「Deepな冒険」
Deepな冒険(やま) 智Ver.

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金曜日の飲み会は久しぶりに潤子や雅美とも飲めて、

まぁ、楽しかった。

これで、小山にも恩返しできたし?

すこぶる上機嫌な中、小山は必至に潤子にアピール。

「いやぁ、潤子先輩ほど素敵な女性はいないです!」

小山は潤子におしぼりを渡しながら、褒め続ける。

潤子は派手な顔立ちで豪快姉ちゃんに見えがちだが、意外に繊細。

そこが、小山の男の部分を刺激するのか?

潤子から見ても、イケメンの後輩が、これでもかと猛アピールなんだから、

嬉しくないわけもない。

ま……智ほどではないけど、いい女に違いないし。

あ、智は女じゃないけど。

潤子の隣の雅美は、男なら誰もが可愛いと思うような素朴な天然キャラ。

キャラなんて言うと失礼だけど、いつでもニコニコしていて、社内での人気はダントツ。

それが、なかなか彼氏ができないんだから、不思議なもんだ。

社内の七不思議の一つと言われてる。

もちろん、智の笑顔に敵う女なんかこの世に存在しないけど、

ウチの社の美女ツートップと飲めるんだから、俺だって悪い気はしない。

雅美が俺の皿にサラダを取り分けてくれる。

「あ、櫻井君、好き嫌いなかったよね?」

「あ、大丈夫。なんでも食べれる。パクチー以外なら。」

「パクチー、ダメなの?美味しいのに。

 今度、美味しいお店あるから、連れてってあげるよ。」

俺は顔の前で手を横に振る。

「いい、いい。パクチーなんて、一生食べられなくても後悔しないから。」

雅美のよそった皿から、ポロリときゅうりが転がる。

「あ……ごめん。」

恥ずかしそうな雅美の顔。

この歳で、この顔できるんだから、雅美も大したもんだ。

この、なんとも不器用な感じが男心をそそるんだろうな。

俺も斜め上を見ながら、ちょっと考える。

ん~、……わかる!わかるよ、その気持ち。

智も器用なのに、不器用なとこがあって、そんなとこ見つけると、

思わず頬が緩んでくるから。

智に出会うまでは全くわからなかったけどね。

そう言えば、そろそろキスシーン、撮ってるのかな……。

夜のシーンだって言ってたけど……。

俺は袖を引いて時刻を確認する。

腕時計は10時を回ったところ。

「何?櫻井君、この後予定でもあるの?」

雅美が心配そうに俺を見る。

「いや、帰りの電車もあるから、確認。」

笑って3杯目のビールジョッキを握ると、

雅美も安心したようにサワーグラスを持ち上げる。

「まだ飲み始めたばっかりじゃん。終電まで、まだまだ時間あるから。」

潤子がジョッキ片手にゴクゴク飲んで、小山に向かって笑いかける。

「櫻井の言いなりになんて、ならなくていいんだからね?

 こいつ、意外と我が儘だから。」

「し、失礼な。そんなこと……。」

ないとも言えないか……。

こと、小山に関しては……。

「大丈夫です。櫻井さんはいい先輩です!俺、尊敬してます!」

小山は俺を見て、ニヤリと笑う。

俺にも言えって?

わかってるよ。

「小山だって、いい後輩だよ。頭はいいし、何しろイケメンだし。」

「いやぁ、櫻井さんの方がイケメンですよ~。」

「いやいや、小山の細マッチョは男でも惚れるよ。」

言ってて、ハッとする。

智も……小山みたいな方がいいのかな?

俺は自分のお腹をそっと見る。

智と会えなかった1か月でわずかに減った体重も、

智が一生懸命作ってくれる料理(家にいる時は少しずつレパートリーを広げてる。

もちろん、俺も!)を、残さず食べている間に、どんどん元に戻って、さらに増えて……。

見るも無残な中年太り……まではいかないけど、半歩手前?

チラッと隣の小山の腹を見る。

シュッと締まったお腹には、余裕の皺が……。

なんだか、こいつを褒めるのがバカらしくなってくる。

「こんな男前なのに、彼女がいないのは……なんか理由があるんじゃないの?」

片方の唇の端を上げて笑うと、小山が睨み返してくる。

何?まだ早い?もっと褒めろって?やなこった!

こっちは智がキスしてるかもしれないんだぞ。

イケメンを褒めてる場合じゃない!

てか、十分イケメンなんだからさ、自信持ってガッツリいけよ。

俺みたいにさ。

あれ?俺、ガッツリ行ったんだっけ?

ちょっと酔いが回って来たのか、記憶に集中できない。

「櫻井さん?」

小山が俺を見上げる。

ああ、これが智だったら、ガッツリ抱きしめて、チュッて……。

「櫻井さん、大丈夫ですか?」

俺は小山の肩をガッシと掴む。

「お前……さっさと行っちゃえよ。」

「な、なんですか、いきなり。」

小山がびっくりして体を引く。

「男ならガッツリ行って、チュっていきゃあ、それで終わりよ。」

なんだ、俺?何言ってる?

これじゃ、往年の二枚目スターみたいだぞ?

「ガッツリって……何言ってるんですか!」

「最近の男にはそれが足りないんだよ。」

小山が疑り深そうに俺を見る。

「さ、櫻井さんは……行ったんですか?ガッツリ。」

「おうよ。」

ってか、それどころじゃないんだよ。

今頃智は……。

「それでモノにしたんですね?今の彼女。」

「おうよ……って、彼女じゃないけど。」

彼女じゃないからね?

でも、彼氏でもない……?

あれ?俺と智ってどういう関係?

「なんだ、櫻井、まだ彼女いないんじゃん。」

潤子がバカにしたように俺を見る。

「よかったじゃん。雅美!」

潤子が雅美の肩を叩く。

「止めてよ潤子!」

雅美は恥ずかしそうに頬を染める。

その仕草が、智を彷彿とさせる。

ああ、智……智はもうキスしちゃったのかな?

さとしぃ~!

と、大きな声で叫びたかったが、それはできない。

何と言っても智は有名人。

俺達のことは絶対の秘密。

でも……俺達の関係って、秘密にしなくちゃいけない関係なのか?

「櫻井君、大丈夫?酔ってるみたい……。」

雅美の声が遠くで聞こえる。

そう言えば、雅美は俺が好きだって、小山が言ってたっけ。

そんなことを考えていると、携帯がブルッと震えた。










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