手解きはディナーの後で……(やま)

手解きはディナーの後で…… for零治様 ①-下

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食後のコーヒーを飲んでいる鮫島社長。

しかし、どうしても気持ちが沈む。

「コーヒーのお代わりはいかがでございますか?」

影山が鮫島社長にかしずく。

「いや、もういい。それより影山。」

「はい。何でございましょう。」

影山は柔らかい笑顔で、ピタッと動作を止める。

「恋愛には嘘が必要だっていうのは本当か?」

「嘘……でございますか?」

「……秘書が言っていた……。正直さより心地よさだと。

 その為には嘘をつくことも必要だ……と。」

しょんぼりとうつむく鮫島社長に、影山はニコリと笑う。

「嘘をつく必要などございません。

 人間、誰しも心地よければ心地いいと言うもの。

 そこに嘘偽りは必要ないのでございます。」

影山はそっと鮫島社長の前に屈みこむと、その唇を鮫島社長のそれと重ねる。

優しく食むように甘噛みし、その柔らかさを押し付けるように顔の角度を変える。

「んっ、んんっ……。」

ジタバタと両手で空を漕ぐ鮫島社長にかまうことなく、影山は口を大きく開けて、

鮫島社長の唇全部を吸い上げる。

「んんっ……んんんんんっ。」

影山の手が、空を舞う鮫島社長の手を優しく握り締め、

柔らかさがわかるように、唇を一瞬離す。

チュパッとリップ音がし、すぐにまた唇を重ねる。

今度は触るか触らないかの、くすぐったいようなキス。

しだいに、鮫島社長の瞳が潤んでくる。

もっと唇に触れたがっているのがわかって、影山がクスリと笑う。

唇をほんの少し離した状態で、影山が言う。

「恋愛には心地よさはとても大切なものでございます。零治様……。」

その優しい低音ボイスは鮫島社長をさらに心地よくしていく。

「う……うむ……。」

しかし、なんだか負けたような気がする鮫島社長。

なかなか素直な態度が取れず、顔をこわばらせる。

「心地よかったら心地いいと素直に言えばよろしいのでございます。

 何も嘘などつく必要はございません。

 愛する者同士、一緒にいれば心地よくなるものでございます。」

悔しそうに唇を噛みしめる鮫島社長を見て、影山がニヤリと笑う。

「もう少し……レッスンは必要でございますか?」

先ほどから、全く顔の位置を変えない影山が、その大きな瞳で鮫島社長を見上げると、

鮫島社長の顔がどんどん赤くなっていく。

「う、うー……。ま、まだよくわからないみたいだ。」

「左様でございますか……。」

影山は一瞬ほくそ笑むと、鮫島社長を見つめながら優しく言う。

「気持ちよかったら、気持ちいいとはっきり言うのでございますよ?

 それが、恋愛の第一歩でございます。」

「う、うむ……。」

子供のように真剣な表情で見つめられ、影山はその手を鮫島社長の顎に添える。

クイッと持ち上げて、角度を調節すると、再度唇を押し当てる。

「あ……。」

鮫島社長から声が漏れ、求めるように唇を軽く開ける。

影山はニヤリと笑って鮫島社長の唇を堪能する。

優しく、激しく、唇だけで愛撫を繰り返す。

「あ……んっ……はぁん……。」

「……いかがで…ございますか……?」

影山の問いに、鮫島社長が小さな声で答える。

「う……。悪くない……。」

「悪くない……気持ちよくはございませんか?」

「わ、悪くないは悪くないだ。」

ふっふっふと影山が笑う。

「……嘘がつけないうえに、素直にもなれないなんて……難しいお人だ。」

「お、俺は正直に言ったまでだ。」

「では……。」

影山は立ち上がり、鮫島社長の前に置かれたコーヒーカップを持ち上げる。

「これで今日のレッスンは終了でございます。」

「えっ?」

びっくりしたように見上げる鮫島社長をあざ笑うように、影山はクルッと背を向ける。

「ま、待て。」

鮫島社長の声が聞こえないのか、影山はさっさと茶器類を片づけ始める。

「待てと言っている!」

影山は、ふと、思い出したように振り返り、じっと鮫島社長を見つめて、またニヤリと笑う。

「言い忘れておりましたが……今日のキスのレッスンはまだまだ初級編でございます。

 キスとは奥の深いものゆえ、一回のレッスンではお教えすることが出来かねます。

 ですが、基本は同じ……今日の心地よさ……お忘れなきように。」

言うだけ言うと、影山はそそくさと片づけに戻って行く。

「な、なんだよ初級編って……。」

鮫島社長は、唇を撫でながらそう言うと、ソファーの上にゴロンと横になった。

「ふん……気持ちよくなんか……気持ち……いい……?」

そのまま自分の指に唇を当ててキスすると、指を見つめて大きく首を振る。

「ないないないない!そんなこと、絶対にない!」

背中越しに鮫島社長の声を聞いて、影山がクスッと笑った。










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