イン・ザ・ルーム(やま)

Don’t you love me? 下 ― イン・ザ・ルーム side story ―

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リーダーの部屋……。

ここに来るのもどれくらいぶりだろう。

初めてリーダーを抱いた……あの日以来かもしれない。

あの時は……あんまりにも嬉しくて、興奮してて……。

自分のことでいっぱいいっぱいで……。

これで、リーダーは俺のものになったって……。

何度も抱きしめて、キスして……離れられなかった。

そんな俺をリーダーも包み込むように優しく抱いてくれて……。

心と身体で満たしてくれた……そう思った……あの時は。

でも、それは錯覚だとすぐに気づいた。

俺がリーダーの手を取る時、肩を抱く時、

新聞の向こうの翔さんから、ピリッとするような視線を感じて、

振り向いて翔さんと視線がぶつかると、翔さんはスッと視線を逸らす。

それがしばらく続いて……。

リーダーが俺と付き合ったから、翔さんが悔しがってる、

先に告白しなかったのを悔やんでる、単純にそう思ってた。

その時は、本当にそうだったのかもしれないけど……。

それから少しして、5人の収録に楽屋に行くと……。

リーダーと翔さんの、あの二人だけが作る独特の雰囲気が、

ほんの少しだけど、色を変えてた。



「リーダー、ごめん。突然……。」

こういうの、リーダーが好きじゃないの知ってる。

突然押しかけたり、束縛したり……。

だから、できるだけしないようにしてた。

友達と釣りに行くのも、絵を描くのも、笑って許した。

本当は、そんな時間があるなら、俺ともっと一緒にいて欲しかったけど。

「……潤、コーヒーでいい?」

「……リーダー…………。」

リーダーは何も言わず、キッチンでコーヒーを淹れてくれる。

「……具合……悪い?」

「……いぃや、そんなことないよ。」

「でも、最近、調子悪そうだったから……。」

リーダーが悪いのは、身体じゃないよね。

「調子……悪そうに見えたか……ごめんな……。」

「謝らなくていいよ。俺が勝手に心配してるだけだから。」

リーダーは困ったように笑って、俺の前にコーヒーを置く。

「ごめん。潤みたいにドリップしたりできないけど……。」

「ううん。リーダーが淹れてくれたらそれだけで嬉しい……。」

俺はできるだけ、明るく笑う。

リーダーが重荷と感じないように。

できるだけ長く、俺の側にいてくれるように……。

「心配かけて……ごめん。」

「やだなぁ。リーダー、さっきから謝ってばっかり。」

「ん……そぅ…か?」

「そうだよ。」

俺が声を上げて笑うと、リーダーも少し微笑んで、俺と一緒にコーヒーを飲んだ。

「リーダー……。」

腰を浮かせて、リーダーと俺の間を詰める。

「潤……。」

「何か……悩みごとがあるんなら、俺に話して。

 俺、何もできないかもしれないけど……聞くことくらいできるから。」

「…………ありがと。」

リーダーは自嘲するよに笑う。

「ダメだな、おいら。」

リーダーが、またコーヒーを口にする。

俺はそっとリーダーの肩を抱く。

ビクッと、リーダーの体が跳ねる。

「ごめん……そういう気分じゃないんだ……。」

「ん……わかってる。でも、今日は隣にいさせて。

 何もしないから……朝まで隣にいたい……。」

俺は抱いた肩にコトンと頭をもたげる。

リーダーの匂いがして、鼻を肩に押し付けた。

リーダーが、俺の肩に手を回し、俺の頭にコトンと頭を乗せる。

俺は……これだけでも十分……。

リーダー。



二人並んでベッドに入った。

ただ、抱きしめて……。

リーダーの温もりを感じて……

幸せ……なはずなのに、それ以上の不安が押し寄せる。

この温もりが、どこか遠くに行ってしまうような胸騒ぎ……。

朝になったらいなくなっていそうで……。

それでも、いつの間にか眠っていた俺は、太陽が昇りきる前に目を覚ます。

そっと隣を見ると、規則正しい寝息を吐くリーダーの横顔。

チュッと小さなキスをして、またリーダーの首に顔を押し込んだ。

もうちょっと……この温もりと香りの中で……。



それから何日か経っても、やっぱり不機嫌なリーダー。

俺も、だんだんイライラし始める。

リーダーが不機嫌な理由……たぶんわかってるから。



携帯を弄るリーダーの隣に座る。

「どうしたの?最近不機嫌じゃね?」

「そんなことないよ。」

「不機嫌じゃん。」

「そんなことないから。」

「……こっち見て。」

「ダメ……今いいとこ……。」

「見てったら!」

思わず声をあげた。

俺の気持ちなんて全然気づかないリーダー。

「俺じゃダメ……?」

俺じゃ……あなたを守ることはできないの?

頼っては……もらえないの?

それは……翔さんじゃないとダメなの……?

俺はリーダーの頬に手を添える。

この温もりも……翔さんのものになってしまうの……?

いいや、わかってる。

最初から……わかってたんだ……。

リーダーも俺の頬に手を添えてくれたから、その手に寄り添うように、頬を寄せた。

リーダーは……泣いてるみたいな顔で、俺をじっと見つめてた。

その時……ああ、もう、俺のとこには来てくれないんだって……わかった。



携帯がなる。

リーダーからの電話。

突然の電話は別れの予感。

出たくなかった。

出たくなかったけど……最後くらい、いい男になりたかった。

ははは。

強がりでカッコつけ。

でも……それでも、リーダーの中でいい男になれるなら……。

携帯をタップして、耳にあてる。

「……リーダー?」

「うん。……今忙しい?」

………………

………………



あれが俺の精いっぱい……。

見てて。

もっといい男になって、絶対後悔させてあげるから。

でも、今は……少しだけ泣かせてよ。

少しだけ……。

さよなら……リーダー。










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