手解きはディナーの後で……(やま)

手解きはディナーの後で…… for零治様 ⑪

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バスルームでの手解きを終えると、刺激のせいか、運動不足のせいか、

鮫島社長は脱衣所にへたり込んだまま動けない。

影山は、そんな鮫島社長を、バスタオルで包(くる)み、丁寧に拭いていく。

「お、お前、よく平気だなっ?」

「……何が……でございますか?」

影山は、片手で鮫島社長の腕を持ち上げ、脇の下を拭きながら答える。

「……こ、こんなの、ま、毎回やってたのかよ。」

「こんなの……でございますか?」

手を止め、小首を傾げる。

「そ、そうだよ……。」

影山は柔らかく笑うと、逆側の手を持ち上げる。

「こんなの……は、零治様だけでございます。」

その言葉を聞いて、鮫島社長に芽生えるこそばゆいような気持ち。

どこがくすぐったいのかわからない。

でも、どこかが確実にくすぐったい。

その気持ちの正体がわからず、照れ隠しに、わざと口を尖らせ、

そっぽを向いて、憎まれ口を叩く。

「お、お前は口が上手いからな……それも手解きの続きか?」

影山はクスッと笑うと、鮫島社長を抱き上げる。

「はい、もちろんでございます。続きは……ベッドの上で……。」

にっこり笑うその顔を、びっくりした顔で見つめる鮫島社長。

「ま、まだするのか!?」

影山の目が、一瞬見開かれ、すぐにクシャッと細くなる。

「私は構いませんが……零治様にはご負担が大きすぎるかと……。」

「う、うるさい!お前と違って、俺は初めてなんだ!慣れればこれくらい……。」

また影山がクスクス笑って、寝室のドアを開ける。

「私も……入れられたのは初めてでございます。」

「お、お前、よく平気だな?」

「何が……でございますか?」

「俺とやって、すぐ立ってたよな?」

「はい。そうでなければ手解きなど……。お教えすることはできませんので。」

「……鉄人だなっ!いや、絶倫か?」

「お褒めの言葉、光栄にございます。」

「褒めてないわ!」

はっはっはと笑う影山は、そっと鮫島社長をベッドの上に下す。

体を包んでいたバスタオルが外れ、裸体が露わになると、

急に恥ずかしくなってくる鮫島社長。

ズルズルと体をずらし、乱れたシーツの中に潜っていく。

影山はさりげなく室温を調節し、鮫島社長の隣に滑り込む。

「な、なんでお前まで入ってくるんだ。」

「これからは、行為の後の手解き……。零治様も余韻とおっしゃっておりましたが、

 この時間が何よりも大切なのでございます。」

影山は鮫島社長の体に密着するように、横向きになって、枕に肘をつく。

その手の上に頭を乗せ、片手で鮫島社長の頬にかかる髪を払う。

「て、手解きなら……仕方ない。」

鮫島社長も大人しく影山を見上げる。

上目使いで見上げる鮫島社長に、影山はクスッと笑うと、手の甲で頬を撫でる。

それに沿うように、頬を寄せる鮫島社長。

「行為の後は、できるだけ優しく柔らかく、相手を愛撫してあげてください。

 女性は何よりもこの時間に安らぎと愛しさを感じるようでございます。」

「な、なるほど……。」

鮫島社長も感じている安らぎと愛しさ……。

愛しい?

影山が?

「影山……。」

「はい?なんでございますか?」

「……お前も……愛しいのか?」

影山は微笑んで答える。

「もちろんでございます。私はいついかなる時も、零治様を愛しく思っております。」

手を翻して、手の平で鮫島社長の頬を撫でる。

「そ、それは主人だからだろ。そうではなく……。」

俺は何を聞いている?

鮫島社長は言葉に詰まる。

これは……もしや……、いや、もしかしなくても……そうなのか?恋なのか!?

「主人であろうとなかろうと零治様を愛しく思う心に嘘偽りなどございません。

 それが、主人であるなどと、なんと私は運が良いのでございましょう。」

「影山……。」

「さぁ、少しお眠りください。私が隣におりますゆえ、安心して……。」

柔らかい影山の笑みを見つめ、鮫島社長はグッと口を一文字に引き結び、社長の顔になる。

「影山。」

「はい。」

「お前に重大な任務を与える。」

「任務……でございますか?」

「そうだ。俺は明日彼女と別れる。」

「なんと!せっかくの手解きが……。」

残念そうなセリフを吐きながら、全く残念そうでない影山は、

頬を撫でる手を首筋に移動する。

「俺はまだまだ未熟だ。学ぶべきことがたくさんある。

 今回の手解きで、痛感した。」

「ふふふ。さすが、零治様、痛感……言い得て妙でございます。」

「わ、笑うな!言葉のあやだ。痛感は痛感だが……。」

「わかっております……。」

影山は優しく肩から鎖骨を撫でる。

「だ、だから……まだまだ手解きを続行する。」

「続行……でございますか?」

「そうだ。もっと学ぶべき……いや、学ばなければならないことがたくさんある。」

「それは構いませんが……私の手解きは、今後ますます厳しくなっていきますが、

 覚悟はおありでございますか?」

「むろん。覚悟はできている。どんなに厳しかろうと、痛かろうと。」

また影山がクスクス笑う。

その手は、鎖骨から胸に下がり、目は鮫島社長を見つめ続ける。

「かしこまりました。その任務、全身全霊でお受けいたします。」

「……わかっていると思うが……。」

鮫島社長は影山の鼻の前に人差し指を差し出す。

「これは極秘プロジェクトだ。」

鮫島社長の真剣な表情に、おもわず影山もクスッと笑う。

その笑顔に向かって、両手を伸ばし、首に抱き着く鮫島社長。

影山の唇に唇を押し当て、ぎゅっと抱きしめる。

一瞬、驚いた影山も、すぐ鮫島社長の背中に腕を回す。

「プロジェクト……始動でございますね……。」

「……ああ。」

「……期限は?」

「俺はできが悪いから……一生かかるかもしれん。」

「覚悟して……手解きさせていただきます。」

影山の唇が、鮫島社長の唇を甘噛みする。

鮫島社長も返すように甘噛みを繰り返す。

「零治様、おじょうずでございます。」

「う、うむ。」

「次回は……どんな手解きをいたしましょうか……。」

「ま、任せる。」

「次回の手解き……いつになさいましょう?」

「……今すぐ。」

鮫島社長の体が、影山の体に密着する。

「かしこまりました。ですが、零治様。やり過ぎは体に毒……。

 何事も、適度がよろしいのでございます。お忘れなきよう……。」



手解きは……まだまだ続く……。










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