「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the missing (5人)

テ・アゲロ  the missing ⑦ -2-

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事務所の1階、喫茶マイガールのいつものボックス席に、二宮と大野が並んで座る。

向いに翔と舞が座ると、相葉がお冷を運んでくる。

「ご注文は……コーヒーでいいかな?」

相葉が爽やかな笑顔を向けると、二宮と大野は、イヤイヤと首を振る。

「ここのコーヒーは止めた方がいい。」

真剣な顔で翔と舞にメニューを見せる。

「ちょっと、大野さん!営業妨害!」

相葉は、不満そうな顔で大野の肩を叩く。

「お嬢さんはオレンジジュースがいいかな?」

大野は、そんな相葉を無視して、にこやかに舞に笑いかける。

その笑顔にドキッとし、舞が頬を染めると、翔が舞の腕を掴む。

「舞、兄ちゃん、言わなきゃいけないことがある。」

「何?どうしたの?そんな顔して。」

舞はチラッと翔を見るものの、大野が差し出したメニューを真剣に見つめる。

「俺、智が好きだ。」

「ふぅん……、あ、私、リンゴジュースで。」

舞は顏を上げ、相葉に微笑む。

相葉もにっこり笑い返し、注文票に書き込んでいく。

「お兄ちゃんは?」

舞が翔にメニューを差し出す。

「お前、聞いてる?」

「聞いてるよ。お兄ちゃん、早く頼んであげないと。店員さん、待ってるよ。」

舞にメニューで突(つつ)かれ、翔は反射的に答える。

「じゃ、俺、コーヒーで。」

「いや、コーヒーは……。」

大野の言葉に翔が首を傾げるが、相葉はそのまま注文票に書き込む。

「大野さんと二宮さんは?」

「俺達は……お冷で!」

二宮がすかさず、Fairyスマイルで相葉に微笑む。

「だから!注文しないなら客じゃないから!」

「貧乏事務所にそんな金はない!」

「だったら、事務所で打ち合わせすればいいじゃん!」

「うちのコーヒーメーカーは壊れてるんです!」

二宮の堂々とした言いっぷりに押され、相葉は仕方なくカウンターに戻って行く。

「舞、お前、本当にちゃんと聞いてた?」

「え?何を?」

「だから……。」

翔が言い掛けた時、二宮がすかさず舞に話しかける。

「え~、今日のご依頼の内容は……。」

「あ、はい。」

舞は正面を向いて、姿勢を正す。

二宮と目が合い、にっこり微笑まれると、ポッと頬を染め、視線を逸らして話始める。

「幼馴染が、突然いなくなったんです。」

「突然?」

大野が聞き返す。

「はい……。最後に会ったのは先週の土曜日です。

 その日、私は風磨の家に遊びに行って……。」

「お前、風磨んちに行ったの?」

翔が厳しい顔で舞を見る。

「うん……。」

「まさか、お前ら……。」

「つ、付き合ってないよ。まだ……。」

「まだって……。」

「その日……告白した。風磨に。」

「お前がか?」

「うん……。」

大野と二宮は、兄妹の会話に耳を傾け、お冷を口にする。

「そしたら……返事は待って欲しいって……。」

「なんで?」

「わかんない……でも、ちゃんと話すからって。」

「…………風磨……。」

二人が黙り込むと、二宮が二人の顔を交互に見て切り出す。

「つまり……、幼馴染の……風磨さんが、先週の土曜日以来、いなくなったと……。

 そういうことでよろしいですね?」

「は、はい。でも、水曜日までは大学に行っていたので……。」

「なんでお前がそれ知ってんの?」

翔が舞に冷たい目を向ける。

「だって……待てって言われて……どれくらい待てばいいかわかんなくて……。」

「行ったのか。大学。」

「うん……。」

「大学生が2、3日いなくなっても……。」

二宮が話を戻そうとしても無駄で、翔は大きく頭を振って舞に言う。

「それで逃げてるんだよ。風磨。お前がしつこいから。」

「そんなことない!風磨だって……絶対私と同じ気持ちに決まってる!」

「どうしてわかる?」

「OK……してくれそうな雰囲気だったもん……部屋で……。」

「まさか、お前……。」

翔の手がワナワナと震える。

「や……やったのか?風磨と?」

「そんな言い方しないでよ、お兄ちゃん、やらしい!」

「やらしいってなんだよ。女がそんな簡単に……。例え幼馴染でも……。」

それを見ていた大野がクスクス笑う。

「な、何が可笑しい。」

「いやね……始めたら止まらない……翔君を……思い出してね。」

「さ、智!」

翔は慌てて大野の口に手を伸ばす。

「だ、大学生が……。」

二宮は無理やり割り込もうとするが、誰も話を聞いてくれない。

「わかった、わかったから!」

大野が笑ってその手を払うと、ちょうど相葉がコーヒーを持って来る。

「お待たせしました……。」

翔と大野がじゃれているのを見て、相葉が、ああ、と大きくうなずく。

「誰かに似てると思ったら、櫻井さんだ!」

「……私、櫻井ですけど?」

翔が首を傾げる。

「え……えっ……と、あだるてぃな櫻井さんの方ね。」

「あだるてぃ?」

翔が首を傾げ、目の前に置かれたコーヒーカップを持ち上げる。

「そうそう、大野さんの恋人の!」

相葉がトレイを抱えてそう言うと、翔の目がキラリと光る。

「智の……恋人?」

翔は大野をじっと見つめ、その真意を確かめようとする。

「だから、相葉ちゃん、恋人じゃないから!」

「智は……その人が好きなの?」

翔が切なそうな目で大野を見つめる。

「だから……。」

大野が言い訳しようとした、その時、二宮の喝が飛ぶ。

「全然、話が進まない!」

全員が二宮を見る。

「幼馴染の風磨さんがいなくなったからって、大学生が数日、家にいないくらいで

 人を使って探そうなんて思わないでしょ。」

二宮は翔と舞の二人を交互に見る。

「どうしてウチに来たの?」

二宮の鋭い目に、翔と舞は顔を見合わせる。

「風磨の部屋に……このカードがあったんです。」

翔はポケットから一枚のカードを取り出し、テーブルの上に置く。

「これ……。」

それを見た三人の顔色が変わる。

「シリウス……。」

その赤いカードに書かれた椅子の絵を見て、三人は顔を見合わせた。










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