」

「そっかぁ……。」

キレイにって……それはおいらじゃ無理だもん……。

でも、疲れた顔はしないようにできるかな?

「あいつは何でも知っててわかってるから、何も望むことがないんで、

 あんまり参考にならないかも?」

「うふふ。初めて聞いた。類さんがノロケてるの。」

「そうですか?これもノロケ?」

「はい。十分ノロケです。」

「あはは。それは困った。できればサトシさんを口説きたいのに、

 妻をノロケたんじゃお話にならない。」

類さんがクックと笑う。

「何言ってるんですか。あんなに素敵な奥さんがいて。」

「はい。その通りです。でも、サトシさんも魅力的だから。」

「おいらは……男ですよ?」

「わかってますよ。でも、それを超越して魅力的なので……。

 仕方ないですね?」

類さんが軽く笑う。

そんな冗談……。

だれかれ構わず言ったら、本気にする人も出てくるよ?

イケメンは、そういうのわからないから……。

あ……ショウ君もわかってないかも……。

あの顔で囁かれたら、それだけでみんな恋に落ちちゃうって……。

今度ちゃんと教えておかないと。

「そう言えば、田村さん、遅いですね。」

類さんが腕時計を見る。

おいらも携帯を点けると、待ち合わせから2時間以上経ってる。

これ以上飲んだら、田村さんが来るまでもたないかも……。

田村さん、そろそろ来てくれないと……。

「電話してみます。」

おいらは田村さんに電話を掛ける。

コール3回で電話が繋がる。

「田村さん?」

「ああ、ごめん、今日はちょっと行けそうにないや。

 ほんと、ごめん!」

「それはいいけど……。そっちは大丈夫?」

「大丈夫は大丈夫なんだけど……いろいろ派生しちゃって……。

 こいつ、このままにもできないから、今日は行くの止めとくよ。」

「うん、わかった。」

「もう、これ以降、飲んじゃダメだよ?」

「ん?どうして?」

「飲めば飲むだけ色っぽくなるから。」

田村さんが真剣な声で言う。

「え?何言ってるの、田村さんまで。」

「いや、ほんとだから。だから、どうしても今日は行きたかったんだけど……。」

「大丈夫。そんなに飲んでないから。これ以上は止めとくね。」

「そうしてよ、絶対。」

「おいらのことは大丈夫だから、ちゃんと最後まで面倒みてあげて。」

「わかった。今度、埋め合わせするから。」

「そんなの気にしないで。」

「じゃ、花沢さんにもよろしく伝えて。」

「うん。わかった。」

「くれぐれも、美味しそうだからって、可愛い子羊は食べないようにって!」

田村さんは、そう言って電話を切った。

羊って今日の料理にはないんだけど?

「田村さん来れないの?」

類さんが、携帯を置くおいらを見ながらワインを飲む。

「うん、まだダメみたい。今日は止めとくって……。」

赤い液体が類さんの口の中に吸い込まれていく。

グラスを口から離し、テーブルに置くと、おいらを見てニコッと笑う。

「で、羊は食べるなって。ここ、羊料理なんてあったっけ?」

類さんがクスッと笑う。

「ないですよ。ラム料理は。」

「そうだよね。」

田村さん、この店知ってる風じゃなかったんだけどな。

「じゃ、もう少し飲みましょうか。」

類さんが、定員さんを呼んでワインをもう一本注文した。










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