「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【1~20】

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鳥の鳴き声。

朝の穏やかな光。

うっすら目を開けると、体が痛い……。

うつ伏せのまま寝ちゃったおいら。

温かい温もりの方に顔を向けると、ショウ君がおいらの方を向いて、

横向きで寝てる。

首と胸元の肉のよった皺が可愛い。

そこを、そっと撫でると、昨日付けたおいらのマークが、ほんの少し色を濃くしてる。

スースー寝息を立てて、あどけない顔で寝てるショウ君。

おいらはそのままの姿勢で首を伸ばしてショウ君にキスする。

起きないショウ君を後目(しりめ)に、両手を伸ばして、体を起こす。

腰が……痛いのは、うつ伏せで寝ちゃったせい?

それとも昨日の……。

おいらは思い出して顔が熱くなる。

痛い体を無理に起こして、シャワーを浴びる。

昨日はそのまま寝ちゃったから……。

ショウ君も早めに起こさないとね。

シャワーから出てくると、携帯にメールが入ってるのに気づく。

タップしてみると、類さんからで、昨日のお礼とショウ君への伝言……。

「ショウ君に?」

読んでみてもよくわからなくて、後でショウ君に伝えればいいかと思い、

朝食の用意をしながら、ショウ君を起こしに行く。

寝室は2階だから、前のマンションと違って、ちょっとめんどくさい。

「ショウ君、起きて。」

ショウ君の耳元で囁いてみる。

ビクともしないショウ君。

「起きないと遅刻だよ。今日はシャワー浴びないと。」

ショウ君の眉間に皺がよって、腕が動く。

起きたのかとホッとしたら、ショウ君の腕がおいらを抱え込む。

「ショ、ショウ君!」

「ん……もうちょっと……。」

おいらの濡れた髪が、ショウ君の頬をくすぐる。

「ショウ君も、シャワー浴びないと……。」

「……サトシ……いい匂い……。」

「シャンプーでしょ。ほら、起きて。」

おいらが強引に体を起こすと、首に巻き付いたショウ君の腕に連動して、

ショウ君の上半身がちょっと宙に浮く。

「ショウ君!」

そのショウ君の体を抱えて、ベッドの上に座らせる。

眠そうな目を微かに開けて、おいらを見るショウ君。

「おはよ。」

チュッと、唇を当てて、ショウ君の顔を覗き込む。

まだ半分寝てるショウ君は目を擦って、また瞑る。

「ショウ君……昨日のせいで起きれないなら……Hは1回までにする?」

「それは無理……。」

ショウ君は大きな欠伸をしながら、またおいらを抱きしめる。

「じゃ、起きて。コーヒー淹れてるから、シャワー浴びてきたらちょうどいいよ。」

おいらは丁寧にショウ君の腕をおいらから離して、ベッドの脇に立つ。

「すぐ来てよ。おいら、朝ご飯作るから。」

寝室を出る時にチラッとショウ君を見たら、

頭を掻きながら立ち上がろうとするところで。

子供みたいなショウ君が可愛くて、クスッと笑って下に降りた。



スクランブルエッグとベーコンを皿に盛り、パンにバターを塗る。

シャワーから出て来たショウ君が、バスタオルで頭を拭きながら、ダイニングに座る。

ズボンは履いてるけど、上はTシャツのまま。

コーヒーをマグに移し、ショウ君の前に置くと、

いつものように、新聞を開いてコーヒーを口にする。

「急いで食べないと、遅刻しちゃうよ。」

「ん……。」

朝食をショウ君の前に並べて、おいらもショウ君の前に座る。

温かいコーヒーを口に含んで、ホッと一息。

ショウ君は朝が苦手だから、覚醒するのに時間がかかる。

コーヒーを飲みながら新聞を読む……これで、いつものショウ君に変わっていく。

「サトシ……言い忘れてたけど……来月初めに出張が入るかもしれない。」

「出張?珍しいね。」

おいらは両手でマグを持って、テーブルに置く。

「今回は……岡林に振れなかった……。」

「どこに行くの?」

「福岡と……京都。」

「え……じゃ、何泊するの?」

「予定では2泊だけど……1泊に切り詰める。」

「できるの?」

「できれば……日帰りにしたいけど……。」

「日帰りなんて……どう頑張っても無理でしょ。2か所も行くのに。」

「やればできる。」

ショウ君は新聞から顔を上げ、おいらを見ると、キラッと目を光らせる。

「無理しないで。おいらは大丈夫だから。

 久しぶりなんだし、ちょっと観光もできればいいね。」

ショウ君は新聞を畳んで、トーストにガブつく。

「観光よりサトシに会いたい……。

二日もサトシなしなんて、耐えられるわけないでしょ?」

「ショウ君……。」

「サトシだってそうでしょ?」

ニヤッと笑うショウ君を見て、昨日のことが思い起こされる。

……もちろん……そうだけどさ。

「でも、仕事はちゃんとしないと。」

「わかってるよ。まだはっきり決まってないから、決まったらまた報告する……。

 こんな時だし、できるなら行きたくない……。」

ショウ君が渋い顔をする。

「こんな時?」

「サトシの……イベントがある……。」

「イベントが忙しくなるのはもうちょっと先だから大丈夫。」

おいらがニコッと笑うと、ショウ君がさらに渋い顔をする。

「その間、あいつがサトシの周りをウロチョロするかと思うと……。」

「あいつって……類さん?」

おいらはハッとして携帯を取り出す。

ショウ君へのメール、忘れてた!

「どうしたの?」

ショウ君が怪訝そうな顔でおいらを見る。

「これ。類さんから、ショウ君にだって。」

ショウ君に携帯を見せる。

『君にとってのアナベルリー。

 僕にとっては野に咲く薔薇。

 紅匂うその薔薇の棘は、

 きっと僕にも、

 忘れられないものになることでしょう。

 ★櫻井さんに伝えれば、きっとわかりますから。 類』

それを見たショウ君の目が、一瞬にして三角になった。










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