「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【1~20】

ふたりのカタチ (5)

 ←ふたりのカタチ (4) →ねぇ、メガネ、かけない? -1-

おいらがマグカップにコーヒーを注いでいると、

ショウ君が階段を下りる音が聞こえてくる。

ちょうどパンも焼けたし、バターを塗って……。

「……はよ。」

ショウ君が、欠伸を噛み殺しながらダイニングにやってくる。

「先に顔洗って来れば?イケメンが台無し。」

「……起き抜けの俺はサトシ、嫌い?」

ショウ君が決め顔を作っておいらを見つめる。

「嫌いじゃないけど……キリッとしたイケメンショウ君が、一番好きかな?

 おいらに甘えてくる可愛いショウ君も好きだけど。」

おいらは笑いながらパンにバターを塗る。

「俺、サトシに甘えたりした?」

「んふふ。どうかな?」

「え~っ!甘えてる?」

「いいじゃん。甘えたって。おいらも甘えるんだし。」

塗り終わったパンをお皿に乗せ、ベーコンエッグと一緒にショウ君の前に並べる。

コーヒーと、サラダも添えて、おいらもショウ君の前に座る。

「……サトシを守るのは俺の役目だと思ってるのに……。」

「おいらだって、ショウ君を守るよ?だから甘えたっていいんだよ。

 ショウ君、仕事大変なんだもん。おいらにくらい甘えて欲しい。」

「サトシ……。」

ショウ君の手が、マグカップを持つおいらの手に重なる。

「ほんと、最高のパートナー!」

「ショウ君もね!ほら、さっさと食べないと遅刻しちゃうよ。

 もう卵冷めちゃったかも……。」

ショウ君はパンに齧りつき、目玉焼きにがっつく。

「……ひゃいじょーぶ。さめても……サトシの……んぐっ……料理は旨い。」

「ほら、慌てて食べると喉に詰まるよ。」

おいらは笑いながら、コーヒーを口にする。

ガツガツ食べるショウ君は、本当に美味しそうに食べる。

見てるだけで、頬が緩む。

そんなおいらに気づいて、ショウ君も笑ってくれる。

笑顔はどんどん広がっていく。

おいらとショウ君の間で。

一緒にいるだけで、こんな気持ちになれるの、ショウ君だけだよ?

「あ、そうだ。今日はちょっと遅くなるかも。」

ショウ君が思い出したようにそう言った。

「何時くらい?」

「ん~、なるべく早く帰るけど……9時くらいになっちゃうかな?」

「おいらも今日、夕方から打ち合わせがあるんだけど……。

 食事しながらって言われてて、断ろうと思ってたんだけど、行って来ようかな。」

「田村さんと?」

ショウ君がマグカップから顔を上げる。

上目使いのショウ君が、やたらと可愛い。

「後、イベント会社の人が一緒みたい。

 当分、そのイベントに掛かりきりになりそうだから、

 早い内に打ち解けられたらって、田村さんが。」

「ま、田村さんが一緒なら心配ないと思うけど……。」

「何?おいら、そんなに信用ない?」

口を尖らせて、膨れて見せる。

そりゃあさ、信用されてないのはわかってるけど……。

もう、そろそろ信用も取り戻せてきてるんじゃない?

「サトシが信用できないんじゃなくて……俺は周りの人間を信用してない。」

おいらはびっくりして、目を瞠(みは)る。

ショウ君が人間不信だったなんて、初めて知ったよ。

「サトシの周りによってくるやつは男だろうと女だろうと信用してないし、

 信用する気もない。」

ショウ君は最後のパンを口に放り込む。

「ショウ君……。」

おいらはちょっと呆れて口が半開きになる。

そんな自分に気づいて、ブルブルと顔を振る。

「た、田村さんは信用してるでしょ?」

「田村さんにはお世話になってるけど……。

 それでも二人っきりになったらわからないと思ってる。」

「彼女いるよ?」

「彼女より……サトシの方が魅力的。」

「ショウ君!」

なんて失礼な。

佐々木さん、ごめんね。こんな上司で!!

そりゃ、田村さんもずっと昔はおいらのこと好きだった時期もあったって言ってたけど、

ほんと、ずっと昔のことで、今はそんなの、全然ないのに。

「仕事終わったら連絡するから、そのイベント会社の人、どんな人か教えてよ。」

「う、うん……。」

「ザッとシャワー浴びて着替えてくる。」

ショウ君が立ち上がってバスルームへ消えていく。

おいらは小さく溜め息をついて、コーヒーを啜る。

ショウ君の心配性も人間不信も……全部、おいらのせい?



シャワーを浴びて、シャツにネクタイをしながらショウ君がやってくる。

おいらは剥がしたシーツを洗濯してる最中。

通りすがりに後ろからギュッとされると、湿ったショウ君の肌と石鹸の匂いがして、

もっと包まれていたくなる。

離れていくショウ君を追ってリビングへ。

ショウ君は鞄に新聞を突っ込んで、腕に時計をしてるとこ。

時計をする姿もカッコいい……。

おいら、ベタ惚れだね。

恥ずかしいくらい。

ショウ君が、見てるおいらに気づいてニコッと笑う。

「どう?サトシの好きなキリッとした俺になった?」

前髪を両手で掻き上げ、決め顔を作る。

「うん……カッコいい……。」

「カッコいい俺にキスしたくならない?」

ショウ君が軽くウィンクする。

ショウ君……そんなこと、他で絶対しないでよ。

どんな人もイチコロで参っちゃうから!

おいらはゆっくり近づいて、ショウ君をギュッと抱きしめる。

抱きしめたまま、上を見上げ、背伸びをしてショウ君にキスをする。

ショウ君の手がおいらの背中に回って、おいら達のキスが深くなる。

「ショ…ォ……んっ。」

ショウ君は……優しく包み込むようなキスを繰り返す。

ああ、ショウ君……。

おいら、今日も幸せ……。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ふたりのカタチ (4)】へ  【ねぇ、メガネ、かけない? -1-】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (4)】へ
  • 【ねぇ、メガネ、かけない? -1-】へ