「Deepな冒険」
Deepな冒険(やま) 智Ver.
さらに……Deepな冒険 智ver. ⑧
2016.07.24 *Edit
「何があっても翔君の心が変わることはないって……。」
「智……。」
「不思議でしょ?そんなこと、あるはずないのに。」
「あるでしょ、現にそうなんだから。」
智が俺の手の甲を撫でるように包む。
「うふふ。翔君……。でもね、今はそうでも、1年後、10年後……。
そんな先じゃなくても、明日、1週間後、人の気持ちなんてどう変わるかわからない。」
「普通はね。」
俺の気持ちはそんな簡単なものじゃないから。
何があっても、智以外を可愛いと思っても、智以外を好きにはならないって、
俺だって確信してる。
「そういう役も、いっぱい演(や)ってきたし、周りでも見てきた。
だから、わかってるんだけど……。
翔君に関しては、変な自信があるのかな?
絶対なんてないのわかってても、絶対大丈夫って思ってる。
おかしい?」
「おかしくないよ。本当にそうなんだから。」
智は俺の手を包んだまま、顔の前まで持ち上げて、チュッと小さく唇を当てる。
「翔君……。」
智が俺を、信頼しきった目で見上げる。
「智……。」
俺は智に包まれた両手を解いて、逆に、智の両手を包み込む。
包み込んで、智を見つめる。
「おいらがいるのは、本当に人を信じるのが難しい世界。
味方だと思ってた人が、急に離れていったり、
おいらに興味なさそうだった人が、急に近づいて来たり……。
大人の事情も、人間関係も、お金も、経済的なことも、政治までも、
いろんなことが絡まり合って動いてるから……。
そんな中でね、翔君がいるってことが、本当にホッとするんだ。」
「智……。」
「初めて会った時、翔君が一生懸命、守ろうとしてくれたでしょ?
おいらの願いを叶えようとしてくれた……。」
俺は小さくうなずく。
智だってバレないように、それだけしか考えてなかった。
せっかく一人で出てきた智が、何もできずに帰らされる。
バレたら一緒にいられる時間が……短くなる。
「あの時から、おいら、感じてたんだよね。
翔君とずっと一緒にいるって。いたいって。
だから……会いに行ったんだよ。」
「智……。」
俺は智を抱きしめる。
俺だって、待ってたよ。
会いに行きたかったよ。
いくらだって、守ってあげるよ。
「だからおいら、きっと……ヤキモチ焼かないと思う。」
「ん……。そうだね。俺も……智のキスシーンくらいであたふたしないようにするよ。
平常心で……ここで、両手広げて待ってるから。」
「翔君……。」
智が俺の胸に顔を埋める。
「智……。」
俺は智の顎に指をかけ、上を向かせる。
「智を包むキスは……俺だけだから……。」
智がそっと目をつぶって、俺を誘う。
俺は智の唇に唇を重ね、優しく智の唇を包み込む。
「だから、お願いだから隠し事はしないで。」
智が唇を離して言う。
「隠し事?」
「そう……何か……翔君に迷惑かけるようなことがあったんじゃないかって……
心配になる。」
智は……そんなことを考えてたのか……。
自分の仕事のせいで俺に迷惑かけてないかって。
それを心配してたんだ。
俺は全く考えてなかった……。
そうだよな。
俺達の関係がバレるってことは……。
智の仕事に影響がでる。
何十万って女の子が泣くことになる……。
マスコミの恰好の餌食。
俺は週刊誌に載る、俺と智を想像してみる。
フラッシュを避けるように、顔の前に手を翳す俺。
どこかで見たような智の写真。
『大野智、男と同棲!?』
『悲痛!騙されていたファン達!』
『演技でファンを泣かせる大野が、夜は啼かされていた!』
まずい。非常にまずい!
それが原因で俺達も会えなくなるかもしれない。
もちろん、そんなことになったって、智から離れる気なんかない。
ないけど……。
智はどうなんだろう?
今の仕事を大事にしてるのは見てればわかる。
俺といる時はふにゃっと笑って、まるでそんな風に見えないのに、
テレビ、雑誌を通じて見る智の輝きは……そう、本当にスターで……。
国民的スーパーアイドル。
わかっているけど、わかっていたけど、
こんな、ふにゃっとした智といると……忘れてしまう。
「翔君……?」
「ごめん……もう二度と、隠し事はしないから。」
「うん……ありがとう。」
智が俺の唇に唇を当てる。
「ごめんね……。」
唇をずらして、柔らかい唇の感触を味わう。
「なんで謝るの?」
上唇を甘噛みして、智の吐息を感じる。
「ぁ……んっ……だって、おいらのせいで翔君に迷惑かけるかも……あんっ。」
智の舌に舌を絡める。
舌先を舌裏に返して、唾液を纏わせる。
「迷惑なんかじゃないよ……俺は何があっても智の隣にいるんでしょ?」
「は…ぁ……そう……ぁんっ……そうだよ、何があっても……んっ。」
「いるよ……何があっても。例えバレても……。」
「ほんと……?」
智が唇を離して、俺を見上げる。
「もちろん……。智は?それでもいい?」
「嫌なわけない!」
智がまた俺の唇を塞ぐ。
俺は智の細い腰を、ぎゅっと抱きしめた。
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