「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【41~60】

ふたりのカタチ (41)

 ←ふたりのカタチ (40) →ふたりのカタチ (42)

朝、起きると、ショウ君はまだ寝てて、ぐっすり寝る寝顔が可愛くて、

ほっぺたにチュッとキスをする。

すると、ショウ君が何か言う。

「…………ぁ……むにゃ……うけるから……。」

「受ける?」

目を開けず、ショウ君がしゃべり続ける。

「……ん…………しずおかぁ……あいてるって……。」

「静岡?」

「ささきさぁ、あれ……いつ……んにゃ……。」

「佐々木さん?ショウ君……?」

ショウ君はそれ以上何も言わず、クッと体を丸めて蒲団に包まった。

そんなショウ君を眺めて、広いおでこにチュッともう一度キスをする。

ショウ君、仕事が大変なんだ……。

寝てる間までお仕事してる……。

おいらは、そっとベッドを抜け出して、静かに寝室のドアを閉めた。

朝ごはんを作っていると、階段をバタバタと下りて来る足音。

ショウ君が起きたんだなと思って、マグカップにコーヒーを注ぐ。

「あ~、サトシぃ……。」

ショウ君が泣きそうな顔でキッチンの入口に立っている。

「おはよ。ショウ君。」

おいらが笑うと、ショウ君がおいらにガバッと抱き着いてくる。

抱き着いたまま、身じろぎ一つせず、ぎゅっとおいらを締め付けるショウ君。

「……ショウ君?」

おいらはマグカップを置きたくて、ショウ君から離れようとしたけど、無駄で……。

仕方ないから、じっと抱きしめられていると、おもむろにショウ君がおいらから離れる。

「……サトシ……ごめん。」

おいらは首を傾げてショウ君を見上げる。

「……なんでごめん?」

「……寝ちゃって……。」

ショウ君の眉も目も八の字に垂れてて、おいらはマグカップをテーブルに置いて、

クスッと笑う。

「飲んで。」

ショウ君はどうしようかとキョロキョロして、おいらが顔で促すと、

静かに椅子を引いて腰かける。

ショウ君の前には、いつもの様に、新聞も置いてある。

おいらも、自分のマグカップにコーヒーを注いで、ショウ君の前に座る。

ショウ君はゆっくりとコーヒーを飲んで、はぁ~と大きな溜め息をつく。

「ショウ君……。」

「ごめん……。」

「謝らなくていいのに。」

おいらもマグカップを口にする。

「……俺は自分が情けない。」

「何言って……。」

「せっかく作ってくれたご飯も食べず……。」

「大丈夫。今日の朝ごはんになったから。」

おいらはニコッと笑う。

「サトシを前に寝るなんて。」

「ショウ君……。」

「寝たよね……寝ちゃったよね……サトシとしながら……。」

ショウ君の顏が、どんどん泣き出しそうな顔になる。

「そうだけど……仕方ないよ。ショウ君、疲れてるんだもん。」

ショウ君はマグカップをグッと両手で握る。

「疲れてる……疲れてるよ。だからこそ、サトシが必要なのに……。」

「したら余計に疲れちゃうよ。」

「それとこれとは話が別。疲れてサトシとできないくらいなら……俺、仕事辞める。」

「ショウ君!」

おいらはマグカップをテーブルに置く。

「そう思うくらい……サトシとの時間が大事なのに……。」

「……ありがと。でも、仕事は仕事。」

「サトシ……。」

「今、仕事が楽しいんでしょ?」

「……う、うん…………。」

「充実してるんでしょ?」

「……サトシと充実してない。」

ボソッと言って、面白くなさそうに口を尖らすショウ君。

「おいらのことは置いといて。」

「…………。」

「もうちょっとなんでしょ?」

「うん、もうちょっとで落ち着くはず……。」

「だったら頑張って。おいらも応援するから。」

「サトシ……。」

「何にもできないけどね。」

おいらがふにゃっと笑うと、ショウ君がおいらの手を握る。

「そんなことない……サトシがいてくれるから……。

 俺は頑張れるんだよ。」

「ショウ君……。」

「家事も、サトシのことも、何もしてない……。」

「おいらだって、ショウ君がいてくれるから……頑張れる。」

そう言うと、ショウ君がおいらの手を握って、自分の方へ引っ張る。

おいら達はテーブルを挟んでるから、おいらの上半身が斜めになる。

ショウ君はおいらの手を口に当て、おいらの手の中に向かって言う。

「サトシ……本当にごめん。サトシを一人にするのも心配なのに……。

 全て任せっきりで、ゆっくり話す時間もなくて……。」

「おいらは大丈夫だよ。サラリーマンはおいらと違って大変みたいだし……。」

ショウ君の眉がピクッと上がる。

「誰が大変だって……?」

「え……田村さん達が……。」

「達……?」

「うん……田村さんと類さんが。」

ショウ君の目が、一瞬鋭くなったような気がする。

「どこの業界も、サラリーマンは大変だからね……。」

「う、うん……。」

「癒しを求めちゃう……。」

「そうだね……。」

ショウ君……何が言いたいの?

「類さん……元気?」

おいらは首を傾げてショウ君を見る。

「元気……だよ?……大変そうだけど。」

「話……聞いてあげたんだ。」

「ほとんど田村さんだけど。」

ショウ君の手の中のおいらの指で、ショウ君が唇を撫でる。

指先に伝わる、柔らかい感触。

「俺も……元気にして?」

ショウ君の舌が、おいらの指先を舐めて……。

キュッと下腹部に力が入った。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png Love so sweet
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png Love so sweet
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
【ふたりのカタチ (40)】へ  【ふたりのカタチ (42)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (40)】へ
  • 【ふたりのカタチ (42)】へ