「みんなと作ったお話」
touch me now(やま)

touch me now ①

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「ごめん……。おいら、そんな風に考えたことないから……。」

智君が困ったように眉を寄せて、俺を見つめる。

「でも、翔君が大事なメンバーだってことは変わらない。

 今までも、これからも……。」

俺にクルッと背を向けて、楽屋のドアに向かって歩いて行く。

智君の背中に浮かぶTシャツの皺をボーっと見つめて、

俺の決死の覚悟の告白が終わった……。

俺……フラれちゃった……。

ドアの閉まる音がして、楽屋に残ったのは俺のみ。

フラれちゃったんだ……。

じわっと目の辺りが熱くなって、視界がぼやけていく。

「智君……。」

まさか、こんな大の大人になって、フラれたくらいで泣くなんて……。

でも、本当に清水の舞台から飛び降りるくらいの覚悟だったんだよ。

男同士……。

やっぱりダメなのか……。

ダメ……。

表面張力で必死に頑張ってた俺の涙が、ポタッと落ちた。

「ざどじぐん……っ。」

俺がギュッと目を瞑って、零れる涙が頬を伝うのを感じていると、

「そこで泣く?」

ソファーの向こうから声がした。

「え?」

楽屋には誰もいなかったはず……。

まさか、俺としたことが、人生の一大事を目前に、チェックミス?

振り返ってみてみると、ダルそうに上半身だけ起こした潤が、目を細めて俺を見てる。

「潤……ウック……。」

抑えても、喉に込み上げる嗚咽。

「翔さん、三十路を越えた男が、男にフラれたからって泣く?」

潤の冷たい口ぶりはいつものこと。

でも……こんな時までそんな言い方……。

「……うっせぇよ。」

俺は潤に背を向けて、急いで涙を拭う。

「……いつから?いつから好きだったの?」

「…………。」

いつからなんて、わからないくらいずっと……。

俺は答えず、ドアに向かう。

こんな姿、誰にも見られたくない。

まして、メンバーなんかに……。

ソファーの軋む音と、ガサッと動く音がする。

「……リーダー、最近ダダ漏れだったもんね。」

……何がだよ。

「翔さん大好きってオーラ。」

……そうだよ。だから、もしかして、智君も!?

なんて勘違いしちゃったんだよ。

勘違い……そんなことあるわけないのに……馬鹿だ。俺。

「手伝ってあげてもいいよ……。」

手伝う?何を?

「上手くいくように……。」

また、ソファーの軋む音がする。

「応援してあげるよ。翔さんの恋。」

潤……!

俺は振り返って潤を見る。

潤はソファーの上で片足を抱いて、ニヤッと笑って俺を見てる。

「潤……ヒック。」

「だから……そんな顔しないで。」

フッと柔らかく笑って、中指の背で口を押える。

「翔さん、きったなっ!ほら、顔拭いて。涙も鼻水も涎も。」

潤が近くにあったティッシュの箱を投げてよこす。

「潤~っ!」

俺は急いでティッシュを2、3枚取って鼻をかむと、また雑にティッシュを取って涙を拭う。

「潤……ングッ……ありがと……ズズズズ……。」

「いいから。ほら、まだ付いてる。」

「うん……。」

潤もティッシュを取って、俺の顔を拭いていく。

「でも潤……俺……ングッ……涎は……ヒッ……出てない。」

潤がびっくりしたように俺を見て、次の瞬間、大きな声で笑い出した。

「翔さん……わかったから……なんか、こんな可愛い翔さん、俺、好きだな。」

潤の言葉にびっくりして目を見開くと、また潤が笑い出す。

「……智君も、そう思ってくれるかな?」

最後にティッシュで目尻を拭って、潤を見る。

「あはは。翔さん、ほんとに好きなんだねぇ。」

す、好きだから告白したんだろ!

一世一代の大勝負だったんだぞ。

「大丈夫……俺に任せてよ。」

「任せるって……。」

「真っ向勝負でダメなら、ちょっと横道それてみるのもありなんじゃない?」

「……横道?」

潤がクイクイと人差し指を曲げて、俺を誘う。

俺は警戒しながらも潤に近づく。

潤は唇を俺の耳に近づけて、小さな声で言う。

「既成事実……作っちゃえば?」

「既成事実!」

俺が大きな声を上げると、潤はシッと口に指を当てる。

「ここ楽屋!誰が入って来るかわかんないんだから!」

「ご、ごめんごめん……。」

俺はまた、潤に向かって耳を差し出す。

「だからね、明日、明後日、ライブでしょ?」

ふんふんと、うなずく俺。

「ホテルに泊まりでしょ?」

またうなずく俺。

「リーダーが寝てから、そっとベッドに入り込む。」

「ベ、ベッドに!?」

また、潤がシッと睨む。

「ごめん……。」

潤が大胆なことを言うから!

「もちろん、裸ね。できればリーダーも……。」

「む、無理だよ……無理無理無理。」

顔を激しく横に動かし、手を振る。

「じゃ、リーダーはいいよ。翔さんだけならできるよね。」

「まぁ……それは……。」

俺は想像してみる……。

朝起きたら、隣に裸の智君が寝てる……。

日焼けした筋肉質な肌……。

引き締まった体と、少し伸びた髪……。

「翔さん、何考えてんの?鼻血!」

潤が慌ててティッシュを差し出す。

「ほんと、これがキャスターまで務めるインテリアイドルかね?」

潤が呆れたように笑う。

そんなこと言われたって……。

こんな俺、智君に対してだけだから!

でも……フラれたばっかりで、そんなことしても大丈夫?

もう少し様子を見た方が……。

「それは性急すぎでしょ。もう少し様子を見るべきでは?」

聞き慣れた声が、奥の座敷の方から聞こえる。

びっくりして振り返る俺と潤。

この楽屋には3畳ほどの座敷が付いている。

座敷にはカーテンが付いていて、着替えができるようになってるんだけど、

普段はほとんど使うことがないから、迂闊にも、誰かがいるなんて思ってもみなかった!

急いで行って、カーテンを開けると、胡坐でゲームをしているニノの姿。

「ニノ!」

俺と潤が同時に叫ぶ。

「面白そうだから♪俺も手伝ってあげますよ♪」

ニノがニッと笑った。



A 潤の言う通り、ベッドに潜り込んでみる。



B それはまだ早い!ニノに意見を聞いてみる。










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