「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【1~20】

ふたりのカタチ (13)

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お店は、明るい感じの洒落た内装で、

赤や黄色、オレンジや緑で塗られた壁に、

イタズラ書きのようにイタリア語?が描かれてて。

ところどころに花や動物が描かれてるのも可愛い。

「ここのパスタ、何食べても美味しいから。」

類さんはそう言って、ホールの女の子にニコッと笑いかける。

女の子の頬がポッと赤くなる。

「ワインも飲みたいけど……まだ早いから、今日は止めておきましょう。」

ショウ君も、外ではお酒はあんまり飲むなって言ってたし、

おいらもコクッとうなずく。

類さんのオススメパスタを注文して、

女の子が行ってしまうと、類さんがおいらを見てニコッと笑う。

さっきと同じ笑顔。

「類さんは……誰にでも優しくて、奥さんは大変。」

「そんなことないですよ。俺は気に入った人にしか優しくしないから。」

「今だって、女の子にニコッて……。」

「あぁ、それはサトシさんと一緒にいるから。」

「おいらと?」

「そう、サトシさんと一緒にいると、自然と笑顔になる。」

類さんは肘を付いて両手を組む。

「サトシさんのこと、気に入ってる……からかな?」

組んだ両方の親指で、顎を撫で、おいらを見つめる。

なんか……恥ずかしくてドキドキする……。

「あ、ありがとうございます。……イベントも……上手くいきそうだし……。」

おいらは顔を伏せて小さな声で言う。

「そうですね。楽しいイベントに……なりそうですね?」

おいらがチラッと顔を上げると、本当に柔らかい、優しい顔で笑う。

その笑顔にポーッとなると、類さんはクスッと笑ってお冷を飲んだ。

「隣にいる時から……気になってたんです。隣の奥さん。」

「……おくさん?」

「そう。毎日シーツが干してあって、それが青い空にはためいて……。

 キレイ好きな、しっかり者の奥さんなんだろうなって。」

シーツの話になって、赤面するおいら。

それは……洗濯しないわけにいかなくて……とは言えない。

「そしたら、隣に住んでるのは男二人だって言うし、その二人は恋人同士だって言うし。」

笑いながらおいらを見る類さん……なんか、恥ずかしくてまともに見れない。

「でも、こんなに可愛らしい人なら、仕方ないかな。」

「か、可愛いって、おいら、男だし……。」

「男でも、可愛い人は可愛い。本当は、ちょっと酔わせて、

 この間の色っぽいサトシさんにも会いたかったけど、

 今日はあなたとちゃんと話がしたかったから。」

「ちゃんと?」

「そう、せっかく二人だから、もっとサトシさんが知りたい。」

類さんが柔らかい笑顔で笑う。

少し、目にかかるくらいの前髪を軽く掻き上げて。

本当にイケメン……ショウ君とジュン君に匹敵するくらい?

そんなイケメンって、あんまり見たことない。

「サトシさんは、趣味はないの?」

「趣味?」

「そう、例えば……映画を観たり、音楽を聞いたり。」

「映画も観るし、音楽も聞くけど……、あ、今度イベントに出るアイドルグループ、

 おいら好きなんです。」

「はぁん……当ててあげましょうか?」

「え?」

「あの、キャスターもやるイケメンアイドル……好きでしょう?」

「どうしてわかるんですか?すごいっ!」

「それは……秘密です。」

類さんはクスクス笑いながら、人差し指を唇に当てる。

その仕草に……ゾクッとして、指から目が離せなくなる。

「ああ、サトシさんの指は綺麗ですね……。この手で、あの作品たちを作っているのか……。」

類さんの指が、ツーッとおいらの人差し指をなぞる。

ビクッとして類さんを見ると、類さんはにっこり笑って、おいらの髪を耳にかけてくれる。

「髪が……このままじゃ、パスタと一緒に食べちゃいそうだ。」

「た、食べたりしないから……大丈夫です!」

焦りながら、あたふたしていると、注文したパスタがやってきた。

よかった……。

なぜかホッとして、目の前のパスタを食べ始める。

おいらが注文したのは、菜の花のペペロンチーノ。

春だからね。

春らしいパスタが食べたかったんだ。

類さんが注文したのは鮭とほうれん草のクリームパスタ。

そっちもとっても美味しそう。

「少し、味見してみますか?」

「え?いいんですか?」

「ええ。」

「じゃ、おいらのも……。」

おいらが取り皿に自分のパスタを取り分けると、

類さんはフォークに巻いたパスタをおいらの顔の前に差し出す。

「え……?」

「ほら、あ~んして?」

「あ……あ~んって……それは……。」

「大丈夫。誰も見てないから。」

誰も見てない……そういう問題なのかな?

なおもフォークをおいらの口の前に持ってくる類さん。

類さんはニコニコ笑ってフォークを突き出す。

観念して口を開けようとした時、類さんのフォークは不思議な方を向いた。

おいらと類さんは向かい合って座っている。

なのに、おいらの右側、誰もいないはずの方向……。

そして、フォークに巻かれたパスタは、誰かの口の中へスポッと……。

見覚えのあるぷっくりした唇……。

「え……ショウ君?」

おいらがびっくりして見ていると、

ショウ君は頬を膨らませてモグモグしながら、おいらの肩に腕を回した。










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