復活LOVE(やま)

復活LOVE ⑥

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先生の料理は旨くて、ビールも進み、懐かしい話に花が咲く。

「あの頃、ずっと翔君と一緒にいた……。」

先生は若干頬を染めながら、フォークでベーコンを刺す。

「ああ、翼?」

「そうそう。翼君だ!仲良かったよね?」

「うん。今でも連絡取ってるよ。翼は原宿のスポーツ用品店で店長してる。」

「え?すごいね。」

「うん。髭とか生やしてカッコいい。原宿が似合ってる。」

俺が笑うと、先生も懐かしそうに柔らかい笑顔で笑う。

「翔君と翼君、二人でよく怒られて……。」

「そ、そんなことなかったよ。」

思い出して苦笑いする。

確かに二人でよく怒られてた。

騒ぎすぎだって(笑)

「他は……誰か、覚えてる?」

俺は近況報告兼ねて聞いてみる。

「翔君の周りの子は目立ってたから、なんとなく覚えてるけど……。」

先生はサラダのプチトマトを口に入れる。

「でも、翔君が一番かな。」

先生が頬を染めたまま俺を見つめる。

「そ、それは……俺が手のかかる生徒だったってことですか?」

俺は笑いながら、先生の作ったパスタを頬張る。

先生のパスタは胡椒が利いてて大人の味。

高校生の頃の俺にはきっと作ってくれなかった味。

「そうじゃないよ。翔君はいい子だったもん。いい子すぎて……。」

「先生……。」

俺が先生を見つめると、先生は立ち上がって冷蔵庫を開ける。

「翔君、顔赤いからそろそろ止めておこうか?

 おいらはもうちょっと飲もうかな?」

先生は冷蔵庫からビールを一つ取り出す。

「いや、俺も……もう一本。」

「大丈夫?もう結構空けてるよ?……そっか。隣だから酔いつぶれても帰れるね?」

先生が笑いながらビールをもう一本取り出す。

先生の頬が赤いのはビールのせい。

でも、俺の頬が赤いのは……きっと先生のせい。

「そう言えば……稲垣先生……お元気ですか?」

俺はできるだけさりげなく言ってみる。

でも……先生の顔色がガラッと変わった。



先生に保健室で手当てしてもらってから、俺らは急激に親しくなった。

……ような気がしてた。

廊下で会えば、軽く言葉を交わし、放課後は先生のいる美術準備室へ通った。

先生は俺としゃべりながら絵を描き、俺は宿題をやったり本を読んだり……。

穏やかな、心落ち着く時間……。

美術室では美術部が絵を描いたりしてたけど、準備室は先生と二人っきり。

美術部員がたまに入ってきたりして、最初の頃は訝しがってたけど、

だんだん慣れて、俺がいても彫刻が置いてあるくらいにしか見なくなった。

「翔君、足のケガ治った?」

しばらくして、思い出したように先生が言った。

「治った治った!ほら!」

俺はその場に立ち上がってジャンプして見せる。

「んふふ。よかった~。おいらの手当てが悪くてずっと治んなかったら困るもんね。」

足首はもうすっかり痛くなかったし、擦り傷もかさぶたが取れ掛かっていた。

「先生の手当て、怪しかったからね?」

俺は笑いながら、また椅子に腰かける。

「怪しい?ひどいな……。」

「だって、包帯グルグル巻き!」

「し、仕方ないでしょ?手当なんてしたことないんだから。

 シップが取れないように、しっかり巻いた方が……。」

先生がちょっとふくれ顔で説明しだす。

わかってるよ。そんなこと。

先生、きっと学生時代も美術部とかで、怪我の手当てなんてしたことなかっただろうから。

「うん。おかげでしっかり治ったよ。」

「ちゃんと、おいらが言った通りにあんまり動かさなかった?」

「もちろん。お風呂上りにちゃんと毎日シップもしたよ。」

先生はニコニコ笑って、俺の近くにやってくると、俺の頭を優しく撫でる。

「ぅふふ。いい子いい子。」

俺は子供扱いされたみたいで、口を尖らせる。

「いい子って……もうガキじゃないんだから。」

ガキな俺の背伸び。

先生から見たら十分子供で、でも、一人前に見てもらいたい俺。

「ごめんごめん。翔君可愛いからさ、つい可愛くって……。」

「それが子供扱い!俺、もう17だよ?体は……まだ小さいけど、十分大人だから!」

世間を知らないから、自分がもう大人だって錯覚してる……。

いや、そう思いたかったのかな?

「そうだよね。ごめんごめん。」

先生はそう言って、また筆をパレットに落とす。

俺は納得いかなくて、ふくれっ面のまま先生の描きかけの絵を見つめる。

先生の絵は、大人か子供かもわからない人の顔。

大きなキャンバスいっぱいに描かれたその顔は、男か女かもわからない。

色を入れ始めたばっかりで、これからどう仕上がっていくのか、俺には想像もつかない。

そのキャンバスに、先生が筆を走らせる。

長く引いたと思ったら、小さく細かく筆を動かして、

先生の頭の中を、キャンバスに移していく。

しばらく先生の動作に見入ってから、ポツリと話しかける。

「先生、それ、誰?」

「ん~、誰かな?わかんない。」

「わかんないの?」

「うん。イメージだから。」

先生はそう言って、クルクルの髪をキャンバスに描いていく。

「男?」

「男……かな?」

「子供?」

「子供……なのかな?」

先生は筆を変え、色を変えて眼鏡のフレームを描き出す。

俺は眼鏡かけないから、俺じゃないのか……。

なんとなく、俺に似てると思ったんだけどな……。

俺の願望?

あの唇の感じとか、似てると思ったんだけど……。

俺がじっとキャンバスを見つめていると、先生が恥ずかしそうに俺の顔を見る。

「あんまり見ないで、恥ずかしいから。」

少し頬を染めた先生は、いつにも増して可愛らしく……。

こんな顔、俺以外に見せて欲しくないと……そう思わずにはいられなかった。










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