「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【1~20】

ふたりのカタチ (6)

 ←ねぇ、メガネ、かけない? -1- →ねぇ、メガネ、かけない? -3-


洗面所から髪を整えたショウ君が出てくる。

前髪を少し分けて流してる。

できる男って感じ。

「忘れ物、ない?」

「大丈夫。全部持った……。」

ショウ君が鞄の中を確認する。

「当分、忙しいの?」

「ちょっと大きなプレゼンがあるから、佐々木と岡林は泊まりかな?」

ショウ君が冗談めかして、はははと笑う。

本当に冗談だよね?ショウ君。

まさか、ショウ君の分を二人がやってるなんてこと……。

「大丈夫。俺はちゃんと帰って来るから。」

安心してって感じでショウ君は笑うけど、

おいらが心配してるのはその逆!

「そうゆうわけにはいかないでしょ。ちゃんと仕事してよ、ショウ君!

 でないと、おいら、会社の人に顔向けできない……。」

「あいつらの仕事が遅いのが悪い。いつまでも俺が手伝ってたら、

 あいつらの成長にならないからね。言わば、俺の親心。」

ショウ君……ほんとに?

おいらがジト目でショウ君を見ていると、ショウ君が困ったように言い直した。

「もちろん……アドバイスもするし、相談も受けるから大丈夫。」

ほんと……?

ほんとかな?

おいらの目を見て、ショウ君はイケメた顔で笑う。

「サトシが心配するようなことは何もないよ。

 俺はサトシの為にさっさと仕事を終わらせる。

 それだけだから……。」

ショウ君ができる男だってことはわかってる。

でもね……仕事は個人プレーじゃないんだから。

おいらだってそう。

田村さんがいて、スタッフの人がいて、初めて仕事ができる。

「大丈夫、大丈夫。」

目が若干、宙を泳ぐ。

こういうショウ君は……信用できない。

「おいらの為になんて……絶対やめてね。」

ショウ君は、ん?と首を傾げる。

「俺の最優先順位は未来永劫、サトシが一番。

 その優先順位に従って生きていく。

 それ以上もそれ以下もない。」

……ショウ君は、そういうことを平気で言い切る。

だから、心配なんだよ!ショウ君!

「大丈夫だから、心配しないで。」

ショウ君がおいらの背に手を添えて、玄関に向かう。

「うん……わかった。でも、何かあったらちゃんと仕事してね。

 おいらが待ってるから……なんて理由で帰って来ちゃダメだからね?」

「…………。」

ショウ君は靴を履きながら下を向いて、返事をしてくれない。

「ショウ君!」

「……わかったよ。」

「ショウ君……。」

起き上がったショウ君は、ちょっと不満そうな顔。

おいらは抱き着いて、頬にキスする。

「うん……本当はおいらわかってるよ。

 ショウ君は優しいし、ちゃんと相手のことを考えるから……。

 みんなを放って帰って来たリできないって。

 そう言うのが、照れ臭いんだよね?」

ショウ君はポリポリと頬を掻いて、苦笑いした。

……苦笑い?

「だから、しっかり仕事してきて。

 おいらもイベント、頑張るから。」

ショウ君はおいらの背中に腕を回し、抱き寄せながら聞く。

「今度のイベントって……何やるの?」

ショウ君の低い声が……耳元で甘く響く。

「ん……なんか……いろいろコラボする……って……ぁんっ。」

ショウ君の唇が、指が、おいらの体をまさぐって……。

「そうなんだ……楽しみだね…………イベント会社の人も……。」

「あんっ……。」

服の上から尻を掴み、片手で胸をサワサワと撫でる。

「俺にも……できること、あったら言って……。」

唇が、おいらの耳の周りを擽って、おいらの体がビクッとする。

「ぁあんっ……朝から……ダメ…………。」

「何が……ダメ?」

ショウ君が意地悪く笑う。

さっきの……反撃?

「ほら……いってらっしゃいのキス……して。」

おいらは少し背伸びして、ショウ君の唇に唇を重ねる。

ショウ君の唇が、優しくおいらを包み込んで……。

湿った吐息にゾクゾクして、すぐにショウ君が欲しくなって……。

「ショ……や……ダメ…………。」

「嘘つき……。体はダメって言ってないよ……。」

ショウ君がおいらに腰を押し付ける。

「ショ…っ!」

おいらは慌ててショウ君から離れる。

危ない、危ない……。

「……ずるい…………もぅ、知らないから!」

おいらが思いっきり顔を背けると、ショウ君がクスクス笑っておいらの頬に唇を当てる。

「ごめんごめん……。サトシが意地悪なこと言うからさ。」

「意地悪なんかじゃないよ。ショウ君が心配で……。」

「わかってる。」

もう一度頬に唇を当てて、おいらの顎を掬い上げる。

「でも、サトシが心配するようなことは何もないから。

 それより……イベント会社の人、十分気を付けて。

 お酒はできるだけ飲まないように。」

おいらは口を尖らせる。

「……大丈夫なのに……ショウ君、心配性。」

「はは。心配させて。するなって言われても無理だから。」

ショウ君はそう言って、おいらの唇に唇を重ねる。

優しいキスで甘噛みして、玄関のドアを開ける。

「じゃ、いってくる。」

「うん。いってらっしゃい。」

ショウ君は手を振りながら駅への道を歩いてく。

おいらは見えなくなるまで見送って、家に戻った。

「やっぱり……ショウ君はちゃんとわかってる。」

ふふっと笑って時計を見る。

「いつもだったら、後10分は行きたくない、今日は休むってダダこねるもんね。

 本当に仕事忙しいんだ。」

おいらは笑いながら階段に手をかける。

すると、洗濯機の、おいらを呼ぶ音が聞こえる。

「は~い。ちょっと待っててね。」

洗濯機に声をかけ、シーツの洗濯を再開した。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ねぇ、メガネ、かけない? -1-】へ  【ねぇ、メガネ、かけない? -3-】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ねぇ、メガネ、かけない? -1-】へ
  • 【ねぇ、メガネ、かけない? -3-】へ