「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【41~60】

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朝、ショウ君が会社に行く時に、はたと思い出して聞いてみる。

「ショウ君の出張っていつ?」

靴を履きながら、ショウ君が答える。

「ん~っと、再来週の、水曜日から……。」

おいらの手から鞄を受け取り、おいらの二の腕を掴む。

「頑張って一泊にするから。」

「んふふ。うん。」

ショウ君がいつものようにキスをして、長くなりそうなのを、

なんとかおいらが止めて……。

「ショウ君、時間!」

「わかってる……でも、忙しすぎる会社が悪いと思わない?

 少しくらい遅刻したって……。」

「ショウ君!」

おいらが上目遣いで睨むと、ショウ君は仕方なさそうにおいらから離れる。

「……わかってるよ。」

「あ……。」

おいらは金曜日のことも思い出す。

どうしよう。言わない方がいいのかな?

ショウ君、変に気にしちゃうかなぁ……。

でも……。

「どうしたの?」

ショウ君が首を傾げる。

「うん……。あの……。」

「ん?」

ショウ君がおいらをじっと見つめる。

「今週の金曜日、帰り、遅い?」

「うん、たぶん……何か用事?」

「うん。食事に行くことになって。だから、夕飯、作れないかも。」

「それは構わないけど……誰と?」

「……田村さんと類さん。」

ショウ君の眉がピクッと上がる。

「仕事?」

「仕事って言うか……納期調整のお礼だって。」

「お礼?」

「うん……。でも、ショウ君が行くなって言うなら、今からでも断るよ。」

おいらがショウ君を見上げると、

ショウ君は、渋い顔で、ちょっと考える風に左手を顎に当てる。

「わかった。あまり遅くならないように。」

「うん……。できるだけ連絡するようにするけど……。」

おいらが探るようにショウ君を見てるのがわかって、ショウ君がちょっと首を傾げる。

「……何?どうしたの?」

「行くなって言われるかと思った。」

「そりゃ、行かなくて済むなら行かせたくないよ。

 でも、サトシの世界を俺が狭くするのは……嫌なんだ。」

「ショウ君……。」

おいらはショウ君の背中に腕を回す。

「おいら……ショウ君が行くなって言ったら本当に行かないよ。

 仕事じゃないもん。」

「じゃ、行くな。」

間髪入れずに言うショウ君に、びっくりしたけど、すぐに返事する。

「うん、わか……。」

おいらがしゃべろうとするのを遮るようにショウ君が続ける。

「永遠に俺のことだけ考えて、この家でずっと一人で俺の帰りだけを待って……。」

「ショウ君……。」

「そんなこと、させられないでしょ?」

「でも、ほんとにおいら……。」

喋ろうとするおいらの唇をショウ君の唇が塞ぐ。

優しく舌を絡めるショウ君……。

「ぁん……。」

唇をゆっくり離し、おいらを見つめる。

「知ってるでしょ?本当の俺は独占欲の塊で、我が儘で……。」

「ショウ君……。」

「サトシがそんなこと言ったら、俺、部屋に閉じ込めちゃうから……。

 だからそれ以上言わないで。」

「……うん。」

ショウ君はもう一度、おいらにキスをして、仕事に向かった。

おいらは洗濯機を回して、すぐに携帯を広げる。

ちょっと時間が早いけど、メールなら大丈夫かな?

心配しながらもメールを打って、家事を始める。

早めに終わらせて、昨日の続きを描きたい。

納期が早まったから、早めに終わらせないと……。

洗濯物を干していると、田村さんから返信が入る。

『わかった。金曜日は空けておくね。

花沢さんのオススメなら、きっと美味しくておしゃれなお店だね。』

それを見て、おいらは安心して洗濯物を叩(はた)いた。



金曜日。

朝の翔君はちょっと不機嫌。

ずっと終電続きだし、夜もあんまりできないし……。

「今日、だよね?」

「ん?」

玄関でショウ君に鞄を渡しながら首を傾げる。

「……食事会。」

「あ、そうだね。」

そうだった。

まだ今日のスケジュール確認してなかったから、すっかり抜けてた。

「ごめんね。夕飯、軽い物は作っていくから。」

「いいよ。帰りになんか食べて帰るから。」

「でも……。」

「それより、早く帰って来て……。」

「うん。」

ショウ君がおいらを抱きしめる。

「あんまり飲み過ぎないで。」

「わかってる……。」

おいらはショウ君の肩に顔を乗せる。

「ショウ君も、無理しないでね。」

「うん……。」

ショウ君の腕がぎゅっと締まって、苦しくなる。

「ショ……。」

顔だけなんとか動かしてショウ君を見ると、ショウ君の腕がちょっと緩んで、

おいらの唇に唇を重ねる。

深く重なる唇……。

絡む舌に、思わず体を擦りつける。

「ごめんね。ちゃんと相手してあげられなくて。」

「そんなことないよ。仕事がひと段落したら、たっぷり相手してもらうから。」

おいらが笑うと、ショウ君が優しく微笑む。

「俺も、今日はできるだけ早く帰るから……。」

「だから……無理しないで。」

おいらが口を尖らせると、ショウ君がその唇にチュッと小さなキスをする。

「わかった。無理しないで早めに帰って来るから。」

「うん。」

ショウ君の体を離すと、ショウ君がドアを開ける。

おいらもついて行って、玄関の前でいってらっしゃいと手を振る。

「行ってきます。」

ショウ君の背中は、ちょっと疲れて見えて……。

どうしたらショウ君を癒してあげられるのかな?

ショウ君の背中が見えなくなるまで、ずっと考えてたけど、いい案は浮かばなかった。










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