TRIP 腐的妄想

某5人組アイドルの腐的(BL)妄想小説です。成人女性限定でお願いします。

テ・アゲロ  the twins ⑧ -44-

テ・アゲロ the twins (5人)



祭りの準備は着々と進んでいた。

神社の広場には舞台のような囲いがされ、篝火の用意もされている。

夜になると篝火と提灯で、昼間のような明るさになると有岡が説明してくれる。

「御神楽って言うか……、神を迎える宴の舞が披露されるんですよ。」

「それを御神楽って言うんだろ?」

大野が、本当に神主の息子か?と疑うように有岡を見る。

有岡は困ったように笑って肩を竦める。

「そ、そうなんですよね~。」

大野が呆れたように見やると、有岡も慌てて言い訳を始める。

「だって、仕方ないでしょ?神社の家に生まれたって、

 神事なんて教えてもらったことないんだから!」

「だから、親父さん、お前は向いてないって思ったんだな?」

「全然興味なさそうだからね?興味あったら、それくらい知ってるでしょ?」

櫻井も一緒になって笑う。

「ひ、ひどいなぁ、二人とも。」

大人たちが忙しなく準備する中を、浴衣を着た子供が、ダダダッと駆けて行く。

どの子もみな、頭の後ろにお面を付けている。

お面は能のような白塗りの顔で、表情はそれぞれに違う。

男面もあれば、女面もあるが、一様に同じ顔で薄気味悪さはぬぐえない。

「あれは?」

櫻井が聞く。

「あれ?面ですか?」

櫻井が静かにうなずく。

「昔は大人が付けてたらしいです。祭りの間中。

 神様が花を愛でる間、人の息がかかっちゃいけなかったらしくて。」

「なんで?なんで息がかかっちゃいけないんだ?」

大野が聞くと、有岡はさっきの挽回とばかりに、胸を張って説明する。

「人の息は穢れてるから、神様にはダメらしいです。

 口が臭いのが好きじゃないんですかね?神様は。」

「ぜってぇ違ぇだろ?」

「ほ、ほんとですよ~。」

有岡がジタバタしながら大野を見上げる。

「今は?」

また櫻井が聞く。

「今はどうなんでしょう……。

 付けてないんじゃないかなぁ?」

有岡はキョロキョロと菊代を探す。

菊代なら有岡よりもっと詳しい。

さらには、菊代がいないと、何をしていいかわからない。

せっかく二人を連れて来ても、何もできずに神社まで来て周りを見ているだけだ。

大人たちは、一人として立ち止まっている者がいない。

皆、自分の分担を手際良くこなしていく。

「大人の部は、夜9時からなんです。

 最初の神楽は爽やかな舞ですけど、大人の神楽は妖艶ですよ。

 昔、こっそり覗いたことがあるんです。」

有岡が懐かしそうにクスッと笑う。

「踊ってるだけだし、肌が見えてるわけじゃないんですけど、

 なぜか……エロい気分になるんですよねぇ。」

「ちょうど盛ってたんじぇねぇの?」

「あはははは。そうですね。覗いたの、中学生の時だった!

 盛り、真っ最中ですね?」

「お前は年中盛ってるみてぇだけどな?」

有岡のキョロキョロしていた顔が、宝物庫の脇で止まる。

その視線を辿って、大野と櫻井も視線を移す。

菊代がパキパキと大人たちに指示を出しているのが見える。

口で指示を出しながら、手はお神酒と神主の準備で忙しそうだ。

神主の代わりを務める和彦は、本当に今年だけだよな?と、

何度も村長に念を押している。

村長はあいまいに笑って、自らも白袴に着替え、おかしくないか菊代に聞いている。

「あれじゃ、俺たちが行ったら逆に迷惑なんじゃねぇ?」

大野が言うと、有岡も口を尖らせ、首を傾げる。

「ですよね。このままバックれちゃいますか?」

「ばぁか、神社の息子は手伝って来い!」

大野に背中を押され、ついで櫻井にも押される。

ぴょんと二人の前に出た有岡は、頭を掻きながら振り返り、

口を尖らせたまま菊代の方に向かう。

その有岡が、開かれたお社を見て、立ち止まる。

お社にはお供えの酒や果物が積んである。

もちろん、あの花もいたるところに飾られている。

男花と女花が寄り添うように風に揺れ、色の少ない社を彩る。

その花を見て、有岡の顔が歪む。

大野と櫻井は顔を見合わせ、踵を返して神社から離れようとして、大野が立ち止まる。

「ん!」

びっくりしたような大野の顔に、櫻井も大野の視線の先を見る。

神社の隅、大きな木の陰に、見覚えのある顔があった。










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ふたりのカタチ (190)

ふたりのカタチ(やま)【181~ 】



「では、これはロゴのバックをもう少し濃くしますか?」

「そうですね。もうちょっとシアンをきつめに……。できますか?」

おいらがそう言うと、印刷会社の人がじっとゲラを見て書き込んでいく。

「できます……どれくらい?」

「ちょっとでいいです。ここの赤をもうちょっとはっきりさせたいから。」

「わかりました。」

「できれば黒味も入れてください。」

「黒味……ですか?」

「はい。その方が色が原画に近くなると思うんです。」

印刷会社の人はボールペンで頭をカリカリと掻き、また書き込んでいく。

「それと、商品の艶感、もうちょっと出せませんか?」

今度は類さんが写真を指さして言う。

「艶……ですか?」

「ええ、ヌルッとした感じが欲しいです。」

「……少し、光らせますか?」

「そうですね……それもいいかもしれませんね。

 でも、光沢じゃなく、ヌルッとした感じがいいんですけど。」

「ヌルッと……わかりましたやってみます。」

「お願いします。」

印刷会社の人は類さんに言われたことも書き込んで、手帳を開く。

「では、一週間頂いて……来週、出来上がりを持ってきます。」

「もう少し早くはできませんか?」

「早く……ですか?」

印刷会社の人が渋い顔をする。

「ええ、一週間後に出来上がりを先方出ししたいので、

 直しが入ったらもう間に合わない。」

類さんがにっこり笑って手を広げる。

「もちろん、直しが入るとは思ってませんが……。」

チラッと印刷会社の人を見て、広げた手を机の上で組む。

「仕方ありませんね。わかりました……。3日後でいいですか?

 花沢さんには敵わないなぁ。」

印刷会社の人が手帳にスケジュールを書き込んで、もう一度ゲラを見つめる。

「よろしくお願いします。」

類さんが、さわやかな笑顔で印刷会社の人に笑い掛ける。

印刷会社の人も、困った顔をしながらも笑顔で手帳をしまう。

「花沢さん、こんな温和な顔して、結構強引だから、大変でしょ?」

おいらに向かってそう言って、ゲラをファイルに挟んでしまう。

「そ、そんなことないです。優しいですよ。」

印刷会社の人がおいらを見て笑う。

「デザイナーさんには優しいのかな?」

今度は類さんを見る。

「先輩方に教わった通りにしてるだけです。」

類さんが楽しそうに笑う。

「ああ、そうですね。そう言えば皆さん強引だった!」

印刷会社の人も笑って立ち上がる。

「では、これ持ち帰ってすぐに直しに入ります。

 画像を一度送りますので、それでも確認してみてください。」

「わかりました。」

印刷会社の人がペコッと頭を下げて帰っていく。

おいらも類さんもペコッと頭を下げる。

頭を上げた類さんは一度腕を伸ばして、袖を引くと腕時計で時間を確認する。

「こんな時間か……。どうです?ご飯、行きませんか?」

類さんが、やっぱりさわやかに笑う。

好きなんだよなぁ。

この笑顔。

おいらもニコッと笑って資料を鞄にしまう。

「いえ、今日は……。」

おいらが断ると、類さんが眉を下げて残念そうな顔をする。

「櫻井さんと約束?」

「約束ってわけじゃないけど……。」

「毎日約束ってわけだ?」

類さんの手が、おいらの肩を叩く。

「はい。」

おいらは類さんを見上げて笑う。

ショウ君、早く帰るって言ってたから……夕飯、何にしよう?

ショウ君の食べてる姿、大好きだから、いっぱい食べて欲しくて、

つい作り過ぎちゃうだよね。

……ショウ君が丸くなるのは、おいらのせい?

「幼馴染……なんですよね?」

「幼稚園から一緒です。」

鞄を肩に掛け、出入り口に向かって歩き始める。

「……やっぱり付き合いの長さには敵わないのかなぁ。」

「類さんと奥さんも長いんですよね?」

「ええ、中学からです。でも、付き合ったり別れたり、何度かしてますからね……。」

おいらはクスッと笑う。

「それでも一番はやっぱり奥さんだったんでしょ?」

「まぁ……そうですね。」

類さんが照れたように笑う。

「やっぱり付き合いが長いと、自分のことよくわかってくれるんでしょうね……。」

類さんがおいらを見て、柔らかい顔で笑う。

「おいらは……例えショウ君と幼馴染じゃなくても……。

 さっきの印刷会社の人がショウ君で、この歳で出会っても、

 きっとショウ君を好きになったと思います。」

呆気にとられたような類さんの顔が、徐々に笑顔に変わっていく。

「御馳走様です。」

類さんが楽しそうに笑う。

「あはは。すみません……。」

「それくらい、自分を主張してもいいと思いますよ。

 仕事に対しても……。

 絵に対してはストイックに主張するのに、ビジネスになると腰が低すぎます。」

「そ、そんなことないです……。」

「あります。もっと前に出ればいいのに。

 ルックスだってそんなに綺麗なんだから。」

「る、類さん……。」

どう答えたらいいのかわからず、困っていると、類さんが声を上げて笑う。

「いいですよ。ビジネスは俺と田村さんが引き受けます。」

「あ、ありがとうございます……。」

おいらは頭を下げて、小走りに外に向かう。

「じゃ、類さん、またよろしくお願いします。」

類さんがうなずいて、肩辺りで手を振る。

おいらも手を振って、駅に急いだ。










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テ・アゲロ  the twins ⑧ -43-

テ・アゲロ the twins (5人)



「……父さんの日記……。」

三人は有岡の父の部屋に移動し、日記を捲る。

「今日はうだるような暑さだ。

 父の研究を知って始めた実験。

 父は何を調べていたのか?

 私にはまだ難しくてよくわからない。

 でも、材料は全て揃っている。

 祭りに使う花の汁は愛の液体。

 今日も誠に気づかれないよう、こっそり実験室に向かう。」

櫻井が読み上げる。

「お前の親父はたぶん、媚薬か何かだと思っていたんだろうな。

 例えば……好きな人に飲ませれば、必ず自分を好きになる、みたいな……。

 結婚相手を決める花の汁だからな。」

「そういうおまじないとか、女子の間で流行ってましたよね。

 小指の爪を伸ばすとか、消しゴムを一人で使い切るとか。」

「まぁ、そういうやつだな?」

櫻井は笑いながら、続きを読み上げる。

「できた。やっとできた。

 きっとこれで、私の願いは叶う。

 一度だけ……。

 一度だけでいい。

 そうすれば、全て忘れて私がこの家を継ぐ。

 誠はこの家を出たがってる。

 広い世界に行きたがってる。

 誠には……夢を見せてやりたい。」

「父さん……。」

大野と有岡の目が、櫻井に続きを要求する。

「準備は完璧だ。

 決行するのは満月の夜。

 月の光は人を狂わすと言う。

 一晩だけ……誠は狂ってくれるだろうか?

 失敗したら……もう二度と口も利いてくれないかもしれない。

 ……その方がいい。

 こんなに苦しいなら、いっそその方が……。」

「父さん、苦しんでたんだね。」

「そりゃそうだろ?相手は血のつながった双子の弟だ。」

「普通の倫理観を持ってれば、まぁ、そうなるよね?」

大野と櫻井が顔を見合わせ、小さくうなずく。

「明日は満月。

 私にとって、人生でただ一度の運命の日。

 私はきっと、この先どんなことが起ころうとも、

 この日を忘れないだろう……。

 成功しても、失敗しても。」

「とうとうですね?」

有岡が心配そうに大野を見つめる。

大野も黙ってうなずくと、櫻井に目配せする。

櫻井はそれを受けて、次のページを読み上げる。

「な、なんと言うこと!まさか……、まさか……。

 あの薬のせいなのか?

 いや、罪を犯した私のせいだ!

 全部私が悪い!

 私が……!」

「自分を責めてる?父さんに何が起こったの?」

有岡がさらに心配そうに眉を歪める。

「これから3日間、日記は書かれてない。」

櫻井は日記を行ったり来たりしながら、次のページを捲る。

「ああ、私は罪深い。

 私の罪は、あのなんの罪もない犬の命を奪った。

 まさか誠があんな風になるなんて……。

 薬のせいだ。

 いや、私のせいだ!

 私があんな薬を作ったばっかりに……。

 誠の心に大きな傷を負わせた。

 誠は私を許してはくれないだろう。

 私の我が儘が、ただ一度望んだ愛の成就が、

 誠を化け物にした!

 いや、化け物になったのは私だ!

 私が……。

 ただ一度、契りを結びたかったために……。」

「な、何があったの?犬?犬って?あのお墓の犬?」

有岡が大野の腕を掴む。

大野は小さく溜め息をつき、有岡を見つめる。

「そうだ……あの犬だ。たぶん……。

 薬を使ったせいで、叔父さんは変貌したんだ。

 化け物に。」

「化け物……?」

「命を奪いたくなる凶暴な化け物。

 命を奪うことに、何の躊躇もない化け物。」

「そんな……。」

有岡がゴクッと唾を飲む。

「そういう薬だったんだよ。

 人の中枢神経を麻痺させる……。

 体だけじゃないく、精神も……。」

櫻井が手元の日記を見ながら言う。

「精神?」

「狂暴化……するんだよ。

 たぶん、自分の痛みすら感じず……、

 相手を仕留めることしか考えられなくなる……。

 そういう薬だったんだ。」

「薬……。」

「そうだ。全ては薬のせいだ。お前の父ちゃんが悪いわけじゃねぇ。」

「……わかってる……、わかってるけど……。」

有岡が俯いたまま顔を上げずにいると、大野が有岡の肩を抱く。

「大野さん……。

 父さんと叔父さんはその後、どうなったの?」

大野は櫻井に視線を向ける。

櫻井はペラペラとページを捲り、ふと、手を止める。

「今日、誠が旅立つ。

 誠には才能がある。

 これでいい。

 これでいいんだ……。

 私は幸せだ。

 あんな罪を犯したのに、誠は私を愛してると言ってくれた。

 生涯、私だけだと……。

 誠の為に……。

 私は笑顔を作らねばならない。

 誠は私といれば、あの罪を思い出す。

 罪は全て私が背負う。

 だから笑って見送ろう。

 誠が笑えるように……。」

「父さん……。」

有岡の目から、一筋涙が流れる。

大野は有岡の肩に回った腕に力を込める。

櫻井も、そんな二人を穏やかな表情で見守った。










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テ・アゲロ  the twins ⑧ -42-

テ・アゲロ the twins (5人)



「有岡の親父の日記、見ただろ?」

「ああ……。」

櫻井は昨日のことを思い出す。

大野と二人で見つけたノートに書かれていたのは……、

双子の弟に対する葛藤と、その結果。

たぶん、本当に起こったであろう事実が、瑠加の手によって、事細かに記してあった。

瑠加の、誠に対する想いの変化と共に。

「有岡の親父たちには愛があった。

 やり方はよくなかったかもしれねぇが、その覚悟もあった。

 まだ若かったみてぇだしな。高校生……中学生くれぇか?」

大野は櫻井に同意を求めるように視線を投げる。

櫻井が小さくうなずく。

「そうだね。日付から考えると中学生……くらいかな?」

「中学生……思春期ど真ん中だな?

 でも……愛があったから離れる選択をした。

 薬を使ってまで……遂げた愛だ。

 薬の、もう一つの効果にビビっただろうが、親父さんの気持ちは実を結んだ。

 片割れの方も、たぶん同じだろう。

 結果として、二人の想いは通じ合ったんだろうよ。

 だが、トーマとニノは違う……。

 同じ兄弟でありながら、あいつにニノを思いやる気持ちなんて1ミリもない。

 あいつは……人を操る為に薬を使い、ニノの体と心を蝕んだ。」

「まさか……。」

「トーマにとって、血の繋がりなんて関係ねぇ。

 使えるものは使う。

 ニノの寂しい心に付け込んで……。」

大野が目を伏せ、ゆっくり首を振る。

「あいつの中にあるのは……自分の快楽だけだ。」

「じゃ、あの事件の実行犯は……。」

大野が顔を上げる。

鋭い光の中に揺らぐ瞳。

「まずは、薬の確認だ。」

「どうやって調べるの?まさか自分で?」

「ばぁか、できるかそんなこと。」

大野は櫻井に背を向け、宝物庫の一番奥まで歩いて行く。

「できるやつに頼むしかあんめぇ?」

奥に手を伸ばし、誠の人形を取るろうとするが、

大野の背では、人形まで届かない。

櫻井が、大野の肩に手を掛け、グッと腕を伸ばす。

「いるの?そんな人。」

櫻井が人形を大野に手渡す。

「……まぁ、たぶん、大丈夫だろ?

 だが、お神酒とあの日記だけじゃ……。」

大野は人形を凝視し、宝物庫の中を見回す。

「どうするの?それ?」

櫻井は人形を視線で示す。

「戻してやろうと思ってな。あの部屋に。」

「そうだね……。」

櫻井も同意するようにうなずく。

「さて、こっちをどうするか……。」

「有岡に……話すの?」

大野は人形を目の高さに掲げ、じっと見つめる。

「お前ならどう思う?

 自分の父親が双子の兄弟を愛していたって知ったら。」

櫻井も大野の隣で人形を見つめる。

「俺は……何も思わないね。

 人を好きになるのは理屈じゃない。

 フィーリングでしょ?」

櫻井がニヤッと笑う。

「そうだな。あいつもどうしようもない奴を好きになったみたいだし。」

「ふふふ。そうだね。……ん?」

櫻井は大野の手から人形を取り上げる。

クンと匂いを嗅ぎ、人形の背を撫でる。

「どうした?」

「いや、丁寧に作られてるにしては、ここの縫い目が荒いから……。」

「縫い目……?」

櫻井はポケットから鍵の束を取り出すと、その中で一番小さい物を

縫い目の間にねじ込む。

強引に糸を引っ掛け、勢いよく引くと、パチッと音がして、小さな穴が開く。

少し開いて中に指を押し込むと、何か固い物に当たる。

それを引っ張り出し、親指と人差し指で摘まんで見せる。

「……瓶?」

中に入っていたのは小型の瓶で、中に半分位の透明な液体が入っている。

「まさか……・」

「かもしんねぇな。」

櫻井が入口から入る明かりに翳すように瓶を向けると、入口脇に有岡が立っていた。

「それ……何?」

「有岡……。」

「二人にもやっぱり来て欲しくて……。

 探してたらぼそぼそ話し声がして……。

 怒られるから、タイミングみて入っていこうと思ったんだけど……。

 それ、叔父さんの人形の中から出て来たんでしょ?

 父さんと叔父さん、何したの?何かしたの?」

怯えるように問い詰める有岡に、大野が近づいて行く。

「おめぇ、どこから聞いてた?」

「どこからって……俺の名前が聞こえて……耳を澄ましてたら……。

 父さんは、叔父さんを……?」

大野が有岡の目の前まで行くと、有岡が大野を見上げる。

「父さんは……。」

繰り返す有岡を抱きしめ、宥めるように耳元で囁く。

「人を愛したんだ。ただそれだけだ。」

有岡の手が大野のシャツを掴む。

「……大野さん……。」

大野は有岡の頭を撫でる。

「お前だって愛してる人がいるだろ?同じだ。」

「……うん。」

有岡の額が大野の肩に当たる。

大野が頭を撫で続けると、有岡の腕が大野に背に回り、ぎゅっとしがみ付いた。

「おーのさーん……。」

「どうした?いつものおめぇじゃねぇみてぇだぞ?」

「お、俺、本当は繊細なんです~。」

大野は笑いながら、有岡の頭をポンポン叩いた。










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Love so sweet №87

Love so sweet(やま)【81~ 】



「今日も雨だぁ……。」

カーテンの隙間から外を見て、残念そうな智君。

今日は釣りの予定だったのかな?

「寒くなって来たね……。」

俺はさりげなく、あなたの後ろに回る。

肩を抱きしめ、一緒に外を覗く。

どんよりしたグレーの雲。

「まだ寝てなよ。今日は夜まで仕事なんだから。」

智君がちょっとこっちを向いて言う。

「うん、寝る。智君と。」

智君の頬にキスすると、智君がクスッと笑う。

「おいらと一緒じゃ寝ないじゃん。」

「寝るよ。寝る。でも、智君の温もりがないと寝られない。」

「ばぁか。」

智君が、コツンとおでこを俺に当ててくる。

俺もグリッとおでこを合わせて、肩を抱いた腕をギュッとする。

「もう起きるから、お前は寝てろ。」

「何で?休みでしょ?」

「休みだから!」

智君がふにゃっと笑って、俺の腕を解く。

「やること、いっぱいあるんだぞ?」

「やること……?」

部屋を出て行くあなたを腕の中に引きずり込む。

「うわぁ。」

智君と一緒にもつれあうようにベッドに倒れ込む。

「やめっ。」

智君の唇を塞いで、智君を抑え込むと、智君が叫ぶ。

「止めてください、校長センセ!」

俺は顔を上げ、しかめっ面をする。

「それ、ずるくない?」

「ずるくないよ。」

クスクス笑う智君。

「じゃ、智君もベッドに忍んでくれないと……。」

「忍ぶまで待っててくれる?」

「……待てないけど。」

「じゃ、無理じゃん!」

智君が笑ってベッドから起き上がろうとする。

「じゃ、じゃぁさ、難しい恋をしようよ。」

「……できるかなぁ?」

ベッドに座って智君が笑う。

「え?できるよ、できる!」

「おいら達のは難しくないでしょ?難しい恋は無理くない?」

「……無理かも……いや、すでに難しいとこクリアしちゃってるもんなぁ。」

智君がケラケラ笑う。

笑った拍子に智君の肘が俺の二の腕をつっつく。

「じゃ、わかった!俺のこと、お迎えに来るってのはどう?」

「お迎え?ふふふ、おめでとうございます!って?」

「そうそう。ほら、智君としてると、俺、天国行けるから。」

「クックック。だったら、お迎えいらなくね?

 ほぼ毎日いってるじゃん。」

「う~、そうかも。」

俺が眉間に皺を寄せると、智君が楽しそうに笑う。

「じゃあ……。」

俺はベッドに肘を付いて寝そべる。

智君も並んで肘を付く。

「鍵のかかった部屋に入って来てよ!」

智君が変な顔をする。

「寝室に鍵、付いてないけど、付ける?」

寝室に鍵……?

いやいや、それはまずいっしょ。

俺はブンブンと首を振る。

「……玄関……じゃ、締めだしたみたいだよね……。」

「一緒に暮らしてるのに無理でしょ?」

また智君が笑う。

「じゃじゃじゃ、一緒に卵入りカレー喰う!」

「それならできるけど……今から、カレー作る?」

ベッドの中で、柔らかく笑う智君。

うっ……。

今ベッドから出るのは……。

「いや、ダメだ。無理!」

「言うと思った~。」

智君が愉快痛快な笑顔で、俺の隣でゴロンと転がる。

「一緒にコスプレでもいいよ?俺がヤッターマンで智君が歌のお兄さん!」

「カラフル帽子にツナギ?」

仰向けになって俺を見上げる智君。

「俺だって白いツナギだよ?おソロ?」

「んふふ、全然違うけど!

 あ、帽子も一緒だね?」

「そうそう!」

二人一緒に笑う。

指で、智君の手の甲を叩く。

「弁護士になって……俺に復讐する?」

「復讐?復習ならしてるけどね?」

智君が俺の耳に顔を近づけてくる。

「エッチの復習!」

智君がゲラゲラと笑う。

「智君に追われて追い詰められるのも悪くない!」

「そぉかぁ?おいら、いつでも追っかけてるけど?」

「何を?」

俺は首を傾げて智君の顔に顔を近づける。

智君の顔が、俺が笑顔だって教えてくれる。

「翔君の……指。」

智君の指が俺の指を上る。

「……手。」

智君の手が、俺の手を包む。

「……視線。」

智君の瞳が、俺の瞳を見つめる。

「追いかけてるのは俺。

 出会った時からずっと追いかけて……。

 まだ追いかけてる。」

んふふっと笑う智君は俺の頬に両手を添える。

「おいらもずっと追いかけてる。

 二人で追いかけてたら、どんどん離れちゃわない?」

「いんや、どんどん近づいて……一つになるよ……。」

俺の唇が智君の唇に重なる。

ほら、一つになる……。

やっぱりもうちょっと智君を堪能して……。

それから仕事だ!

ねぇ、智君は覚えてる?

智君が23年前の今日、事務所に入ってくれたから、

俺達、出会えたんだよ?

だから、俺の中でこっそりお祝い。

もちろんお祝いはベッドの中……だよね?










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tepo

Author:tepo
アメブロでメインに活動しています。

嵐の大野君が大好きで、山LOVEです♪
腐っているので、ご理解のある方、
また成人女性限定でお願いします。

a Day in Our Life
    ↓
kissからはじめよう
    ↓
 Step and Go
    ↓
  果てない空

の順で続いています。
それぞれでも楽しめるようになっていますが、順番に読むと5人の成長がよりわかるのではないかと思います。

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