復活LOVE(やま)

復活LOVE ㉔

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7時50分。

きっかりにドアを開ける。

示し合わせたように、隣のドアも開く。

玄関の鍵を掛けながら、にっこり笑う先生。

「おはよ。翔君。」

「おはようございます……。」

俺も玄関の鍵を掛け、チラッと先生を見る。

ちょっと腑に落ちないように顔をしかめる先生。

ん?と首を傾げると、先生は口を尖らせる。

「おはよう……ございます?」

ああ、そこ?

「なんか……服着て会うと……かしこまっちゃうっていうか……。」

俺が頭を掻くと、先生が俺の髪に手を伸ばす。

「いいよ……服着てる時はそれでも……。」

先生の手が俺の髪を梳いていく。

「でも……着てない時……。」

先生の顔がポーッと赤くなる。

「先生って呼ぶのは……。」

はにかんで目を伏せる先生の可愛らしさに、思わず抱きしめる。

「翔君っ。」

先生の体が縮こまる。

「いいの?名前で呼んで?」

「う……うん……。」

足元を見つめる先生の頬の赤さ。

それだけでゾクゾクする俺って……。

「何にしようかな?智?さとちゃん?さと?」

さらに赤くなる先生。

「な、なんでもいいから……。」

「ん?何でもいいの?……」

俺は耳元で囁く。

先生が俺の声に弱いって、昨日わかったから。

「……いいから……早くしないと遅刻!」

先生は赤い顔のまま、俺の手を振りほどいて、エレベーターホールに向かう。

「ま、待ってよ。先生!」

「ま、待たない!」

先生は足を止めずエレベーターのボタンを押す。

「待って……智。」

先生が振り返る。

「翔君……。」

「さと…し……。呼び捨ては……やっぱり言い辛いね?」

俺はまた、後頭部を掻く。

先生は、んふふっと笑って、また俺の髪を撫でつける。

チンとエレベーターが開いて、一緒に乗り込みながら先生の肩に手を添える。

「翔君……間に合う?」

先生が俺の腕を持ち上げて、時計を見つめる。

「大丈夫。この時間なら……。いつも少し早めに出てるから。」

「ならいいけど……遅刻したら……。」

「わかってるって。絶対遅刻しないようにするから。だから……。」

先生の顎に手を添える。

「今日も行っていい?」

先生が上目遣いで俺を見る。

この角度……。

俺、やっぱり仕事行くの止めようかな?

「ん……待ってる。でも……ちゃんと仕事してきてね?」

見透かしてるみたいにそう言って、先生が背伸びして俺の唇に唇を当てる。

びっくりしてる俺を横目に、すぐに俺を押しのけて、ドアの前に立つ。

タイミングよくエレベーターが開いて、ボーっとしてる俺を置いて先生が出て行く。

「せ、先生!」

俺は慌てて先生の後に続く。

「俺、できるだけ早く帰って来るから!」

「うん。」

楽しそうに先生が笑う。

「体は……大丈夫なんだよね?その……初めてであれはやりすぎかと……。」

そう。部屋に戻ってちょっと反省した俺。

いくら求められたからって、最初から飛ばし過ぎ?

時間はたっぷりあるのに……。

先生の顔を覗き込むと、ボッと赤くなって恥ずかしそうな先生の顔。

「だ、大丈夫……。あ、相性がいいって言うか……。」

さっきまで保護者感丸出しだったのに、

そっち系の話になると一気に可愛くなるんだから……。

「後ろの調子も大丈夫?」

わざと、耳元で聞いてみる。

さらに赤くなる先生。

「だ、大丈夫。なんか挟まった感じはするけど……歩きにくいとかは……ないから……。」

「挟まってる感じ?じゃ、今日の夜はすぐ始められるね?」

「しょ、翔君!」

先生が俺の胸を叩く。

「あはは、ごめんごめん。」

叩く手を握り締めて先生を見つめる。

「赤くなるんだもんなぁ。あんまり可愛くて、意地悪したくなった。」

「な、なるよ。そんな話、こんなとこでするんだもん。」

赤く染めたままの頬を膨らませる先生。

「ごめんって……。」

俺は先生の頬をプニプニと摘まむ。

「今日はセーブするから……。」

「いいけど……セーブしなくても……。」

先生が、下を向いたまま、小さくつぶやく。

「先生……!」

その可愛さに、また抱きしめようとすると、先生が俺を両手で制して言う。

「で、でも、朝起きてちゃんと仕事に行けるくらいでってことだから!」

「わかってる♪」

嬉しくて、俺の声が弾む。

「頭すっきりで仕事できなきゃダメなんだよ?」

「もっちろん♪」

「仕事頑張ろうって思えないと……。」

「思えるよ。先生と一緒にいる為にも……ちゃんと家賃払わないとね。」

「翔君……。」

俺を制していた先生の手が下がる。

「なんなら、壁ぶち抜いちゃう?その修理費払うまで、俺ら引っ越しできなくなるし。」

「翔君っ!」

先生が呆れたような顔をすると、クルッと俺に背を向ける。

そのまま、自転車置き場までスタスタ歩いて行く。

「先生!いってらっしゃい!」

先生の背中に向かって叫ぶ。

振り向いてくれない先生。

「智!いってらっしゃい!」

俺はどうしても振り向かせたくて、叫ぶ。

やっと振り向いた先生は、呆れた顔から笑顔になって、俺に向かって手を振る。

「いってらっしゃい!翔君!遅刻したらなしだからね!」

先生が言いながら自転車に跨る。

俺はそんな先生を見つめながら思う。

これから、毎日こんな日が続くんだ……。

今日のお昼は牡蠣とレバーとうなぎだな。

行ってしまう先生を見送って、俺も駅に向かって歩き出す。

高校時代の淡い初恋……。

ずっと聞きたくて、聞けずにいた先生の気持ち。

しかも、あんな官能的で刺激的な先生を知って……。

ふとコンビニの時計が目に入る。

「ヤバッ!急がないと遅刻……。」

俺は駅に向かって走り出す。

遅刻したら、俺達週末のみになっちゃう。

週末まで待てるか?

いいや、待てん!

可愛く笑う先生を目の前にして、押し倒さずにいられるわけがない!

なんとかいつもの電車に間に合って、駅の改札を抜ける。

久しぶりに走ったせいか、はぁはぁと息が上がる。

お昼……にんにくと山芋も追加しよう。

待っててね。

先生!

……いや、智!










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