「Hello Goodbye」
Hello Goodbye(5人)

キャラメル・ソング 下 - Hello Goodbye side story -

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俺らが帰って来ると、部屋にはすでにジュン君が来ていた。

「あ、ジュン君も来てたの?」

俺が声を掛けると、ジュン君はニコッと笑ってソファーを指さす。

「これ、どうしたの?」

「どうもこうも……。」

カズが説明し出す。

俺はソファーのショウちゃんに近づいて、そっとクッションを捲る。

クッションの下のショウちゃんは目を閉じて……。

寝てるのかな?

カズを見上げると、カズがフンッと鼻を鳴らす。

「ふて寝ですか。」

「……そうみたいです。」

俺らは窓辺に陣取って、輪になって座る。

俺は窓枠に腰かけて、外を見ながらカズの話に相槌を打つ。

「……で、ショウちゃんが、イヤイヤと駄々こね始めて……。」

「ショウちゃんも大人げない。」

「でしょ?ちょっと花火見に行くくらい……。」

「でも、チューしちゃったかもよ?」

ジュン君がニヤッと笑う。

「付き合うことになったり……。」

「それはそれ……そうなったら引き離すまで。」

カズがニッと笑う。

カズなら本当にやりそう……。

サトシも可哀想に……。

俺だって嫌だけど……サトシが幸せならさ。

ちゃんと見守ってあげないと……。

空を見上げると、月は全然見えなくて、雲も細く流れてて。

全然明るくない。

花火も……綺麗だったけどさ、みんなと見た去年の花火とは違ってて……。

こうやって、みんなバラバラになっていっちゃうのかなぁ。

「マー君。」

窓の下から声がする。

見下ろすと、サトシがにっこり笑って立っている。

「お!今開ける。」

俺は階段を駆け下り玄関を開ける。

「んふふ。ただいま。」

サトシが小さな声で言う。

「おかえり。」

俺も小さな声で答える。

母ちゃん達が奥のリビングにいるから、そっと小さな声。

サトシを連れて二階に上がると、カズとジュン君が優しい顔でサトシを迎える。

「どうだった?」

ジュン君が自分の隣にサトシを誘う。

「うん、楽しかったよ。」

サトシも素直にそこに座る。

すかさずカズがそのサトシの隣に移動する。

ジュン君とカズに挟まれて、照れ臭そうに笑うサトシ。

「チュー……した?」

「し、しないよ……。」

サトシが真っ赤になって顔の前で手を振る。

「でも、告られたでしょ?」

ジュン君がおもしろそうにニヤニヤ笑う。

「……うん、昨日……。断ったら、一度だけ花火一緒に行ってって言われて……。」

「それで花火、行ったのか~。」

サトシは優しいから……そこまでは断れなかったんだろうな。

「う、うん……。」

サトシが恥ずかしそうに顔を伏せる。

「でも……可愛かったでしょ?」

ジュン君が興味津々でサトシの顔を見る。

そりゃ、俺だって興味あるけど……。

き、聞きづらいじゃん。

そういうのって。

「浴衣着て……可愛かったよ……。」

俯いたままのサトシ。

「チューとか……雰囲気にならなかった?」

「……わ、わかんないよ。」

顔を真っ赤に染めるサトシ。

「おっ!これはあったな?どう?やっちゃった?」

やっちゃったって、ジュン君、言い方!

「なんか、そういう気持ちに……ならなかったんだ……。」

「そりゃそうですよ。お断りした相手なんだから。」

カズが、眉間に皺を寄せてジュン君を威嚇する。

「いいと思うよ。気持ちって大事じゃん?」

サトシが俺を見上げて、ニコッと笑う。

何もなかったんだ……。

ちょっとホッとしてる俺。

「ほらほら、サトシも帰って来たし、狸寝入りもそろそろやめたら?」

カズが声を張ってソファーを見る。

あ、ショウちゃん、起きてる?

こっちに寝返りを打ったショウちゃんが、パチッと目を開ける。

「ショウ君……一緒に行けなくて、ごめんね。」

サトシがすまなそうに眉を下げる。

「いいよ……その代わり、明日、プール行こ!」

ショウちゃんが、やっと笑ってサトシを見る。

「うん。」

サトシもにっこり笑う。

「俺も!」

「俺も。」

俺に続いてジュン君も手を上げる。

「もちろん、私も付いていきますよ。」

カズがニッと笑う。

「うん。みんなで行こ。」

サトシがにっこり笑う。

「受験生だけどね。」

ジュン君がサトシに向かってウィンクする。

こういうの、ジュン君のすごいとこ。

ウィンクとか普通に入れられるの!

俺なんて、ウィンクすらできないのに!

「一日くらい!」

俺がそう言うと、カズがニヤッと笑う。

「一番危ない人がそれを言う?」

「カズ!」

「大丈夫。プールに行って帰って来たら、一緒に勉強すれば、ね。」

サトシの助け舟はいっつも優しい。

「帰って来たら寝ちゃうくせに?」

カズが笑って俺を見る。

そうだけど……いいじゃん。

プールくらい!

「カズだって……。」

俺が言い掛けると、ガラッと部屋のドアが開く。

「こら!あんた達、何時だと思ってるの!

 もう花火は終わってるでしょ!さっさと帰んなさい!」

母ちゃんの怒声!

みんなの背筋がピンとする。

マジ、怖いから、ウチの母ちゃん!

みんなそれぞれ帰っていく。

家は近いから、俺は窓辺に座ってみんなを見送る。

「バイバイ。」

小さな声で言うと、みんな振り返って手を振ってくれる。

サトシの隣にはショウちゃん。

サトシの家が一番近いのに、必ずショウちゃんがサトシを家の前まで送る。

ダダをこねてたショウちゃんとは思えない!

サトシをエスコートして帰っていく後ろ姿を見送って、

ちょっとセンチになる。

空を見上げると、遠くの空に一際輝く星……。

「あれ、なんて星だろう……ショウちゃんならわかるのかな……。」

みんなの背中が見えなくなってく……。

来年は、みんな一緒に行けるといいな。花火。

俺はそっと窓を閉める。

母ちゃんに怒られないように。










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