「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【1~20】

ふたりのカタチ (15)

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パスタは美味しかったけど、おいらはショウ君と類さんから目が離せない。

「卒業以来かな?」

「いや、お前の結婚式で会ってるじゃん。忘れた?」

「あぁ、そうだった。お前、アイドルグループ真似て歌って踊ってたな。」

「そうだよ。評判よかっただろ?」

「本物より本物っぽいって、みんな大喜びだった!」

ジュン君と類さんは大学の同級生で、奥さんとも知り合いらしい。

ショウ君はどこでそれを知ったんだろ?

おいらがショウ君を見上げると、ショウ君はクスッと笑って、

テーブルの下でおいらの手を握る。

「で、ジュンに聞いてここがわかったと。」

類さんがショウ君に挑戦的な目を向ける。

「ええ、女の子口説く時はここを使うと……ジュンに聞いたので。」

ショウ君はにっこり笑うけど……目が笑ってない!

「まぁ、心配にもなるよね?類の前にサトシ出すなんて、

 オオカミの前に美味しそうな子羊差し出すようなもんだもんな。」

「ジュ、ジュン君!!」

そんな風に言ったら類さんに失礼だよ!

「それはずいぶんな言いようだな。。」

類さんがジュン君を睨む。

「確かに大学時代は好き勝手してたけど、結婚してからは真面目なもんだよ。

 それに、この店だって、美味しいから連れて来ただけで、他意はない。」

「ほんとか?」

「ほんとだよ!」

類さんがムキになってジュン君に言い返す。

それを見てたらなんだかおかしくて、おいらはクスッと笑う。

類さんとジュン君がそんなおいらに気づいて、二人同時においらを見る。

「なんか、類さん、ジュン君といると、ちょっと子供っぽくなるみたい。

 本当に仲良しなんですね。」

おいらがふにゃっと笑うと、二人も顔を見合わせてクスッと笑う。

「ええ、まぁ。大学時代は散々一緒に遊んだから。

 でも、ジュンがサトシさんと知り合いだとは思わなかったな。

 そんなこと、一言も……。」

類さんが恨めしそうにジュン君を見る。

「そんなことないだろ?」

「あるよ。隠してたとしか思えない。」

「隠す……まぁ、サトシのことは隠したいけど、隠すなんてできないし。」

ジュン君が懐かしそうに目を細めて、おいらを見つめる。

「バイト先に来ても……。サトシはすぐ注目を集めてた。」

「それはジュン君がおいらのとこにしょっちゅう来るから……。」

そう、おいらが注目を集めてたのは、ジュン君のせい。

ジュン君くらいイケメンなら、そりゃあ目立つもん。

「おいら一人だったら全然目立たないよ?」

おいらは大きな口を開けて最後のパスタを口に入れる。

モグモグと味わっていると、3人がおいらに注目してるのがわかって、

ちょっと恥ずかしくなる。

「な、何?おいらの顔、何か付いてる?」

唐辛子でも口に付いてる?

それとも油まみれ?

おしぼりで口の周りを拭いてみても、おしぼりに大きな汚れはついてこない。

「サトシさん、本気でそう思ってるんですか?」

類さんがびっくりしたように聞く。

「う……何が?」

おいらが首を傾げると、ジュン君が呆れたように笑い出す。

「な?サトシはこういうやつだから……。

 ショウちゃん、相変わらず大変だね。同情するよ。」

「だろ?」

ショウ君が、片目をつぶってジュン君を見る。

「自分がどれだけ魅力的か、全然わかってない。」

「そこがサトシの良さでもあるんだけど……。」

ジュン君が今度は類さんを見る。

「だから、お前のアピールも全然気づいてないぞ。早めに諦めろ。」

「だから!そんなんじゃないんだって。」

そうだよ。類さんは仕事でおいらに優しくしてくれただけで……。

「それに、サトシはショウちゃん一筋だから。」

ジュン君が優しい顔で笑う。

そんなこと言われたら、恥ずかしいよ。ジュン君。

おいらはチラッとショウ君を見上げる。

ショウ君は肘を付いて、イケメた顔で笑うと、おいらの髪を撫でる。

ショ、ショウ君も~。

類さんの前だから!

恥ずかしさで首を竦めて類さんを見る。

類さんはクスッと笑って、ショウ君の撫でてる手を見つめながら、

「そうですね。二人は本当に愛し合ってるみたいだ。」

そう言って、意味深な笑顔でおいらを見る。

「……でも…………。」

類さんがおしぼりを取って、おいらの方に手を伸ばす。

頬におしぼりをあて、優しくチョンチョンって拭くと、にっこり笑う。

「人を好きになる気持ちは……突然やってくることもある。」

「類……。」

ジュン君が不安そうに類さんの方を見る。

「そうですね……。人を好きになる気持ちは止められません。

 気持ちを無理やり変えることもできない。」

ショウ君が、今度はテーブルの上でおいらの手を握る。

「ではもし、サトシさんが俺を好きになったら……、

 あなたはサトシさんの為に、速やかに身を引く覚悟があると……?」

「さぁ、それはどうでしょう。試してみますか?」

「ずいぶんと自信がおありのようだ。」

「自信……ではありません。確信です。」

ショウ君の手にぎゅっと力が入って、ショウ君の気持ちが伝わってくる。

「人の気持ちは、えてして不安定なもの。

 これからが楽しみですね。」

類さんがにっこり笑って伝票を取る。

「そろそろお開きにしましょうか。私はこれから社に戻りますので。」

類さんの手にある伝票をショウ君が奪う。

「今日は出させてください。サトシがお世話になってることですし。」

「いえ、それはいけません。お誘いしたのは私ですから。」

二人が伝票を前に一歩も引かず睨み合っていると、スッとジュン君が取り上げる。

「いいよ、今日は俺が出すから。」

そう言って、伝票を手にレジに向かう。

おいらは急いでジュン君の後を追う。

「ジュン君、ありがと。助かったよ~。おいらが出すから。」

「気にしなくていいから。本当に今日は俺が出す。

 類もショウちゃんもサトシも、俺の友達だから。」

ジュン君の言ってる理由はよくわからなかったけど、

にっこり笑うジュン君の笑顔に釣られて、おいらもコクッとうなずいていた。










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