復活LOVE(やま)

復活LOVE ⑩

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稲垣先生の名前を出した途端、先生は明らかに動揺した。

「さぁ……全然会ってないから……。」

「恋人……だったんでしょ?」

先生は俺から顔を逸らしてビールを飲む。

「あの後、すぐ別れちゃったの?」

「う、うん。」

先生は俺を見ようともしない。

俺もビールを煽って空にする。

会ったら聞いてみたいと思ってた……。

でも、聞いちゃいけないような気もしてる。

過去の事実を知ったところで、時間が戻るわけじゃない。

それでも!

偶然、隣同士になるなんて、運命以外の何物でもない!

真っすぐに先生を見て、真っ直ぐに言う。

「先生……俺のこと、どう思ってた?」

「どうって……可愛い生徒だったよ。」

先生はまだ顔を逸らしたまま。

「それだけ?」

「……それだけだよ。」

俺は息を吐いて、先生を見る。

「あのキスは……しちゃいけなかった?」

先生がやっと顔を上げた。



若冲展に行ってから、俺は毎日のように通っていた美術準備室に行けなくなった。

先生に対する仄かな想い……。

それが、同級生達が大野先生に対して持ってる、

好奇心や興味本位とは違うことに気づき始めたから。

みんなより真剣で、みんなよりリアル……。

廊下ですれ違っても、前みたいに大声で挨拶して笑いあったりできない。

「翔君、どうしたの?最近来ないね。」

職員室の前で、先生に声を掛けられたけど、

「勉強が忙しくて……。」

そう答えるのが精一杯。

「そっかぁ。受験生だもんね。頑張って。」

先生はどこか寂しそうに笑って、俺の肩を叩く。

俺はその手を払い退けて廊下を走り出す。

先生の叩いた肩がジンジン熱いなんて、先生気づかないでしょ?

夜ベッドに入ると、見上げた時の先生の顔を思い出すなんて、想像もしてないでしょ?

先生が悶える姿を想像して一人でヤッてるなんて……。

そこまで考えて顔がカァーッと熱くなる。

教室に戻ると、俺を見た翼が近づいてくる。

「さくしょう、今日さぁ。」

翼が俺の肩に手を回す。

さっき先生に叩かれた肩。

俺は勢いよくその手を振り払う。

「やめろよ!」

「やめろってなんだよ!」

「うぜぇんだよ!」

「はぁ?何イラついてんの?」

血気盛んな男子高生。

ケンカするにはそれで十分だった。

教室での殴り合いのケンカはすぐ学校中に広まった。

「い、痛っ!」

「殴られた時の方がもっと痛かったでしょ?」

舞子ちゃんが消毒液と軟膏を次々に塗っていく。

「痛いって!もうちょっと優しく……痛っ!」

隣で先に手当を受けた翼が笑う。

「殴られた時より痛いよな?」

「痛い痛い!」

「舞子ちゃん、最強!」

「うるさい!」

舞子ちゃんが、俺の唇の傷に消毒液をかけた。

「ぅわぁっ!」

「動かない!男でしょ!」

チラッと見ると、舞子ちゃんのデカパイが俺のすぐそこで揺れている。

隣の翼を見ると、翼もニヤつきながら舞子ちゃんの胸から目が離せない。

俺は肘で翼を突(つつ)く。

翼も突き返す。

そんな俺らを見て、舞子ちゃんが乱暴に軟膏を塗り込む。

「い、痛いよっ!舞子ちゃん!」

「うるさい!スケベ男子!」

「スケベは健全な証拠です!」

隣の翼が笑う。

「翼君も、治療が終わってるんだから、教室へ戻りなさい。」

「大人しく戻ったら、今度デートしてくれる?」

「いい子で卒業できたらね。」

舞子ちゃんは忙しそうに俺の傷を探していく。

「え~っ!今がいい!今週末、どう?」

「ごめんね。今週末は予定があるの。」

舞子ちゃんはまだ治療していない傷を見つけて、消毒液を掛ける。

「い…痛いからっ!」

俺が痛がってるのなんか気にせず翼が言う。

「予定?まさか、彼氏?」

「そう、彼氏。」

「舞子ちゃん、彼氏いんの?」

「どうだろうね?」

舞子ちゃんは軟膏を塗り、足、腕、顔を確認して俺に言う。

「シャツ、脱いで。背中も見るから。」

「えっ?傷についたら痛い……。」

「ボタン外すだけでいいから。持ち上げてみるから。」

俺はしぶしぶボタンを外す。

すぐに椅子が回転させられ、舞子ちゃんが背中のシャツを捲り上げる。

「ん……背中も脇も大丈夫そうね?」

クルッとまた椅子を回転させる。

「あっ。」

舞子ちゃんが小さくつぶやいて、俺のお腹をじっと見る。

青くなってるとこを見つけ、軟膏を塗っていく。

「あ……くすぐった……痛っ!」

俺が体を捩って抵抗すると、思いの外強い力で舞子ちゃんが俺の腕を掴む。

「ほら、ちゃっちゃと終わらせないと、授業終わっちゃうでしょ!」

俺はくすぐったいのと痛いのを我慢して、軟膏を塗らせてあげる。

隣の翼はクスクス笑い続ける。

「さくしょう、お腹、弱っ!」

「うるせぇ。感じやすいお年頃。」

「感じやすいのはそこじゃねぇだろ?」

「うっせぇ!」

俺らがクスクス笑うと、舞子ちゃんが俺のお腹をペシッと叩いた。

「はい。これで終わり。」

そのまま立ち上がると、軟膏やら何やらを片づけ始める。

俺は、シャツのボタンを留めようと手を掛ける。

すると、保健室のドアが開いて、心配そうに眉を下げた大野先生が入って来た。










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